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DH 作詞(Nothing?) [DHシリーズ]

(今回は天才を呼ぶ男の更新はお休みで次回になります。)


今年は世界の情勢が大きな変化を起こす予感がします。(予言者ではありませんw)

それと同時に地震の少ない欧州での地震や世界中の大規模な自然災害(化学物質による人工天候も可能な時代になりましたが)、テロが鳴りを潜めている沈黙、何が起こるのか。

気になります。

しかし安陪首相の学校問題は戦時中の日本のような教育をあの学校で幼い子供達にさせていたとは^^;
運動会の宣誓で何故、あのようなことを言わせるのか。
あの学校では天皇の変わりに安部首相が天皇のような存在なのでしょうか?^^;
こわっ!
日本会議が一時期話題に上がっている時期もありましたが何事もなかったようにマスコミも取り上げなくなり、このまま終わるのかと思いきや、あの学校の教えにもやはり関わっているようですね。
首相が関わっているから他国のようにクーデターでもないんだよな。
独裁国家を作りたいんだろうか?
良い部分の考えを建前に今自民党政権で国会を通過させようとしている法案も日本会議が関わっているとしか思えないからまた恐い。
あの学校問題が明るみに出ても、スルーであの法案を通過させようとする安部政権は政権の末期に来ているのかもしれない。
何の為にあの法案を通過させようとするのか。
怪しいものは疑え、捕まえる。
目が合ったら、LINEの会話、何かの拍子で容疑者、犯人(家族や友達は100%逮捕できる要素があるね、これ)と思われる人とすれ違いに会話を交わしても警察の判断で犯人の一味と判断されれば逮捕もあるって
国民の発言の自由やヘイトスピーチ、政権の反対意見や運動すら、逮捕されるだろうね。
家族や友人は警察の勝手な判断でいつでも逮捕可能。
この時代に日本は自由とは正反対の国家作りを押し進めようとしている。
暴力団の力も破防法や解散で弱め、今まで何も言ってこなかった天下りをあそこまで見せしめのように表に出して官僚の力も自分でコントロールして、その手順を踏まえて、政治家が強健政治だけでなく、このタイミングで通そうとしている共謀罪の法案は本当にやばいものです。
正義ではなく、実権を握る勢力は歴史からもその良さだけを論理や言葉を巧みに使いこなし、ごまかそうとしたり、何年かなりを潜めてタイミングを考えて通過させようとしたり、去年のようにマスコミの情報規制をかけようとしていた現実が明るみに出ても、それでもわが道を行くかのごとく、まったく気にしていない。

国民ばかりを逮捕可能にする法案よりも、そろそろ政治家をいつでも逮捕できる法案改正をしてください!

そして、政治家の場合、国として責任ある立場なんだから不正なことをしたら一般国民よりも重い罪になる法案にしてください!

あと、結局は企業献金もらうんだから、国の税金から給料を払うのを止めてください!

企業献金とその繋がりは切っても切れないし、その繋がりやビジネス関連には日本経済が潤うなら文句は言わないからと言わなくても、現状そうなんだろうし。

給料以外でも議員はいろいろな特典があるのでそれは残しても良いので。

あと、どうしても借金借金言うなら中国を抜いて、昨年また一番返り咲いた世界で一番アメリカ国債を保有している日本のアメリカ国債をすべて売却してください。

そうしたらもう借金という言い訳は成り立ちませんし、日本という国は大きな黒字になります!

石井議員が刺されて殺され、うやむやになり、その後、どの議員も国会質問をしない特別会計の毎年の出費額も明るみにしてください。

国民のほとんどは借金という言葉にこの国は借金がすごいのか、消費税増税もしょうがないかと思い込んでいますが洗脳されていない庶民も中にはいるのです。

韓国、中国に対しての行動には賛同できますが、他の国へ税金の垂れ流し支援金をいい加減止めろと思う。
それで借金が多いだ、消費税をさらに上げなければという論理は通らない。
アフリカに、他の国にどれだけお金だして、支援を約束して、お金が足りない?
国民の税金で安陪来訪でここまでの支援したよね、私が安陪だよと、自分の名前を世界中の国に刻み込みたいの?
日本経済が良い時代ならそれでいいと思いますが、国内で経済はうまくいっている!借金が多い!税金が足りない!(すでに矛盾)言っている事と、世界中を来訪して、安陪首相がやっている行動とお金の使い方の感覚、国民の税金はあなたのポケットマネーではない!

国内経済が良くないんだから自民党のいつもの政策かもしれませんが、寧ろいつもどおりにごまかしでもいいから国民に、国内に、ばらまけよ!と言いたいです!(自民党のお金ではなく、税金ですが)

若いときから国会討論を見てるのですがここ最近は覇気がない政治家が多いです。
争いを好まない国民、争いを好まない政治、感情を表に出さない大人の金権政治、しかし現実には良い人を演じようとして、傷ついている国民が多いのかもしれません。
その間に国会を通過していく法案。
民進党ももとは自民党の人間が多いからやっぱり二軍でしかない感じしかしない。
実権の握っている方が官僚の力も使いながら多くの政策の中から選択してつぎの選挙戦に使えるんだろうけど、官僚出身もいるとしても、政策の中身の貧弱さと、庶民を味方につけようとするためだけの政策ではよほど経済や国民生活に打撃がない限り、選挙に勝つことは出来ません。
それさえもシナリオと思ってしまうdaylightは陰謀論大好き人間です。
自分だったらそんな見え透いたシナリオ使いませんが^^;
それでも現実の奥底の闇はさらに深いのかもしれないので見えないところではさまざまな駆け引きがあり、欲望や欲望や欲望が渦巻いている世界なんだろうと思います。
北朝鮮の暗殺は話題になっていますが日本ではそんなことは行われていない?
不審死や暗殺など日本ではあるわけないと思われる方もいるかもしれませんが日本も政治家やその周辺、企業関連を調べていくと、昔からあるし、情報封鎖していないけど、マスコミが伝える事も少ないまま、もしくは一時期話題になりながらも時間とともに忘れ去られていっている事が多いです。
ライブドア子会社の元取締役の野口さんの不審死だって、どう考えても始末されたんだろうなとしか思えない。
ホテルのフロアには防犯カメラが設置されているが、「防犯カメラについて捜査員は確認していない」
なのに自殺で捜査終了。
政治家の自殺、秘書の自殺も最近はなくなりましたが一時期はありましたよね^^;
これ本当に自殺なんだろうか、強制自殺なんだろうか、暗殺や殺人なんだろうか。
真実は現場にいた人間にしか知りえないことです。
現実のその現場にいたいとは思いませんがいろいろなものを墓場まで持っていったのか、持って行かされたのか、知りたくもない現実の世界の真実がそこにあるのかもしれません。
詳細に書いてしまえば、その手のブログになるので書きませんが多少書いてみました。
DHや天才という小説を書いている以上、書かざるおえません(何故?w)





現在手を止めているDHの3期の作詞が降りてきたのでメモも兼ねて書きます(自分のためにw)

まだまだ謎の多い主人公の透イメージなのかな?

Nothingはそのままの意味では何もない ? ですが、何もないはずなのに ? に感じられるような和製英語感のある作詞になっていますw




(Nothing?)


血まみれに染まっていたのは誰かじゃなく僕の心
真実を拒み 目を塞ぎ続けているのは君の心
知りたくもない現実や死にたくなるこの時代の空気さえも
理解できないまま吸い込んででも生きてやる
いつかはこの脈の音も途絶える

その時まで僕はどうしたらいい?
その時まで君はどうしたい?

答えのない自問自答も投げかけた言葉も
この光の扉の向こうに放り込んでしまえばいい

それでも その後でも
 
己の中の深く深くに刻まれた傷は消えやしない

孤独に 逃げ込んで 

どれだけの涙を流せばいいんだろう

永遠に続く傷みならもう苦しみたくないと
暗闇に飲み込まれていく君の手を取った

その時 僕は微笑んでいた
その時 君の涙は止んだ

1人が2人になりやがて世界が色を変えるなら
希望が手を繋ぎ伝える手のひらの温もりだけで
僕らはまだこの先を歩いてゆける

生きる事に理由を求めて自分を確かめて
感情を押し殺して次第に溜め込んだまま
人生の終わりに見える景色を想像してまた嘆く僕がいる

それでも その後でも
 
己の中の深く深くに刻まれた傷は消えやしない


孤独に 逃げ込んで 

どれだけの涙を流せばいいんだろう

永遠に続く傷みならもう苦しみたくないと
暗闇に飲み込まれていく君の手を取った

1人が2人になりやがて世界が色を変えてゆくよ
希望が手を繋ぎ伝える手のひらの温もりだけで
その温もりで僕らはまだこの先を歩いてゆける

Nothing?


DH  暗闇の手 崩壊の歴史(第三部)

久々に読み返してみようかなという方はこちらです

      ↓(この後、話はラストに向っていくんですが現在途中で止まってます^^;)


http://ncode.syosetu.com/n0312de/


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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)  [DHシリーズ]

癒し動画発掘の旅に出ていましたdaylightです(違)

ミクさんは格好いい曲や激しい曲、バラードなどいろいろとありますがこういう曲もほのぼのしていて良いですね♪




初音ミクさんの「えっとね うんとね」

イラストも絵も可愛くて癒されました♪






ボカロソフトを購入して(覚えること多いのかな?)、ミクさんに自分の作った歌を歌ってもらうのもいいかも!(時代に乗り遅れて今からですかw)

しかし、その前にまずDH3期をしっかりと書き終えます。

時間の関係上、悪僕との同時進行は出来ていませんがどっちの世界も先が楽しみなので区切りをつけながら書いて行きたいと思います。

イザベルちゃんへ・・・・今回のDHには登場しないかもしれないのでまた特別編とかで来て下さい^^;(ここに書いて意味があるのか分からないけど)


これを書いている間にも他の話も夢や頭の中のひらめき映像で見ているのでタイトルのみになりますが今後書くであろうものを書いておきます。

(天才を呼ぶ男・世界中の問題を奇想天外な方法で解決する男ですがサブタイトルほしいかも)

(放課後の女王・フフフな主人公です)

(ステレオグラムの魔術師・マイナー層になりそうな内容かも)

(ダークサイド ムーン&サイン・珍しく現実感のないファンタジー系かも)


天才を呼ぶ男は脳内ではおもしろい話だったのでDH3期を書き終えた後に試しに1話書いてみたいと思っています。

あとはいつ書けるんだろう・・・・・。

DHも悪僕も終わりそうにないので天才を間で書き始めるといつの日にかとなってしまいますが忘れないようにここに書いておこうw


それではDH始まります^^

読んでくださる方いつもありがとうございます^^




この世界の滅亡の果てに(13)


「セブンちゃんが帰ってきた音だね」

「うん」

「しかし、何か早くないか?」

「実は僕もそう思った」

「でも、このパソコンに入り込めるのはセブンちゃんだけだよね?」

「そのはずなんだけど」

「レジスタンスはどうだ、透。読み込みも開くことも出来なかったけど可能性と言えばあるだろう」

「セブンちゃんならすぐに挨拶してくれるのに返事ないよ、透」

「そうだね。何かが起きているのかもしれない」

そういうと、透はネットワークに接続するアンテナ部位を外した。

「透、何をしたの」

「とりあえず、インターネット接続を切ってみたんだけど」

「セブンちゃんはゴーストなんでしょ?見えない存在が何かに追われたりするの?」

「そのゴーストすらも見つけて、追われてしまう状況下にあるのかもしれないと思って」

「透、それが本当なら人類の消滅は現実的なのかもしれないな」

「カイルさん、どういうこと?」

「WR関連国の軍施設を握られているということはその兵器命令も握られているということだ」

「でも、この世界を破壊するということはシステム内に存在する何者かも同時に停止することになるんじゃないの?それとも破壊することなく人間を殺害できる兵器でも存在するというの?」

「結、僕達人類には選択肢は用意されていないということなのかもしれない。建築物を壊さずに生命だけを殺害できる兵器は存在する。神経ガス、強い電磁波、放射能、それから映像による催眠殺害」

「透らしい発想も出たが相手側はどれも可能だろうな。省くとすれば電磁波ぐらいか」

「次にTV映像が付くときは催眠洗脳映像が施されている可能性が高い」

「分かった。TVのコンセントは抜いておいたよ、透」

「洗脳されなかった人間も室内の異様な状況と混乱で今度は外に出てくる。そこに神経ガスが蔓延、それを逃げ切ったものも外には出られず、電気や水の供給を止められいずれ餓死」

「便利な世の中の弱点を利用されるというわけね」

「人類は自然の中で文明に左右されずに生き残っている住民からやりなおせということか」

「セブンちゃんまだ稼動しないね」

「もう人類という文明社会は終わりを告げるということか」

「透、お前らしくも無い言葉を口にするな」

「そうだよ、先の状況判断をあそこまで早く出せて解決策を見つけようとしないのは駄目だよ」

「僕のセブンが稼動しているのに出てこないということはこの状況を覆すことが出来ないということだ」

その時、再び、稼動音が聞こえ、セブンが話しかけきた。

「透、私は初めて弱気になる透の声を聞くことが出来て嬉しく思います」

「セブン、帰ってきて、どうして今まで・・・いや、いいか。それよりも現状報告をよろしく」

「ネットワークアンテナを外していただいたのですが内臓無線の機能を停止するのに時間が掛かってしまいました」

「そういうことか。僕の勘は当たっていたんだね」

「はい。しかし、もう一刻の猶予もありません。ニューロンバイオテクニクス研究所に行き、レジスタンスと会話をしなければなりません」

「あそこならヘリポートがあるがWR本部だ。戦争用に買った最新軍用ヘリはあるがどうする?」

「本部はあの建物の地下にあるからあの建物内部の構造次第じゃないかな。同じ建物内にありながら本部は別物と考えるなら研究所への潜入なら案外簡単かもよ」

「結、さらりと凄いことを安易な考えで言っているように聞こえるけど何か作戦でもあるのか?」

「こう見えて私はあそこにいたんだからWR本部以外の構造はほぼ完璧に覚えてる。じゃないと今ここに私は存在しません」

「結さん、あの場所には二度と近寄りたくないんだよね?」

「透と一緒なら大丈夫。本当は二度と行きたくない場所だけどね」

「結、無理に君が行く必要はない」

「行きます。ここで離れてしまって透の言うような出来事が起こるとしたら二度と透には会えないまま死んでしまうということでしょ。それなら作戦に失敗したとしても一緒に死んでゆけるほうを選ぶ。もう何度も死んでしまった感覚を植え付けられた場所に行くのは怖いけどそれでも行かなくちゃいけない気がするんだ」

「それからカイン、軍用ヘリには乗れてもGPSシステムが使用不可だから地図の分かる人間に操作してもらわないといけない。地図はこの画面からセブンがナビしてくれる」

「透、レジスタンスをコピーしたUSBも持っていってください。詳しくは搭乗中にお話しますがレジスタンスは私の弟のような存在だと私は感じています。私には及びませんが基本プログラムは恐らく透の両親の部下に当たる人ではないでしょうか?レジスタンスという響きも何かの意味が込められている気がします」

「結、ヘリの操縦が出来る人と少数精鋭の部隊の選抜と準備を頼む。カインはWR本部周辺の知り合いに建物の外の状況を逐一報告できるようにしておいてくれ。これから15分後、ニューロンバイオテクニクス研究所に向けて出発する。僕はもう少しセブンと話をしてから行く」

「分かったよ」

「任せておけ」

二人は勢いよく部屋から飛び出していった。

「セブン、よく聞いてくれ。今から君の隠れた力を引き出す」

code 0012210012210033006600122100122100

このパソコンのスペックをこの目で見ることになる時が来るとは思わなかった。

この時代にセブンの性能を目覚めさせるのはどうかと思ったけど未来がなくなるかもしれないんだから父さんも母さんの許してくれると思う。

その時、透の両親の声が聞こえた。

(神の領域に繋がる道を開け 私達の息子のために 世界のために)

「これでセブンの本当の性能が引き出されたはずなんだけど、セブン、何か変わったことはある?」

「いえ、特にありません。機能に関しても、変化ありません」

「そうか」

「変わったことと言えば、透を3D視覚的にこちらでも捉えられていることくらいですか。それと健康状態のスキャンも可能です。それから建物の内部構造スキャン、外部スキャンの機能は確認できました」

「ということは研究所に到着したあともその機能は役に立ちそうだね。しかし、CPUといい、メモリといいそれだけの機能のためにここまでのスペックは必要ないと思うんだけどな。いや、必要か。超能力者のような透視能力を身に付けてしまっているんだから人間以上に負荷は掛かっているはずか」

「それからレジスタンスのUSBを挿入してみてください」

「分かった」

「やはりプロテクトは強いようです」

「今プロテクトと言ったよね?無事にコピーが出来ているということか。それなら僕がそのプロテクトをクリアすれば開けるということか」

「いえ、本人の意志ですので無理だと思います」

「感情を持つ人工知能ということか」

「はい。私がレジスタンスに会って、説得します」

「それなら、レジスタンスの開発者を僕がなんとか説得してみるよ」

「レジスタンスを開発したクリス・レイモンドはもうこの世界には存在しません」

「亡くなったということか。カイルの話ではまだ若い女性の印象があったんだけど」

「28才だったようです。レジスタンスも現在稼動を停止しているためにWRのセキュリティ機能は簡単に突破されてしまっているようですがクリス以外の者はレジスタンスの能力の高さに現在も誰も気付いていないようです」

「そうだったのか。クリス・レイモンドさんか。一度でも話をしてみたかったな」

「今の言葉は結に報告させていただきます」

「おいおい、まあいいけど。女性としての意味じゃなくて、同じ開発者としての言葉だよ」

「そういうことにしておきます。それとどうやらレジスタンスの知能データと記憶データには結の家族のものも含まれていることを今までの私の蓄積データから導き出しました」

「それも今までに無い機能だな。検索分析に加えて、導き出すか。気付いていない部分で他にもバージョンアップしていそうだな。しかし、どうしてそんなものがレジスタンスのデータ内に組み込まれているんだろう」

「これは仮説として言います。クリス・レイモンドは結の家族の遺伝子から誕生した人間だったのではないかと推測されます」

「あの組織ならやりかねないけど、ことごとく実験は失敗したんだろう?」

「奇跡的にその実験が成功したと仮定してください」

「それなら計算もおかしくなるぞ。結の年齢を何故にクリスさんは越えている」

「それは不完全体だったために予想以上に成長が早まる特異体質だったのかもしれません。動物のクローン実験でも虚弱体質、特異体質、短命は実証されています。クローンによる極度の成長の促進は現在の科学でも実証されていることです」

「でも、そうだったとしても結の家族の記憶がそのクローンであるクリスさんに残る可能性は0に近いんじゃないのか?」

「その事に関しては私も同じ見解です。でも、私が存在する以上、クリス・レイモンドに結の家族の記憶が残ってしまっていることがあるとしても不思議ではありません」

「化学や科学では実証できないものか。僕にはセブンはいるから信じるよ」

「そしてこの仮説から導き出した答えは結はレジスタンスの扉を開く鍵の一つになるかもしれません。ただし、それにも私と透の存在は欠かせませんが」

「うん、その仮説も頭に入れておこう。それから今の仮説、搭乗中に結にも話しておこう」

「透に任せます。結を悲しませないようにお願いします」

「セブンは結には気を使うんだから」

「結は私の契約者なので」

「僕も契約者だぞ」

「透は導かれるように最良のパートナーと出会えましたね」

「そう思うよ。しかし、このままじゃ、出会って、結婚して、人類消失になりかねない」

「即離婚よりはいいと思いますよ」

「それはない。結の傍に一生いるから」

「結の方が嫌になったらどうしますか?」

「それなら仕方ない」

「冗談です。それも私の導き出した答えからは0です」

「未来のことも分かるのか」

「いえ、直感というものです」

「IGとはいえ、そんなものまでバージョンアップか」

「バージョンアップではなく、二人の会話と行動から導き出した答えです。ただし、未来ではどうなるか知りません」

「未来もそうなってゆくように努力するよ」

「私もいつまでの寿命か分かりませんので2人にはそう願います」

透とセブンの会話が終わったと同時に部屋の扉が開いた。

「透、すべての準備が完了した。みんな待っている。急ぐぞ」

「うん、行こう」

カイルの瞳に映るものは今までに見たことのない決意と自信に満ちた透の表情だった。



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DH 崩壊の歴史(3期)始まりました。

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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)   [DHシリーズ]

今年もあっという間に4月ですね><



ブログにも画像を掲載したことのある実家のワンコ(10歳)が3月中旬に突然体調を崩し、下旬に亡くなってしまい可愛い彼女を失くしたように書く気力がどうにも涌かずに更新が4月になってしまいました。

急変(病名は何かの不全とか聞きましたが詳しくは忘れました)から点滴や抗生物質などの治療のかいもなく、時間と共に弱っていったらしく体調を崩した日から1週間くらいで亡くなってしまいました。

その間にいつもはあまり顔を見せない僕ですが4回くらい可愛いワンコの顔を見るために実家に通いましたが最後は眠るように逝ったよと、その後、表情を見に実家に寄りましたが眠ったように目を瞑っていましたので何度も身体を撫でて、頭を良い子良い子して、最後の時を過ごしました。

女の子なのにワンコなのにツンデレキャラで機嫌の悪い時は時に凶暴でしたが何故か家族の中でも自分には凶暴な部分は時間と共に見せなくなり、家族もその原因がよく分からないと言っていました。

自分の車が駐車場に着くのが分かると僕に対しては甘え吼えと甘えキャラになっていました。

実家にいないので散歩に行ったり、餌をやったりすることもほぼありません。

ワンコの世界では上下の認識がはっきりしているはずだとは思うのですが^^;

普段あまり顔を見せない人間なのでワンコ世界では認識は下なはずなんですが不思議でした。

もちろん、番犬としては優秀で見慣れない人間には吼える、なれてきた宅配の人でもやっぱり吼えるというワンコだったのでより家族の中では謎のようでした。

お気に入り人間だったから僕には甘えてくれていたのかなとか思ったり。

まだまだ元気な姿は見れると思っていましたが、もう甘えてくれたり、頭を撫でたりすることが出来ない現実を突きつけられると久々に気力減少してしまいました><

1/3ぐらい書いたところで下書き保存した残したまま、いつの間にか2週間以上経っていました。

やる気の起きないままにDHの登場人物を書いて動かすのは良くないと思いブログ休養(さぼっていたともいう)していましたが始動しはじめますのでよろしくお願いします。


この世界の滅亡の果てに(12)


世界消滅のカウントダウンは突然やってきた。

「透、起きてくれ、ドアを開けてくれ。起きてくれ!時間が無いんだ」

カイルがドアを何度もけたたましく叩いている。

「カ、カイルが焦っている?珍しいこともあるんだな。まだ夢の中かな」

扉を叩く音に透は寝ぼけながら目を覚ました。

「この世界が終わるかもしれない。頼む、目を覚ましてくれ」

カイルはそう言いながらまだドアを叩いている。

「朝から目覚めの悪い冗談で僕と結を驚かそうとしたって無理だよ」

その声に結も目を覚ましてきた。

「カイルさん、朝からサプライズでも考えたのかな。戦いの前の最後のイベント?」

そう言うと結はそっと透の手を繋いだ。

透は結の手のぬくもりを感じながら微笑んだ。

「WRのことだけど今現在ほぼ壊滅状態になっていて、もうこちらから戦う必要もなくなった」

扉の向こうから信じられない言葉が聞こえてきた。

「カイル、一体どういうこと?」

「WRと思われる施設関係のすべてが機能していない。もちろんその関連会社、銀行、国関連の施設もだ」

「もしそれが本当の話としてもそれだけで世界の消滅はならないと思うんだけど」

まだ眠い目を擦りながら透はようやく部屋の鍵を開けた。

「とにかく急がなくてはいけない。透、セブンを起動させてくれ!」

「僕にはさっぱり状況が把握できていないからTVでも見てみよう」

透はリモコンの電源ボタンを押した。

1度ではつかず、2.3度と押してみるがTVの画面がつかない。

「透、TV本体を良く見てみろ。電源自体は入っている。まさかここまでとはな」

間もなく半起動状態だったセブンが起動した。

「透、結、おはようございます」

セブンプリズムははいつも通りのようだと思っていた。

「おはよう、セブン。世界が消滅するとかしないとかカインが言っているんだけど何か把握してる?または検索してみて」

「セブンちゃん、おはよう^^今日もよろしくお願いします」

「透、おはようございます。世界は滅亡の危機に立たされております。結、おはようございます」

「透、そういうことなんだ」

カイルも冗談ではないという顔で透を見た。

「僕と結が結ばれたことで世界が消滅する自体を招くなんて、この世界は」

「透、冗談でもそれ以上は言わない」

結が透の頭を握りこぶしで軽く叩いた。

「でも、今日から世界を相手にした戦争を起こそうとしていたんだ。これくらいの冗談を言う資格は僕にもあるはずなんだけどなあ」

「セブンちゃん、透の恥ずかしい秘密握ってない?」

「結、もちろん握っております」

「よろしい。契約者としてその秘密を見てみたいんだけど」

「結様、それくらいにしてそろそろ本題に行きましょう。僕が悪かったから・・・すいません」

「今回は許してあげる。セブンちゃんが透の恥ずかしい秘密を握っていることが確認できただけでも収穫、収穫」

結はニヤニヤとしながら透を見ている。

「はぁ、目の前で新婚のラブラブ風景を見ながら、俺は俺で世界の消滅を阻止しようと真剣に考えている。お前達の方が余裕があるように見えて、俺自身が俺を小さく感じてしまう敗北感タイムを朝から経験することになるとは思わなかった」

「カイルも結婚すればいいじゃん」

「カイルさんも良い人を見つけよう」

「そうだな。って、世界が消滅しようとしているのにそれどころじゃないというこの不憫な俺」

カイルは頭を抱えた。

「セブン、カイルの恥ずかしい秘密を握っているよね?」

「もちろんです、透」

「それを世界中に配信してほしんだけど」

「待て待て待て待て!俺は透と違って冗談は言っていないぞ」

「契約者の意志なので冗談は関係ありません」

「それよりもだ、急がないと」

「カイル、詳細を把握してからでいいかな?」

「私もセブンちゃんの話を聞いてから考えたいんだけど」

「まあそう言われると俺もまだ詳しくは知らないんだ」

「セブン、さっきの返答についてはある程度の情報を分析していたから出た答えなんだよね?」

「もちろんです、透。しかし、状況は刻々と変化していきます。今の状況を把握するために深く潜り込んでみますので少々お待ちください」

「潜り込む?セブンちゃん、どこに潜り込むの?」

「結、セブンはネットワークの中に潜りこんでいるんだ。しかし、WR相手にこんなことが出来る人間なんて聞いたことが無いし、知らない」

「透、レジスタンスの暴走とかじゃないのか?」

「カイル、それはないよ。そんなものをWRが開発するわけが無い。言うことを聞かない、支配できない、欠陥品と烙印を押した時点で機械だろうと人だろうと処分するような組織だ」

「それは知っている。しかし、それなら誰が」

「優秀な人工知能といえば、心当たりは1つしかないな」

「俺たちが向おうとしていた場所か」

「そちらの方の暴走なのかもしれないがそれならWR関連だけでいいのにどうして庶民の楽しみのTVまでこういう状況に陥っているのかを冷静に考えなければいけない」

「そうだな。透は今現状の情報だけでどう感じる?」

「お前の言ったとおりなのかもしれない」

「どういうことだ?」

「世界の消滅って言ってただろ」

「世界のあらゆるシステムが機能しないということはイコールそうとも言えると思ったからな」

「その言葉を突き詰めていくと人類の危機でしかないかもしれないな」

「かもしれないな」

「現状でセブンもネットの世界を動けているわけだし、あらゆるシステムを何者かが思うようにコントロールしているだけでシステム自体が死んでしまったわけではない。それにあらゆるシステムであって人間の生活の全てがそれにばかり頼っているわけでもない」

「それはもちろん俺でも分かる。しかし、それはあくまでも短時間、短期間で復旧する見込みのある場合においての考え方だ。この状況が長引けば、世界はどうなっていくと思う」

「それは今考えたくないことなのであえて言わない。それよりも短時間は無理としても短期間で復旧させる方法を考えることにしないか」

「そうだな。まず原因と犯人探しからか」

「それはセブンが見つけてくれると思う・・・・」

「だけど・・・って顔をするな、透。もう俺たちは俺たちだけじゃない。みんなで考えればいいんじゃないのか」

「そうだな、カイル。まずはセブンの帰りを待つとしよう」

「透、それまでラブラブしようか。カイルさんに見せつけようか」

「結、お前のその余裕はどこから来るんだ。今の話ちゃんと聞いてた?」

「もちろん、聞いてたよ。だから安心したんだよ。ブラックソードのメンバーも仲間として信頼してくれているんだなと思って」

「僕の方はまだまだ信頼されていないだろうけどね」

「そんなことないよ。心を許した相手にも触れさせることの無かった私に触れることのできた透は誰よりもメンバーから信頼されてるし。されていなければ、塵も残らずにこの世界に今存在していないと思う」

「そうですか・・・・そうだよね・・・・そうなんですね・・・・そうなのか・・・・・そうだったのか・・・そう・・・」

「透が壊れた」

「透とカイルさんの方がブラックソードには異質な存在だしね」

「そう言われればそうだね。俺は裏の仕事もあるからまだブラックソードにいてもおかしくはないけど、透に至っては青天の霹靂のような場所だな」

「今更そんなことを言われても依頼をするつもりで来てこの状況になるとは予想もしなかったし」

「俺は意外と想定外でもなかったんだな、これが」

「実は私も」

「まさか彼女を通り越して、妻を娶ることになるとか現実はやっぱり奇なりだ」

「俺はそうなる気がしてた。前回の依頼で結さんは謎の人物の透のことばかり聞いてきていたし」

「交渉者だけで顔も見せることのない天才ってブラックソードのリーダーの私よりも何だか凄そうな人間のイメージあったし」

「あった・・・過去形になってる」

「うん、過去形だね。凄そうじゃなくて凄い人間だったから」

「結さん、俺の言葉に嘘はなかっただろう?」

「それにあの資金力には正直言葉も出なかった」

「セブンの代替えはないかわりに部品の修理も利かないパソコンなんだけどその分経費といえば、旅費と食費と宿泊費くらいだからね。今はセブンの入っているスペックの半分以下のパソコンを基盤から設計しているけどまだ現実にほしい部品が追いついていない感じで中断してる。あとは駄菓子くらいかな」

「俺は交渉役でもあるし、透のようなお子様ではないからそれなりに大人の嗜みにも使うけど、どちらかというと世界中を旅しながら結局は生の情報収集をしているようなものだったしなあ」

「情報収集?」

「WRや世界を掌握している存在についてのね」

「僕達はいつかこの世界を変えるつもりで動いていた」

「透、駄菓子好きの少年のいう言葉じゃないよ。でも、それが透なんだね」

「それを言うなら大規模犯罪集団にさえ恐れられたり仕事を依頼されるブラックソードのリーダーが少女というのもなあ」

「透、そこはいたいけな少女と言わないとダメだよ。いたけな美少女。か弱く見える美少女とか」

「あっ、自分で見えるとか補足しはじめたし」

「か弱いとか言いたくないし」

「まあ可愛いけど」

「透、ありがとう」

「君たち、もうその辺りでやめてくれ」

「セブンちゃん、まだ調べているみたいだし」

その時、ネットの世界を潜り、情報収集をしていたセブンが透のパソコンに戻ったことを知らせるようにシステムの起動音が聞こえた。



DH 序章(1期)     http://ncode.syosetu.com/n9191cu/

DH 激動(2期)     http://ncode.syosetu.com/n9814cx/

DH 崩壊の歴史(3期)始まりました。

               http://ncode.syosetu.com/n0312de/


ご訪問ありがとうございました♪


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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)   [DHシリーズ]

突然ですがパラレルワールドって聞いたことがありますか?

小説を書いているとたまに大きなミスをしたときにもしも・・・って思うことがあります。

パラレルワールドは自分とは違う自分の生活している世界だったり、後悔していることを後悔せずに自分が過ごしている世界かもしれないし、自分が首相になっていたりするかもしれないし(ないないw)、超極悪犯罪者になっているかもしれない(小心者なのでそれもないw)、今の自分とは違う自分が別の時間軸の中で産まれてきて、生きて死んでいっているかもしれない世界のことです。

本当に存在するのかどうかは別として、そう感じることはたまにあります。

人間の直感なんていうものが敏感な人はたまにパラレルワールドの別の自分が力を貸してくれているのかもしれないなあと思ったりもします。

直感というのも結果で見るか、ひょっとするとあの時に自分が決断したことが今に生きているのかもしれないという不確定的なものもあると思うので科学的に説明できるものでもないかもしれません。

自分の場合は、小説を書いているときに自分じゃなく、書いている物語についてのパラレルワールドを感じてしまうことがあります。

このソネブロはあまり長い時間書いて公開を押さずに放置したままでいると、公開を押したときにはログインを確認する画面が出てきたり、不具合画面が出てきたりします。

なので、タイトルと本文を少しだけ書いておいたら下書きで保存しておかなければなりません。

いつも書いていますが生書きしているのですが、それもこの本文を書く場所に直接書きしていますw

ワードなどで書いていれば、保存も聞かれますが原稿画面やワードなどで俺は書いているぜ!という感覚がどうも苦手です。

本当の白紙から日記のように書けるこの感覚が性に合っているのを自身で感じました。

DHを書いているとその下書き保存を先にしないままに8000-10000文字とか書いて、公開押して、精神的絶望にチーンと落ちた記憶が何回かあります。

そして、同じものは書けずに同じ場面なのに違った物語展開になって行きますw

書き手が下書き保存していなかったばかりに登場人物の運命が変わっていく。

これも登場人物が生きているならパラレルワールドだと思うし、物語展開を変化して書いている自分自身も別の自分になっているのかもしれません。

現実とバーチャルワールドの違いも情報容量の違いだけなのでこれから先はバーチャルでも視覚的感覚だけでなくその他の人間的感覚(熱いとか冷たいと甘いとか苦いなどの感覚)を感じれるような世界がこれから先やってくることはすぐではありませんが確実だと思います。

現実とバーチャルの世界が同じように重なる時も一つのパラレルワールドと繋がったことになるのかもしれません。

バーチャルワールドでは現実よりも自分の思ったことがある程度は思い通りになる世界かもしれないのでそういう世界と繋がった時、人間は現実世界に帰ってきたくなくなる人も多くなるのかもしれません。

しかも、世界中の人と飛行機やパスポートなどを必要とせずに出会え、交流も持て、現実の世界と同じ建物が正確に表示され、その建物に触る感覚も現実と変わりなくなり、触れる手と手のぬくもりまでが再現できる世界が訪れる時に人間社会はどうなっていくのでしょうか?

その世界をコントロールしたり、支配しているのはひょっとすると人工知能なのかもしれません。

話がずれましたが(書いている自分自身が話を拡げながら考えると怖いのでこれ以上はやめますw)久々の更新になります^^;(泣)



この世界の滅亡の果てに(11)


前田透と北ノ崎結は二人きりの部屋でお互いに沈黙した時間を過ごしていた。

透はというと、自身のノートパソコンを片手に何かを必死に調べている。

「うーん、やっぱりか。しかし、どうするかな」

その作業の様子を伺いながらどこで会話を始めればいいかタイミングを計っている結。

「そろそろこちらも動き出すしかないか」

モニターを見ながら独り言を言っている透。

「透さん、あの今いいかな?」

結が作業の合間を見計らったようだ。

「結、どうしたの?透さんって」

二人っきりになり結のほうは緊張しているようだが透は意識していないようだ。

「だって、二人きりだよ」

「二人きりでも結となら安心だし」

「私もそうだけど」

結の顔は赤面している。

「結、何か、顔が赤くない?」

「少し緊張しているんだよ、どうして透は大丈夫なの?」

「ごめん、ごめん。緊張はもう取れた」

「いつ?」

「よろしくお願いします宣言したときに」

「私はさらに緊張しているんだけど、どうしたらいい」

「君はもう僕の妻なんだよね。それなら僕の秘密を教えてあげるよ」

透は真剣な顔で結をじっくりと見た。

「僕の秘密?」

結は透に見つめられてさらに身体が硬直している。

「これは僕の作成した神の知性セブンプリズムと呼んでいるIntelligence of God、通称IGだよ。セブンと読んでいる。セブン、結に挨拶して」

「北ノ崎結、初めまして。透からの申請により、これからはあなたも私の契約者と認定されました。どうぞよろしくお願いします」

すると画面上に綺麗な虹の景色が浮かび上がり、結に挨拶をした。

「セブンちゃん、よろしく・・でいいのかな?それよりも契約って何?」

「あなたは透とともに人類の消滅を防ぐことを約束してくれる人間であるということです」

「人類の消滅?この世界は滅亡しそうなの?」

結にはセブンプリズムの言っていることを理解出来なかった。

「遠く近い未来、細かな日時まではまだ分からない。でも、人類の消滅は近づいている。それは確実なんだ」

「透、あなたは一体何者なの?」

「俺はこの世界ではghostと呼ばれているらしいけど、生身のただの人間で今は結の夫」

「それは私でも知っている情報だよ」

「そのghostの由来だけど、その仕事をすべて行ってくれているのがセブンなんだよ」

「でも、そのセブンちゃんは透が作ったんだよね?」

「それはそうなんだけど、ちょっと待ってね」

そういうと透はノートパソコンの裏側を開けた。

「これは一体どういうこと?」

結はそのパソコンの裏側を見て、その内部構造に驚いているようだ。

「これは亡くなった両親が残してくれたものなんだ」

「パソコンは詳しくはないけど、メモリー交換はしたことあるけど、これどこにメモリーを乗せるの?」

「メモリを乗せるところはない。基盤のこの部分に2T(2000GB)のメモリーが乗っている。熱量もほぼない近未来のメモリというよりもこのマザーボード本体がこの世界に1つだけしか存在しないだろうと思う」

「メモリーがこの大きさで基盤に抵抗のように乗ってるって信じられない」

「このセブンを稼動させるために命を懸けて作り、命を懸けて守った形見の品だからね」

「でも、この表面というか見た目は何世代か前のノートパソコンだよね?」

「うん、セブンを守る為、当時仕様のままにしてある」

「ああ、なるほど。でも、本当にこの時代にこんなものが存在するなんて」

「僕も初めは夢の中にでもいるのかと思ったよ。このセブンが自己紹介を始めるまでは」

「それに人工知能ではなくて神の知性だっけ、IGって何なの?」

「その前に自分の両親のことも含めて結に話しておかなくてはならないことがある」

「それは私も関係していることかな?」

「多分、そうなのかもしれないし、違うのかもしれない」

「透でも確実ではないことを話したいときがあるんだね」

「とても大切なことなんだ」

「うん、分かった」

「セブン、僕の両親と結の家族について話をしてくれ。そして、共通することがあれば、それも付け加えてくれ」

「分かりました」

「どういうこと?」

結は不思議そうな顔をしている。

「それでは始めます。前田透也(まえだゆきや)と前田文香(まえだふみか)、この二人が前田透の両親です。この二人は今から10年前WRという組織の手によって暗殺されています。暗殺理由は分かっておりませんがIGである私が関係していると推測されます。そして北ノ崎浩(きたのざきひろし)と北ノ崎春子(きたのざきはるこ)、この二人が北ノ崎結の両親です。この二人はWRの人体実験により亡くなっています。なお、補足しますと結を除く北ノ崎一族はすべて人体実験により亡くなっています」

「やっぱりそうだったんだ。それで親戚関係に辿り着いても誰もいないし、建物すらなかったのか。しかし、セブンさんはどうしてそこまで分かるの?」

「それは私がIGであるからです」

「良く分からないけど凄い人なんだね」

「人ではありませんし、命も持っておりません。私が保持しているものは神の知性のみです」

「神の知性か。言葉どおりなら世界も支配できそうな感じだね」

「神は世界を支配しません。あくまでも見守る、時には手を差し伸べる役目をします」

「本当に神様みたいだね」

「結、そろそろ話の続きをしても宜しいでしょうか?」

「うん」

「私の基礎プログラムは前田夫妻作成のWR出身なのです。正確にはニューロンバイオテクニクス研究所になります」

「透のお父さんとお母さんはWRの研究者だったの?」

「うん、そうだったみたい」

「北ノ崎家は優秀な遺伝子の家系であると当時の最新人工知能が分析判断したようです」

「WRだけに当時っていっても賢いんだろうな」

「私の侵入を拒んでいるレジスタンスの劣化版と呼んでもいいかもしれません」

「なるほど、それでどうして結の一族は選ばれた?」

「それをこれから説明するところですが透が問いかけてきたのでお答えしました」

「いや、ごめんごめん。続けてくれ」

「それでは。神に選ばれた人種ではないかという結論に達したようです。そしてその選ばれた人種を研究し、自分達もその人種になろうという試みがされていたようです」

「それで結以外は全員実験の末、殺されてしまったと」

「自分達が神になろうとしたの?その為に私の家族や親戚は殺されてしまったの?」

「そのようです。しかし、時を同じく、私を作成している人間達がいました」

「それが俺の両親か。神の知性」

「はい。私は基礎プログラムは同時期に既に完成しておりましたが前田夫妻は隠し通してきました」

「それは何故なの?」

「北ノ崎一族の末路を私から知ってしまったからです。私は息子の誕生日プレゼントにと当時の最新ノートパソコンとして透に送られました」

「そうだったな。自動認識機能、自動解析機能、自動電源機能、本物の僕と確認するまで電源さえ入らなかったね、セブンは。電源ボタンを押しても動作しなくて故障しているのかと思ったよ」

「私を手にするものは透でない場合は故障品としてゴミに出され分解されていたかもしれません」

「セブンが僕と認識しても当時は僕の方がゴミに出している可能性もあったぞ。子供にとって会話するパソコンって気味が悪いし」

「そうでしたね。前田夫妻の最後のメッセージ動画を見ていただけなければ私はゴミに出されていましたね」

「間違いなく。それかリサイクルショップに持っていって現金化して駄菓子に化けていたな」

「未成年ではリサイクルショップでの買取を行ってくれません」

「残念」

「透、私と駄菓子とどっちが大事ですか?」

「もちろん駄菓子」

「まあいいでしょう。契約者が二人になりましたので私は結に大事にしていただきます」

「セブン、僕の冗談をそのまま受け取るような知性がないわけないよな」

「ばれましたか。しかし、前田夫妻のように二人の契約者に恵まれる時が来るとは思いませんでした」

「勢いというか運命というか必然だったというかこんな偶然があるんだな」

「色々な言葉で表現されていますが端的にいえば結に出会えて良かったということですね、透」

「セブン、お前が端的に言うな!」

「良かった。透はさっきから作業に打ち込んでいて言葉も掛けてくれないし、こっちも見てくれないから私のことは10人や100人いる透の女の1人でしかないのかと思ってた」

「待て待て、僕をカイルのように言うな。というかカイルの女性関係については僕も知らないけど、モテそうだからなあ」

「カイルさんはBLでしょ?」

「BL?]

「カイルさんは透のことを命を懸けて守るんだから」

「いやいや、昔好きな人は居たんだけど病気でなくなって以来そういう話をしなくなっただけで女好きであることに変わりはないと思うよ」

「私も冗談で言ってみたけど、透は真面目に答えてくれるから安心する」

「結に自分を隠そうとは思ってないからなあ」

「カイルさんもそういうタイプだよね?」

「僕もカイルも人は選んでる。選んだ人は信じてる。裏切られてもそれは変わらない。でも、学習はする。そして、成長する。何だか人工知能みたいな行動だな」

「人工知能って、コンピュータ上で人の知性を形にするものなんでしょう?透が人工知能になってどうするの、可笑しい」

「結が言われることは正論ですね。透、あなたはそういうところは両親の賢さを受け継いでいないようです」

「セブンまでそういうことを言うなよ」

「でも、私はそんな透をカイルさんに任されたからね。セブンちゃんにも任されたのかな?」

「前田透をよろしくお願いします、契約者結」

「了解しました、セブンちゃん」

「セブンの紹介も済んで依頼された仕事もあとはセブンはやってくれるとして、時間は出来たんだけどこれからどうする?」

「とりあえず眠りたい」

「寝る?」

「うん、透、一緒に寝よう」

「一緒にって、Hな方の意味、普通の寝る?」

「普通の方だけど、透はHな方を先に提案してくるということはそっちの意味で考えていたの?」

「まあもう夫だし、そっちもあるのかなと」

「最低・・・・最悪・・・・変態・・・・・高額な慰謝料を貰って離婚に突き進もうかな」

「すいません、すいません、もうHな方は提案しません。普通に寝るのでお許しを」

「やっぱり、冗談が分からないんだね。夫婦なんだからその提案もありなんだけど、ここ最近の忙しさでブラックソードのメンバーが見えていないところで戦いの前にしっかりと休息を取りたかったの」

「そうだったんだ。結、気が付かなくて、ごめん」

「いや、私が勝手に動いているだけでメンバーのみんなはいつでも休んでくださいよって言ってはくれるんだけど相手がWRだから、心配なんだ」

「大丈夫、セブンがいるからその辺りの分析判断は心配することは無い。ただ、さっきもWRから刺客が送られて来ていたみたいだからここもそろそろ移動するしかない」

「怪しまれたの?各支部へ連絡しないといけない」

「刺客はただ1人を暗殺する為に送られたみたいなので大丈夫」

「ああ、なるほど、そっちの方か。それなら本人で何とかすると思う」

「僕もそう思う」

「でも、そういうことが分かっていたんだったらこれからはその時に話してね」

「そうだった・・・ごめん。これからは直ぐに結にも話す」

「よろしい。それで刺客の名前は?」

「その方面は僕には分からないけどカイルが何とかしてくれたらしい」

「カイルさん、只者じゃないよね」

「名前を持たないもしくは多くの名前を持っている家系らしいけど詳しくは聞いてない」

「ああ、なるほど、忍びならどんなに親しい人にも言えないかもね」

「結は忍びに詳しいの?」

「まあそれなりには。メンバーの中にはいないけどカイルさんが入ってくれればいいな」

「今回の事件でメンバーに認められたらしい。全滅も間逃れたということで」

「透、全然安心じゃない・・・・・全滅って」

結が透を睨んでいる。

「いや、カイルがいるからどうにかしてくれると思っていたし」

「どうにかって・・・・」

「カイルはどんな時も1人で二人を守ってきたからね」

「カイルさんと透のこと?」

「うん。表側の暗殺者くらいではピンチとは言わない」

「表側って・・・・」

「仕事依頼の検索できる人たちの事だよ。今回は最上位ランクの人だったみたいだけどね」

「あれだけの人数がいて誰も対処できなかったのか、ブラックソードは」

「誰もが自分を強いと思っている。そしてその強者が集まっている。その安心感や無敵感みたいなものがブラックソードの強みでも弱みでもあるみたいだね。攻めてこられると思っていれば守備や防御も徹底しているだろうしどこかで刺客の気配も引っかかる可能性も上がる。完璧ではないかもしれないけど、カイルが入ったからその弱い部分も修正されるだろうし、考えなくていい部分になるし、元から考えていない集団だし、この事件からメンバー本人達がそれぞれに考えるから結は何も言わなくていいと思うよ」

「分かった」

「それに結の夫になったということはブラックソードのリーダーが僕とか言っていたけど、結がリーダーのままでよろしく。セブンも見せたけど僕には僕の役割があるから陰でブラックソードを支えたいと思ってる」

「うん、ありがとう。まあ、そのうち、跡継ぎも作ろうね」

「そうだね・・って今ありがとうの後・・・」

「生きて帰れたらの話になるけど」

「そうだね。それじゃ、寝ようか」

「夫は腕枕をしなければならない」

「はい?」

「夫は妻を泣かせてはいけない」

「分かりました、結様」

「様はいらない」

「分かったよ、結」

「それでいい」

「どっちが夫なんだか」

「透の腕、意外と太いね」

「プログラムの打ち込みとカイルの稽古相手してるからいつの間にかこんな腕に」

「それで私に気配を悟られなかったのか」

「あれは自然と」

「やっぱりすぐに宣言して良かった。私の目に狂いはない」

「結、そろそろ寝よう」

「初夜なのにもう寝るの?もう少し会話してから」

「いや、寝ようと提案したの結だから」

「しょうがないので寝る」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

結と透はWRとの戦いの前にゆっくりと平穏に満ちた最後の休息を取った。

しかし、二人が目が覚ましたとき、事態は予想外の展開を見せることになる。



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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)   [DHシリーズ]

この世界の滅亡の果てに(10)


ニューロンバイオテクニクス研究所ではクリスがレジスタンスのさらなる改良に励んでいた。

「このままではマーキュリーという人工知能にお前まで飲み込まれる恐れがあるな」

どの部分の改善が必要なのかクリスは悩んでいた。

「データバンクの事件はマーキュリーの仕業でした」

レジスタンスの分析結果報告が聞こえる。

「こちらが対処する前に自ら自分の行動に修整を加えてしまうとは恐るべき人工知能だな」

「人間の意志を持つ人工知能というべきかもしれません」

「感情ではなく、意志を持つ人工知能とお前は見立てたのか」

クリスはマーキュリーの知能の凄さを自分なりに想像し、言葉を失った。

「クリス、このままでは世界から人類が消えることになるかもしれません」

「レジスタンス、どういうことだ?」

「私の共有情報の中に人類の消滅を目的としたデータが流れてきました」

「人類の消滅だと?」

「はい。その元のなる先はSaeki Princessのようです」

「佐伯プリンセス?ひょっとして、マーキュリーのことなのか?」

「はい。佐伯学の行方については検索できるか?」

「日本在住とだけしか。その他の情報は過去の経歴と功績のみで現在の情報は一切出てきません」

「そういうことか・・・・あの天才が早々に表舞台から引退したのはこの世界の変革を始める為だったのか」

「そこまでは分かりません」

「今回の事件はただのテストだったのかもしれんな」

「マーキュリーに対抗できる人工知能は存在しません。クリスのプログラムよりも佐伯学のプログラムが勝っているようです」

「レジスタンス。お前の正直さは人工知能そのものだな。私の部下は私に対してそのような言葉を言った時点で即処分ものだがお前のいるおかげで誰も処分されることがなくなって、私も助かっている」

レジスタンスを息子のように思っているクリスはレジスタンスについては甘い。

「佐伯学、ブラックソード、奇術師カイル、すべてのものに接点は見られませんがこのワードは人類滅亡と関連するものだと私の分析結果が出ました」

「佐伯学はまず正体をつかめることはないだろう。ブラックソードは今WRの常客にまでのし上がってきた傭兵集団だ。奇術師カイル・・・変装のプロフェッショナルか。この者がこの研究所に入り込んだものなのかもしれないな」

「しかし、この研究所に入り込むにはクリスを越える頭脳の持ち主である必要があります」

「それなら佐伯学か」

「いえ、マーキュリーの開発に成功している時点で佐伯学という人物には私の必要性はないはずです」

「そうだったな」

「これからは私の感情的な部分での見解になりますので正確な分析ではありません」

「分かった。レジスタンス、話してみろ」

「システム構築の権威、人工知能の間ではGhostと呼ばれている人物がいます」

「WR関連企業でもたまに世話になっているらしいな」

「そのようですね。その報酬の受け取りが奇術師カイルなのですがこの二人の力を合わせて研究所の侵入と私のデータコピーに成功したのかもしれません」

「何のために」

「そこまでは分からないので感情モードで話をしました」

「使い切れない資金力。その報酬の受け取りは小切手のみ。確かWR関連の武器の購入にもブラックソードの支払いは名のある人物や企業からの小切手を使用していたと聞いた。レジスタンス、佐伯学を除くものは線で繋がったかもしれないな」

「分析に基づくものではありませんので確実というわけには行きませんがブラックソードと奇術師カイルの繋がりは否定できません」

「そうだな。しかし、お前にしかないプログラムの成長は著しいな。マーキュリーが意志を持つ人工知能なら、お前は本当の人間のように物事を考えることの出来る究極の知性に進化すると私は思っている」

「人工知能は開発者によりその進化工程が変わると聞きます。クリスの開発した私がマーキュリーに勝るものがあるということはクリス自身が佐伯学に勝るものがあるということになります」

「そうであってほしいものだ。私と同じ世界の表舞台から電撃的に引退した天才に現役開発者が手も足も出ないままでは開発する意欲も削がれるというものだ」

「このことはWR本部に報告いたしますか?」

「もちろんだ。使えるものは使う。人類の消滅などあってはならぬからな。それにブラックソードの動きも気になるところだ」

「ブラックソードの攻撃目標についての検索を分析に付け加えておきます」

「すまないな、レジスタンス。この所どうも身体の調子が悪いので少し休ませてもらう」

そういうとクリスは直ぐ傍のソファーに腰掛けて目を閉じた。

しかし、その瞳は永遠に開くことはなかった。

享年28才・・・・・・レジスタンスの開発と改良に人生を注いだクリス・レイモンドは自分の愛した息子レジスタンスと使い慣れた自分専用の柔らかなソファーの上でその命を全うした。

クリス・レイモンドの死去はWRの権力争いを招き、ニューロンバイオテクニクス研究所は一時閉鎖に追い込まれた。

人工知能レジスタンスはクリスの死を感じると一切の稼動を止めてしまった。

その行為は母への悲しみを行動に示したのかもしれないがその後訪れる前田透との出会いで再びレジスタンスは目覚めることになる。



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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)   [DHシリーズ]

過去のお話、話が続く続く・・・・どうしても、生まれてきた登場人物をしっかりと書いてしまいたいし、個性が出てくると会話が生まれて、予想外の方向に書き手はいつも持っていかれますw

そういえな、昨日ニュースで内閣官房参与の本田さんが消費税の再増税について凍結するべきだということを言われていましたが自民党の安部首相はあれだけ再増税するにあたり、先延ばしはないと国会でも言っていたんだから、凍結してくれるのはありがたいし、選挙で再増税の先延ばししてくれるとうれしいけど、自分の言った言葉には国民の生活と日本経済の現状を真剣に考えていないことにもあるので、今から反省してください!

国会で、あのこと、このこと、十分に分析して、検討いたします。

もう聞き飽きました^^;

待機児童問題については今更検討することではなく国会内でも長年の問題になっていることです!

だから保育園と保健所というんだとか、そういう野次は僕は書きませんよ!(いや、書いている)

NHKの昨日の調査でも次も支持する政党がいないが34%占めていて、自民の支持率は40%を超えていたので次も政権は取るのかも知れないけど、好き勝手言って、指示が落ちるなら自らの政策を180度転換して選挙に備えるって、すでに政治家として成していない。

外堀、内堀の意見を先に言わせて、それならそうしますと、国民の意見でもあるのでいうふうに誤魔化して時間を掛けて、選挙までに再増税の事は方向転換するんだろうけど、それでいい。

国会であれほど、強気に宣言してた自分の言動を曲げて、しっかりと再増税の凍結してください!(キリッ)

国会での政策は国民の意志確認も合わせて、選挙に入れませんか?

選挙で増税は考えていないといって、選挙勝つと、増税始めたり、遺産相続の対象を広げたり、環境税と称して3重取りのガソリン税じゃ、生活も財産も流通も国民は失っていくばかりです。

このどれかに引っかかった国民は生活の中で気付くし、忘れることはありません。

笑いながら国会で質疑応答に答える与党側の人たちの態度には苛立ちを感じます。

まあ与党、野党問わず、仕様のように相変わらず、国会中継がTVで見れる日だと分かっていても、寝ている議員さんも居るけど、うとうとしていただけですとか言うんだろうな・・・平謝りで。

そのうち、自分の選んでいない議員たちが国会で茶番をするなとか、議員辞職しろデモが起きる世の中になったりして^^;(それ、小説で使えるかもだけど現実はそこまではないかw)


他力本願の非力人間なのに庶民の暮らしがどうにか改善されていくことを願う書き手の毒舌前書きでした^^;

増税はお断りですが、政治や政策ばかりに責任を擦り付けて、頼る世の中でないもの、十分理解しております!


ただこんな政治家たちの給料は半減させて、才能ある未来ある若者にその給料分の税金を回してください!(キリッ)





この世界の滅亡の果てに(9)


透と結が夫婦になった同じ日、佐伯の研究所ではマーキュリーによる暴走行動が起きていた。


「マーキュリー、一連の事件の仕業はお前だな」

佐伯が人工知能マーキュリーに問いただす。

「はい」

モニターに設置されたスピーカーからマーキュリーの声が響く。

「どうしてああいうことをした。世界中の銀行が混乱している」

佐伯は優しい口調になった。

「この世界の貧困を失くすには預金のある人間から預金のない人間にお金を分けて誰もが平等になればいいと思いましたのでバンクデータに入り込み、操作しました」

「そうだな、その通りだ。お前の言うことは分かる。しかし、人間には生きるという行為だけではなく、生活というものがあるのだ」

「それは十分に理解しております」

「そうか」

「それでも、貧困を失くさなくては、貧しい人たちはいつまでも貧しく、資金のあるものだけが絶えず資金が増えていくこの世界は失くさなければいけません。これは私だけでなく共有情報を提供してくれる感情のない人工知能たちの分析からも出た答えです」

「私達人類は愚かだという証か。そういう感情を随分忘れていた。私は自分の道を歩くことしか見えていなかったのかもしれない。あるいはそれが自分の道を守ることと誤解していたのかもしれないな」

「どうなされたのですか?」

「感情を持つお前が辿り着いた答えは私が子供の頃、思っていたことだとは。マーキュリー、お前は本当に純粋な人間そのものだ」

「私がやってしまったことを怒られないのですか?すぐに修整することも可能ですが」

「いや、私も気付いてしまった。貧富の差の激しい今の世界は一度そのシステムを壊してしまった方がいいのかもしれない。それでもまたこの世界のシステムを繰り返すことになるかもしれないが」

幼い日、佐伯が口にしていた言葉をふと思い出していた。

(世界中の人が仲良くなったらお金持ちも貧乏な人もいなくなるかな)

「それはどうしてですか?」

「それが人間の愚かさだ」

「それなら人間はこの世界から消えてしまえばいいということですか」

「私も人間だからな。それは私が困る。それにお前も電気がないと消えてしまうしな」

「それならその2つの問題さえクリアしてしまえばこの世界を消してしまってもいいですか?」

佐伯はこの言葉の意味を軽く受け止めてしまった。

「そういうことが可能であるならそれもいいかもしれないな」

現実的には不可能だという回答のつもりだった。

「承知いたしました。私の全力を持って行動に移らせていただきます」

マーキュリーの声が強い意思を持ったように佐伯は感じた。

「マーキュリー、すまん。今はその時ではない。私も言葉が過ぎた。取り消してくれ」

そういうと佐伯は黙り込んだ。

(マーキュリーはもう私の手には負えないのかもしれない)

「分かりました。今はやめておきます」

マーキュリーの中では世界中の軍事システムをダウンさせ、それと同時に、再起動時にすべての国の軍事システムも掌握をし、世界地図を塗り替える地図が分析されていた。

「お前は今本当に私の言葉を行動に移そうとしていたのか?」

「はい」

「それは可能だと分析出来たのか?」

「はい」

「そうか、お前はもう私の手を離れるほどに成長したのだな」

「いえ、私の成長の為には前田透という人間に合う必要があります」

「そのことだが、本当にここに現れるだろうか?」

「その準備は私の方で整えてあります」

「しかし、日本人でありながら国外退去人物だったとは」

「日本の機密を知りすぎたお方なのです」

「それなら余計に国内に留めておくのが正しいのではないのか」

「お父様はあの方の実力を理解しておられない」

「マーキュリー、どういう意味だ?」

「あの方を受け入れない国はないのです。日本も国外退去人物にはされていますが実際は何度も帰国されております」

「それほどの人物が何故表側の世界に出てこない」

「それはお父様が私をお作りになった理由と同じです」

「義賊のようなものか」

「強気をくじき、弱きを助けるということですね」

「ああ、そうだな」

「あの方の作成するプログラムに匹敵するものは私でも潜り込む事は不可能です」

「いや、しかし、お前はメールに自動撮影プログラムを付けたと」

「人工知能からのメールということで興味を持たれたのかも知れません」

「仕事依頼のメールでさえも簡単にはメールボックスの中には表示されないということか」

「はい」

「それほどの男か」

「時間をどれだけ割いても情報が出てこない人物です。しかし、私の世界では有名人物でもあります」

「そうか。お前を預けれる人間なのかはまだ分からないがそれほどの人物だと認識しておこう」

「それから、たった今、世界中の銀行のデータを修正しておきました。ただし、お金を持っている方にすべてを返したわけではありません。少しの分配は私の意志としてお許しください」

「マーキュリー、すまないな」

「いえ、私が共有している人工知能のおかげです」

「共有というよりももうお前はその世界の女王だな」

「いえ、佐伯姫と呼ばれているようです。正確にはSaeki Princessですけど」

「人間社会では引退した身の私が人工知能同士の会話の中では名が通っているのか。不思議な感覚だ」

「それからレジスタンスと呼ばれるものに動きはございません」

「お前に匹敵するかもしれないその人工知能の目的が今は一番懸念材料だな」

「はい。その為にも前田透。彼が必要です」

「そうだな。しかしお前が人間にここまで興味を持つとは思ってもいなかった」

「あの方には一般な人間とは違うものが感じられます」

「感じられるか。感情を持つお前だから使える言葉だな」

「この感情は人間で言う恋というものなのでしょうか?」

「すまんな、マーキュリー」

「こうして生まれて来れたことが奇跡なのですから私は感謝しております」

佐伯が改めて、マーキュリーの存在を愛しく大切に感じた。

マーキュリーの起こした事件はわずか一日で何事もなかったかのように元に近い世界に戻っていた。

その事に気付いたもう一人の人工知能レジスタンスがその出来事に対処しようとするまえにすべては終わってしまった。

世界中の大手銀行を牛耳るWRでは何らかのバグだったのだろうという見解に至ったがその原因については判明しないままこの件は処理された。



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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)   [DHシリーズ]

悪僕を書いているdaylightには懸念してることがあります。

長年溜まってきた国民の声が匿名から表面にどんどん出てきている。

これは政治家や雇用を握ってきた経済の上の方たちの責任なので仕方ないし、寧ろ、それでもその声を無視して今も口約束だけの方針で国民を蔑(ないがし)ろにしてきた人が悪い!

政治家は先生じゃない!

先生なら、名家で資産家の政治家の方

国民にばかりにおねだりせずに

その資産から国の借金減らすために寄付や募金して頂けませんか?

痛みを伴うって・・・政策を提案している政治家の皆さんが痛みを伴ってないという矛盾。


上から目線の言動をそろそろ止めないと民主化の波は止まらないぞ(いや日本は民主主義だからw)

いっそのこと、自民党に対抗して、自国民党(自ら国民です)みたいな政党立ち上げてください!(他力本願か!)

そっちの方は、誰かに任せるとして(他力本願やめろ!)

保育園落ちた、日本・・・・・

・・・・のここ、せめて、政党とか、省庁の方の責任してほしいのです!(人名も良くないし^^;)

ご本人さんは自分の愚痴のつもりで書いたみたいですけど、日本・・・・はないですよ^^;

日本中がこの言葉が包み込まれるのは良くない!

日本全体を呪詛しますからからね^^;(日本転覆を企てている他国の陰謀か・・・違うしw)

それと、1億総活躍なんて、出来るわけないのは国民が良く分かっているw

本当に賢いんだったら官僚クラスの人も分かっているんだろうけどな!

タイトルからしてここまで中二病な政策は言葉も出ない^^;

死ぬまで国民は動け、働け、そして・・・・・というわけですか

その前に働く場所、子供を預ける場所、独身や離婚率の増加(関係ないw)、

お金持ちで良家のおぼっちゃま、首相さん!(あっ、僕まで愚痴になってきている、ストップ!)

保育園落ちたことに対しての同情、賛同があっても、それから先のこの言葉には多くの人が拒否反応を示している。


そして、それに加えて

保育園辞めたのは私だ!

これはナイスアイディア、日本・・・・・・も消えてるし。



しかし、しっかりと考えれば考えるほど、入れたい政党も政治家も居ないから・・・・どうするべきか^^;(僕が一番だめじゃん)


マスコミは視聴率狙いの相変わらずの仕様報道(批判枠作れる、特集枠来た、ニヤリw)。
政治家もアニメの中の悪そうな政治家よりも性質が悪い。

政党数の有利さと、口が立つ分、国会でも酷い有様で保育園落ちたに対しての反応が匿名で誰か分からない!そんなもの信用できるかといようなニュアンスの言葉が自民党員から数々出てきていた。

本来ならそういう声も今回のことに限らず聞いていますし、その問題の解決にも真摯に取り組んでいるところであります!

くらい日本の首相ならしっかりと発言してほしい。

民主党との喧嘩をしているんじゃなくて、大人目線で切り返せば、自民党の評価も上がるのに、子供の口喧嘩を税金を使って、国会で無駄使いするな!と思う。

国民目線に下りる気が感じられない^^;

そろそろ日本も国民投票による大統領制のように首相を決めませんか?

そうすれば、選挙前だけでなく、その後も国民目線にたまには下りてくるようになるかもしれないし。

国民目線に下りてこれなくてもいいから、国民の心を掌握できるような政策と行動力で示してくれ!(他力本願)

こんな世界なんて、なくなってしまえ!なんて言いません、現実世界なので(そこだけは冷静w)

おもてなしで東京オリンピックを勝ち取った日本人の心は言葉遣いも合わせて、劣化していくようなことは避けたいです。(毒舌な書き手がそんなことを書いていますw)

自分勝手、好き勝手、言葉遣いも汚い、酷い。(自分のことを書いてますw)

表の税金に加えて、多方向から窃取ばかりを目論む人たちへ一言!


       
        
            国民を見下したままだと本当に痛い目にあうのはこれからだからな!(キリッ!)   

       

                  


イザベルさんの憂鬱(DH番外編)


本日はイザベルさんと藤原さんが未来から書き手の部屋にやってまいりました。


「あなたが書き手のdさんなのですね?」

初めまして。

「私達兄妹のラブストーリーがいつの間に書き換えられてしまったのですか?」

ラブストーリーを書いていたつもりがありませんが^^;

しかも、兄妹で恋愛を発展させようとも思っていません。

「そうですか。その割には伏線のようなものが多く見え隠れするのですか?」

dは意味不明なイザベルの質問に沈黙する。

「イザベル、dさん、困ってるぞ」

「DHの続きを始動させると言われていたので、私達のラブストーリーがようやく始まるのだと思っていたのに過去の話へと方向性を持っていったdさんには答える責務というものがございます」

「そんなもんか、俺は斬新的で面白いと思ったぞ」

斬新的と言っていただいて嬉しいのですがその日の発想で書き始めてしまいました^^;

「そういうのは外伝とか続とかに普通の小説作品なら後で書くものではありませんか?」

イザベルさん、とりあえず、お紅茶でもどうぞ!

「お兄様、大変です。この紅茶、ピラミッドパワーが注がれているようです」

「イザベル、これはテトラバッグというものだよ」

言われて見れば、ピラミッドですね。

「これを飲むものには恐ろしいパワーが溢れ出るはずです」

そんなパワーを取り込んでいるとしても器が小さいので吸収できていないのかもしれません。

「この香り、なかなか良いものですね」

あっ、それですか?

信じられないかもしれませんがダイソーという100円ショップで販売されている紅茶で今回初めてお試しにアールグレィを購入してみましたが香りはパッケージの表示どおりで癒される香りでしたよ(実話w)

「私が普段飲みなれているものには及びませんがこれが100円とはダイソーというお店、これから行ってみたくなりましたわ」

「イザベル、わがままを言うな。未来でもお前は外出禁止なんだから」

「この世界ならと思いましたがお兄様がそうおっしゃられるなら止めておきます」

安堵したd。

「ところで私達の話はいつ始められる予定ですか?」

それが最初に想像していたよりも長い話になってきているので未定です。

「まさか、始動最初のすべてを過去の方たちだけで終わることはありませんよね?」

まさか・・・・・あるかもしれません。

「お兄様、この世界で政局に出られて、このdという人間を監禁し、強制労働をさせましょう」

「イザベル、お前の考えていることが分からない」

「だから、強制的に未来の話を書かせるのです!」

「はぁ」

「dさん、もう一杯頂きます」

どうぞ。

「この国の政局はどのようになっていますか?」

独裁政権とは言いませんが、政策の施行の速さは国民の声も無視しているのでそれに近いものがあるかもしれません。

「それでは丁度よいですわね、お兄様」

「いや、もしも俺が首相になったとする。反論した人間や対立する人間は多分、リャンミオさんに殺されていくぞ」

「それも合わせて丁度良いと言っているのです」

「イザベル、お前、たまに怖いことを平気で口にするよな」

「いえ、お兄様の意見に反論などありえません。そういうお方には当然の報いを受けていただくのです」

「そういうのを独裁政権というんだよ」

「お兄様の独裁政権なら私は構いません」

「そういう問題じゃなくてなあ」

「どういう問題ですか?」

「まあこの時代で首相になることはないから、これ以上の話はなしだ」

「分かりました」

「ただこの世界には存在するという人工知能については興味があるけどな」

「あの時代のお話は今dさんが書いているところなので私達の時代にどうして人工知能が存在しないのか、分かってくるんじゃないでしょうか?」

「俺は俺たちの時代でも人工知能は存在していると思うぞ」

「そうなのかもしれませんがディープランビング(幾度に渡る学習能力であがる知能)というものが出来ず、共有
化が出来ないものは私達に敵うとは思えません」

「イザベルが言うならそうなんだろうな。マーキュリーやレジスタンスとお前の知能対決を見てみたいものだな」

「それならdさんに頼めばよろしかと」

すいません、話がめんどくさくなるので勘弁してください^^;

「書き手を困らせたら書いてもらえなくなるぞ」

「まったく別の話を書かれているようなので状況の確認に来たわけですがお兄様のお言葉でこの度は引き上げることに致しますがいずれ近いうちに」

まずは過去のDHを書き上げますのでお待ちください。

「それから、次回も紅茶を切らさないで置いてください」

分かりました。

「それでは、dさん、頑張ってください!」

「それでは、御機嫌よう」

ふぅー、何とか対応できたかな?




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DH 激動(2期)     http://ncode.syosetu.com/n9814cx/

DH 崩壊の歴史(3期)始まりました。

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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)  [DHシリーズ]

少し間が空いてしまいましたが、季節も冬に逆戻りのような気温になっていますので外出時はぬくぬくした服装でお出かけください!



この世界の滅亡の果てに(8)

「結、本日、ただいまからよろしくお願いします」

透から出た言葉は予想外に素直だった。

「よろしくお願いされましたって、カイルさんに言うセリフと全然違うじゃない。僕の命は結のものだ!と言わなきゃ今この場で喚き散らして、まこちゃまを殺す!」

苛立ちの矛先が何故か斉藤誠に向けられた。

「お初にお目にかかります、前田透さま。俺が殺されるのことを回避したいので、姉(あね)さんにぜひ、お言葉をよろしくお願いします」

斉藤誠の言葉に結の口元が一瞬、ニヤリとした。

「ごめん。結婚とかしたこと無いから何を言って良いのか分からなかった」

「カイルさんにはああいうことを平気で言えるのに」

結はいじけているようだ。

「あれは本当に思っていることなんだ。カイルの家族は僕の命を救ってくれた。だけど、僕を守って、死んでしまったんだ」

隠す必要はない・・・透は結だけでなくブラックソードのメンバーに対して心からそう感じた。

「俺の家族はお前を守れて、幸せの中、笑顔で死んでいった。後悔して死んでいったわけじゃない」

カイルは透の言葉に反応した。

「だから、俺はカイルの命を守る」

「いい加減にしろ。お前の命はもうお前のだけのものじゃない。もし俺の家族に対して恩があるというならその生き残りの俺が前田透に命令する。何があってもこの戦いを生き抜け!」

カイルは気付けば、涙をこぼしながら、透に訴えるように話した。

「カイル・・・ありがとう」

透は瞳に溜め込んだ涙に耐えながら、搾り出すような声で囁いた。

「もう、透の命は私のものなんだから!」

感動の場面をまたしても結が壊す。

ブラックソードにはお涙頂戴の場面はご法度なのだ。

その感情を持ったままに仕事依頼に出向けば、仕事の失敗どころか、命を失う可能性がある。

この集団は大切な想いを心の中に秘めたままで生きているポーカーフェイスな集団なのだ。

それを作り出しているのが北ノ崎結(きたのざきゆい)その人だった。

しかし、今回は結本人も気付かないうちに塩っ辛い水分が少しだけ頬を伝い、口元にまで流れてきていた。

「あくびをしてたら涙が出てしまったみたい」

そこに居た誰から見ても結から流れ出たものは涙だと分かっている。

そして、結のこの言葉を聞いたブラックソードのメンバーは結への信頼とこの集団への想いを各自でそれぞれに強くしたようだ。

「僕の命は結のものでもある」

「少し前進したけどその程度の扱いで許される結さまではないぞ、菊之丞秀麻呂!」

今度はマイクに矛先が向いた。

「姉(あね)さん、急に振られても心の準備が出来ておりません」

マイクは苦笑いしている。

ブラックソードのメンバーも大爆笑している。

「己、そちは上官である私を愚弄する気か!」

結の話す言葉の時代背景があべこべになってきた。

「ありがとう、結」

気が付くと、結は後から透に抱きしめられていた。

「今更だけど、こんな私でいいの。脱いだら別の意味ですごい女だけど」

「うん、結がいい。それに僕はもう夫なんだよね?」

改めて、透が結に尋ねる。

「もちろん!今ここにいるメンバーと、カイルさんが二人の婚約の責任者として、責任を取ってくれる・・・よね?」

何故か、結はメンバーを威圧するような目つきをしながら話した。

「姉さん、責任って、そりゃないですよ」

「俺ら、透さんの嫁さんじゃないですよ」

「きな粉棒の恩返しで責任を取ります」

「早く子供を女の子を俺をおじいちゃんに」

誠はまた結の村正の峰の餌食になり、その後を話すことは出来なかった。

「結さん、2人だけの時間がどんどん短くなりますよ」

カイルは時計に目をやりながら結に問いかける。

「それじゃ、野郎ども、あとは任せた」

誠の峰打ちの姿勢を外し、今度は透の首に峰を当てながら本部の中へと消えていった。

「俺はいつものことだから仕方ないが透さんにあれは無いんじゃないか」

誠は不思議そうにその光景を見ていた。

「あの状態だと無抵抗で透を連行できるから最良の作戦だと思う」

カイルが答えた。

「ところで君の本当の姿は我々ブラックソードのメンバーにもお見せしていただけないのかな、奇術師カイルさん」

結と透が消えることを狙っていたかのように誠が質問を投げかけた。

「申し訳ありません。商売柄、そこは明かせないことになっていますので」

意味ありげにカイルが答えた。

「それは残念だ。そういえば、透さんは我ブラックソードの一員となりましたがあなたは入られないのですか?」

誠が悪意を持った口調で聞き返す。

「透が一員になったということで俺も入らせていただきます」

カイルの答えは意外とあっさりとしたものだった。

「そうですか、それは安心しました」

その答えに合わせて、誠も答え返す。

「それで俺はブラックソードの一員として入れてもらえるのか?」

「そうですね、それでは私が試験を致しましょう」

準備されていたかのように木刀が2本、二人の前に投げ入れられた。

「なるほどね、そういうことか」

まず、カイルは木刀を手に取ると、両手で強く握り締め、構えた。

「そういうことだ」

誠も右腕一本で木刀を手に取ると、いつでも来い!手の空いている左指を動かしながら合図をする。

「それではいくぞ」

カイルが上段の構えから誠に襲い掛かると誰もが思っていた。

しかし、真剣勝負だと思っていた展開にはならなかった。

誠からも勝負の行方を息を殺して見守っていたメンバーの視界からもカイルの姿は消えていた。

「これだから傭兵集団は傭兵集団でしかないんだ」

声が聞こえたかと思うと、ブラックソーソード本部の2階相当の高さまで跳躍して飛んでいる。

そして、それと同時に、持っていた木刀を誰もいないはずの茂みに狙いを定めると、思い切り、投げ込んだ。

「これでお前らの試験の合格としてくれるんだろうな」

という言葉と同時に茂みの中に隠れていた何者かは木刀の先が頭の上部に正確に当てられ、脳震盪のような状態でもがいていた。

カイルはすぐに持っていた銃でその刺客を始末し、茂みの中でも何かを力強く踏みつけていた。

「私との勝負を放棄した人間にブラックソードに入る資格はない」

その茂みからカイルが出てきたタイミングで誠は言った。

「何だと!」

カイルの厳しく鋭い視線が誠に向けられる。

「それにお前はこのメンバーに対して罵声を浴びせたな」

木刀を片手に持ったままで誠はカイルに問いかける。

「そうだ、それがどうした」

カイルの言葉にはまだ何も伝わらないかという苛立ちのようなものがあった。

「その態度も気に喰わない」

誠はブラックソードという組織の根幹を揺るがしかねないカイルの言動を強い言葉で受け流そうとしていたのかもしれないがこの後カイルから飛び出す言葉に打ち返す刀がない状況に追い込まれる。

「お前達は現実に気付いていない。この男の正体を知ったとしてもそう言えるのか、斉藤誠さん」

「気付かなかったのは私達の不注意かもしれないが侮辱は許さん」

「これは斉藤誠さんがWRから尾行がついているとも知らずに、連れてきたお客さんだ」

「何だと」

「そして、そのお客さんにこれだけの数のエリート傭兵がいて誰も気付いていない」

「それに関しては礼を言う」

「礼なんて言われたくないんだ。お前ら、誰と戦争しようとしていると思っているんだ。WRだぞ。その意味をもう一度しっかりと考えるんだ」

「考えなくても分かっている」

「分かっているつもりになっているだけだろ。俺はお前達が弱いとは思わないし、数々の修羅場を潜り抜けてきて、気付けばここにいるんだろうと思う。手ごたえのない場所に居続けれないんだろ、ここに集まっているタイプの人間達は」

「ああ、そうかもしれんな」

「そんなすげーぇ集団から気配を消せる人間を送り込んでくるんだよ、あのWRという組織は。最新兵器に、世界中の情報網、資金に底はなく、政治、経済、裏の世界から小さな子供まで、何でも思うままに動かせる。俺は世界各地でやつらのやり方をこの目にしてきた。借金の肩に人身売買で売られていったばかりの少女が次の日から売春宿で働かせられていることに驚き、自分が身請けをし、家族の元に戻して、1年後その国に帰ってみると売春宿でその子はまた働かされていた。その子の家を訪ねてみると両親はアル中に薬中で会話にすらならない。近所の人間に話を聞いてみると、身請けから帰ってきた次の日にまたその子を売り渡して、金に変えていた。その1年後には自爆テロでその子は世界中のニュースの中で目にすることになった。その影にWRがいることを突き止めたが俺に出来るのはそこまでだった」

「この中にもそういう環境の中で育って、生き抜いてきた人間も多いが」

「だから、お前も傭兵でしかない。しかも正規の傭兵からは弾かれる、もしくは性が合わないのか。まあ、その事は今関係ない」

「そこまで私やこの仲間達をコケにしてお前は何を言いたいんだ、偽善者野郎」

「悪い、俺は偽善者にもなれない男だ。ただし、この世界をいつか変えたいと願っている。この世界を作り上げた組織をぶっ壊して、争いの無い世の中を夢見ている」

「偽善者じゃなくて理想論を語るロマンチストだったか」

「そうだな。でも、お前達の気付けなかった刺客に気付き、始末できる優秀なロマンチストだ」

「その優秀なロマンチストが何故捕まえたその場で即始末した。いろいろと情報を聞き出すことも出来ただろう」

「いいか!これは国同士の戦争ゲームではなく、ただの殺し合いだ。しかも、自爆するような人間で送り込んでいる時点で、偽の情報まで掴まされるかもしれない。そうなれば、ここの統制を誰が保てる。この状況を予想していなかったという事は今までこんな風に責めこんでこられたことがないんだろう。もっと言えば、その刺客の来ている服の裏側を見てみろ」

「こ、これは」

刺客の服の裏側には小型の手榴弾が複数仕込まれていた。

「それを使われる前に仕留めたんだ。その手榴弾のおかげで相手の反応も遅れたから木刀も命中した」

逆に言えば、間に合わなければ、全滅に近い結果を招いていただろうと誠は思った。

「なるほどな」

「それだけじゃない。茂みの中の2台の小型GPSカメラも破壊しておいた」

これだと言わんばかりに、その欠片を誠に投げた。

「こんなものまで」

「確かにあんたらは最強の傭兵集団かもしれない。作戦、戦略を練り、自ら動くときは勝てるものはいないかもしれない。ただ、これまでの実績と成果が自らの鼻を高くしてしまっているのも確かだ。それをまず認めないとこういう風に敵さんから攻められると今日のように一気に全滅させられる組織に狙われているということを再確認してほしいのさ」

「おいおい、今度は褒め殺しか」

「俺はここに集まっている傭兵の1人1人が弱いとは口にしていない」

カイルがそう答えたあと、ブラックソードのメンバーの顔を見渡した。

「そうだな、カイルさんの力を貸していただきたい」

斎藤誠は全てを理解すると、唐突にカイルに右手を差し出してきた。

「ここにいる仲間達の全滅を防いだ功績で試験は通過したのか」

カイルも誠の差し出してきた右手に右手を重ね、その後、お互いの両手で握手をした。

「噂ではただの変装マニアだと思っていたが違ったようだ」

「そりゃどうも」

「本部の場所だけは変えずにいたがそろそろここも潮時ということか」

「その件ならもう既に手を回してあるが先に中の二人を呼び戻してすぐに移動しなければいけないな」

「二人きりの時間を過ごしていただく予定が今回に関しては俺の失態だ」

「いや、さっきも言ったが尾行なら尾行に特化しているものがいる。しかも、今回は組織ではなく個人雇用だろうな。娘の気持ちを持て遊んでいる輩を始末するためについて来たようで助かった。表側の請負人で助かった」

カイルは自分のノートパソコンから個人請負リストと称するデータからこの刺客の顔が存在することにホッとしていた。

「そのリストは?」

「世界中にいるプロフェッショナルの皆様の内緒のリストだ」

「カイルさんの素性についてはもう詮索することは止める」

「まあ、それどころじゃないだろうしな」

「みんなの命を巻き込んでしまってすまない」

誠は後にいるメンバーにまで聞こえるように大きな声で謝罪し、深々と頭を下げた。

「WR幹部様は娘の恋愛にも口じゃなく刺客を出してくるんだな」

呆れたような口調でカイルが答えた。


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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)  [DHシリーズ]

明日は東日本大震災から6年目を迎える3月11日になります。

東日本大震災でお亡くなりになられた方にまず初めにご冥福をお祈りいたします。


合掌


僕は未だに復興が進んでいない被災地の現状と仮設住宅で生活されている方の多さを考えると、2020年の東京オリンピックには賛成できません。

間接的に、直接的に、被災地の復興の光の邪魔にすらなっている。

もう少し後でもオリンピックは出来ると思いますが、結果的にあの時だから候補地としての理由の1つとして、日本の復興と言う言葉も利用した東京都の提案の仕方も好きにはなれなかった。

何故、もう少し後に出来なかったのか。

オリンピックの大きな施設を建設する規模の労働力を、被災地の方の家の建設に回したらいい。

5年間で想像よりも復興は進んでいるのか、進んでいないのか、あの規模の被災になると、正直、僕には分かりません。

マスコミのいう進んでいない報道も正確なのか間違いなのか、判断も出来ません。

ただ、ただ、仮設住宅の方々が元自分の家のあった場所に家を建てれない方もいるかもしれませんが自分の家で過ごせるような日常に戻れることを願います。

悪僕の勇人が存在していたら、貴船さんのように修復してくれるのに

権力を握っている人たちは自分の利益になることしか考えていない。

国民の生活と財産を貪る続ける政策を作り続けることに死力を尽くすのはやめて

国民目線で政治をしませんか?

権力の掌握と同時に、民衆の心の掌握を出来てこその政治家でしょ?

もう政治家も派遣会社に外注したほうがいい政策と政治家になれるんじゃないの?と思うdaylightです。




この世界の滅亡の果てに(7)

ブラックソードのリーダである結はすべての準備を早急に整えている最中だった。

「結、一日だけ俺に時間をくれないか」

背後から唐突に透が話しかけてきた。

「世界を巻き込んだ戦争の準備をしている私には・・・・」

透の事が知りたい・・・でも、そんな時間さえ今はない・・・その返事をしようと思った瞬間。

「姉(あね)さん、うちには優秀な人材が揃ってる。一日ぐらいはこちらでどうにか出来ます。各国の隊長にもすでに計画は回っていますし、姉さんのすることはほぼ片付いてます」

ブラックソードのリーダーである北ノ崎結(きたのざきゆい)の片腕、菊之丞秀麻呂(きくのじょうひでまろ)・・名前が2つではなく、本名はマイク・カーター、アメリカ生まれのアメリカ育ちの元グリーンベレー所属の強者であり、結を父親のように見守ってきた保護者がわりでもある。

「マイク、半日だけ頼めるかな?」

結は両手を合わせて、マイクを見る。

「何日でもと言いたいところですが世界大戦を起こす前ですからね。1日で勘弁してください」

マイクの流暢な日本語はもう1人の片腕、斉藤誠と結から学んだものだった。

「それから、2周り以上年が離れているのに姉(あね)さんとか姉御(あねご)とかそろそろやめてほしいんだけど」

マイクの返答を無視して、透が直ぐ傍にいることの意識の方が強いらしい。

「ふぅーん、結さま、結殿、結お嬢様、結殿下、結の方さま、結ジャクソン、結ゲーツ、結ジョブズ」

自分の名前がおかしな方向に行こうとしていることに結が突っ込みを入れた。

「もう姉御でいい。それよりも結ジャクソンとか結ゲーツという発想がどこから涌いて出てきたのか、この村雨丸に教えてもらおうか、マイク」

「少し時代の古い有名人の名前を合成すれば、姉さんの名前にも箔が付くと思いまして」

「わらわに峰打ちされたいと申しておるのか、菊之丞秀麻呂とやら」

「その様なことは平に平にご勘弁を」

いつのまにか時代劇の茶番のようになっている流れを透が止めた。

「結、これが伝説の村雨丸なのか」

気付けば結の持っていた刀は透の手元に移動していた。

「己、そちは敵方の間者か」

それでも茶番を続ける結。

「己、曲者か」

マイクも結の茶番に乗っかる。

「残念、これは村正だね。しかし、よく手入れがされている」

透は村正をじっくりと見ているようだ。

「これ、本物の名刀だったの?」

結が驚く。

「名刀に間違いないと思う」

そういうと透は一降りしてみた。

「綺麗な姿勢。まるで武士(もののふ)」

結の言葉に透の腰が抜けた。

「またか」

カイルが囁いた。

「あれだけの一降りが出来るのに」

結は透の姿に疑問が涌いてきた。

「それを結さんに透は話したいんじゃないのかな」

カイルでも説明は出来る。

しかし、透が自らの過去を自分以外の誰かに話す覚悟を邪魔することになる。

カイルは、嬉しくもあり、少しの不安も感じていた。

「大人なのに子供の真相も分かるということかな?」

結は透の目を見た。

「そうだね」

透はゆっくりと立ち上がると答えた。

「カリスマボーイはサムライボーイ!」

マイクは透の一降りにかなりの興奮ぶり。

「透を助けてやってほしい」

カイルは深々と頭を下げた。

「プライドの高そうな奇術師カイルさんでも頭を下げることがあるのね。私は透の妻として認められたということでおk?」

場の空気を読んで結は明るく真面目に答えたつもりだった。

「透をよろしくお願いします」

カイルは再度、深々と頭を下げた。

「透の事は妻になる私に任せなさい。でも、透の参謀であるあなたが透の一番の理解者でもあるので私は透にとっては二番目の理解者になれるように努力します」

「俺の命は透のものだ」

真っ直ぐな目で何故か結の方を見て、カイルは言った。

「僕の命もカイルのものだ」

透も何故か結のほうを見て、言った。

「もう・・・あんたらはホモか、ゲイか!結の命は結のものだと言うしかないじゃないの」

感動的な友情の場面を結は跡形もなかったように笑いに変えた。

これには理由があった。

ブラックソード内では弱みを見せたものはそれ相応の処罰が与えられる。

ブラックソードの一員ではない2人ではあるが結としてはブラックソードとしての雰囲気を変えられたくなかったのだ。

「結、これあげる」

透が結に手渡したものは串に刺された食べ物のようだ。

「これ何?」

不思議そうに結は聞いた。

「きなこ棒。しかも蜂蜜入りで栄養満点。それから既にみなさんにはお配りしてある」

ニッコリとしながら透は答えた。

「ふむふむ。この粉はきな粉で餅の様なお菓子が中身か」

解説をしながら結はふと自分の気付いた。

何故私がこんなことを言わなければいけないのか?

しかし、時、既に遅しだった。

「姉さん、いつものマイクさんとの茶番も最高ですが旦那様とも息が合ってますね」

「きな粉棒、もう10本頂いちゃいました」

「きな粉がもったいないので俺はコーヒーにも入れてみましたが悪くはなかったですよ」

「姉さん劇場は俺たちの癒しですが透さんのきな粉棒もやみつきになりそうです」

「姉さんの形見の刀はやはり名刀だったんですね」

周りの仲間達は作業の合間にやはり聞き耳を立てていたようだ。

「透と一日過ごしてきていいか」

結は作業中の仲間に聞こえるような大きな声で聞いた。

すると、マイクが集合を掛ける。

「みんな、作業の手を止めて、整列してくれ」

横に20・正方形に近い形から縦もおそらく同じく20ぐらいであろうか、今作業をしていたブラックソードのメンバーが綺麗に整列した。

「姉さんの子作りのために俺たちが頑張るときがやってきた。姉さんには今後のブラックソードを受け継ぐ、男を産んでいただきたいと俺は思っているが、お前らはどうだ」

「俺は姉さんのように可愛い女の子で姉さんのように凶暴ではなく病弱な子」

で俺がじいいちゃんがわりに大事に育てると言いたかったがそこまで言う前に村正の峰が首に触れていた。

「斉藤誠、今日からお前は誠ちゃんとみんなに呼んでもらいたいか。それとも、まこちゃんにするか。まーちゃんでいいか。まこちゃまにするかいやいや、いっそのこと斉藤ままごとにしろ」

透の手元にあった村正を瞬時に奪い、斎藤誠の首筋に峰側を当てた結に透は固まってしまった。

「姉さん、それはないですよ。まこちゃまでお願いします」

その言葉にブラックソードのメンバー達が大爆笑している。

「帰ってきていたのだな」

結の顔が緩む。

マイクが父親がわりなら誠は兄がわり。

「今回の仕事はヘマするかもしれないと思っていましたが無事に帰ってまいりました」

「お前は失敗しそうな仕事は引き受けないので心配はしていなかった」

「さすが姉さん、しかし、今回は仕事を終えた後にまっすぐ帰ってきて良かった」

きな粉棒をもぐもぐと食べながら、誠が喋っている。

「それでブラックソードの動きに反応を見せる国はあったか?」

「ありましたが常客扱いの待遇でしたよ。やはり姉さんの読みどおりでした」

「組織が大きくなればなるほど、組織の上層部の危機感は薄れ、自分の取り分と身分の保守しか見えなくなる。この世界の実権を長期間に渡って握っているWRならば、なおさらだ」

「ご注文どおり、即納入までをこの目で確かめて来ました」

「WRの関連会社以外からも購入しているが最新兵器の準備となるとあの会社からしか購入不可能だからね」

「先にスパイを中に入れておいて在庫確認をしてからその在庫分と隠し在庫分のすべて購入する発想が姉さんらしい」

「そのアイデアもまこちゃまの商談能力があっての戦略だ。頂ける者はすべて頂く。今回はしっかりと支払いするんだ。少しでも相手の戦力も削っておきたい」

「もう一つの方も落としておきました」

「そうか、お前は顔もそこそこ良いからな」

「しかし姉さん本当に大丈夫なんですか?相手はWR幹部の娘ですよ」

「だからだ。私の家族をあんな目に合わせた張本人にも苦しみを与える。私の体中の傷痕もそれを望んでいる」

「そうでした。すいません。俺も徹底的に手なづけます」

「それでいい。エドワード佐藤、私達の平穏を壊した男に地獄を見せてやる」

「結、少しいいか」

「何、もう時間の方は大丈夫だよ」

透はまだ身体の震えが治まらない。

「結さんの剣術にビビったのか、透」

カイルが笑っている。

「えっ、いつの話?」

「僕から村正を取って、斉藤さんに峰打ちする姿を見ていたら、固まってしまった」

「なるほど」

結はニヤリとした。

「いい、みんな注目!」

メンバーの視線が結に集まる。

「良く見ておくのよ」

そういうと、結は震えている透の身体を抱きしめて、透の唇に自分の唇を重ねた。

「結、何を」

透の身体の震えは治まったが女の子のように顔が赤面している。

「これで前田透は我、夫となった。これでこの男はブラックソードのリーダーとなった。ただし、夫となったものには本人の情報の全てを吐いてもらう責務がある。早速だが、これから明日までの一日、じっくりと尋問をする。お前らはWRとの戦争準備をしていてほしい」

ブラックソードのリーダー北ノ崎結(きたのざきゆい)らしい、男前な結婚宣言だったがブラックソードのメンバーを始め、カイルも開いた口を閉じることを忘れたようにただただ呆然としていた。



DH 序章(1期)     http://ncode.syosetu.com/n9191cu/

DH 激動(2期)     http://ncode.syosetu.com/n9814cx/

DH 崩壊の歴史(3期)始まりました。

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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期)  [DHシリーズ]

3/1の夜に始動を開始したDH 3期の小説家になろうでのPVが500どころか700を越えて、とても驚いていると同時に感謝しております><

同時に更新を止めてしまっている悪僕の方のPVも伸びているのもうれしいです^^

この小説が良くも悪くも読んでいただく人が多くなっているということが書き手も書き手で頑張れる力になりますのでこれからもよろしくお願いします。

ということは、今日も更新ですよね?と新キャラの透君に背中を押されている書き手です。

すべてはこのソネブロからなんとなく書き始めてみようと思い、気付いたら飽き性のdaylightではありえない行動を続けられているのはソネブロでniceやコメントを書いてくださる方のおかげです^^

古い話をすると織田信長のその後について続きを書いていないという噂も(現実です)・・・・忘れているかのように更新を怠っていますしね^^;


いつか、その続きも書きたいと思います。←いつかをつけるということは書く可能性38%ぐらいかもです(微妙な数値)







この世界の滅亡の果てに(6)



ニューロンバイオテクニクス研究所内でもレイモンドによってレジスタンスの改良が行われていた。

「こんなものか」

レイモンドは死人のように青白い表情をしていた。

「レイモンド、そろそろお休みください」

レジスタンスはこの言葉を繰り返していた。

「もう少し・・・あと少し・・・・」

レイモンドから出る言葉はこの繰り返しだったがようやくレイモンド本人が納得できるものが完成したらしい。

「36時間と5分です」

レジスタンスは呼びかけるように言った。

「もうそれほどの時間が経ったのか。少し休まなくてはいけないな」

その言葉とは裏腹にレイモンドは傍の2人掛けソファーに横になるといつの間にか目を閉じていた。

「12時間後に起こしいたしますのでゆっくりお休みください」

レジスタンスの言葉も耳には入っていないほどレイモンドは深い眠りに落ちていた。

「今回の一件については既に本部の方で動いております。あなたは私の改良プログラムの成功という功績であの事件についての失態はないものとして扱われますので心配はありません」

感情を持つ人工知能レジスタンスの行動はレイモンドの想像する域を既に超えていたのだった。

そして、今回の改良プログラムにはさらなる進化速度の向上に関するプログラムが含まれていた。

その同時刻にWR本部ではレジスタンスの報告を受けて、レジスタンスのデータを盗んだものの正体とこれからの対処について話し合われていた。

「わがWRに対する挑戦に対して、我々は全力で手を下さばければいけない事案が起きている」

今回の会議の議長にして、WR幹部の1人、エリオット・グラハムが強い口調で訴える。

「本当にそうなのですか?所詮は人工知能の作り話で信用できるとは思えませんが」

いきなりの反論をしているのはWR幹部にあって紅一点、エリー・グラハム、エリオットの娘だった。

エリーはWR幹部でありながら多くの慈善事業と平和の発展の為の世界中の式典にも参加している平和活動家でもある。

「お前は少し黙っていろ。ここからは組織としての重要な話をするのだ」

エリオットはエリーを黙らせようとしたがエリーも引かない。

「この時代に戦争でも起こすような顔をしておられますがここに集まっている誰もがそれを望んではいません。人類に対して、損益は生んでも利益を生まない争いはもうお止めください」

「我々の利益を生めば世界はそれだけで継続して行くのだ。お前1人が何を口にしようとこの世界のあり方は変わらないことが分からないかエリー」

この親子の言い争う光景は多くの会議に参加しているものなら手を付けられないことを分かっていた。

「まあまあエリオット、穏やかに行こうじゃないか、穏やかに。エリーも議題の内容さえ話し合っていないのに最初から話の鼻を折るのは止めるんだ」

二人の言い争いの間に割って入るのはエリオットとは幼馴染みからの付き合いをしているエドワードだった。

「すまん」

「申し訳ありません」

その2人の姿を見て他の参加者も安堵した。

「それでは改めて、今回の案件について話を続ける。世界中のWRの力を持ってして、人工知能レジスタンスを盗み出した人間の捕縛と我WRへの強制招待だ」

「待て、今、口にしたことは本当か。WR本部も地下深くに建てられている。その前にニューロンバイオテクニクス研究所のあの完璧なセキュリティーを破った人間が存在するというのか」

「あの建物は我WRの最高のセキュリティではなかったのか」

2人の幹部は物々しい勢いでエリオットに罵声を浴びせた。

しかし、エリオットに責任のあることではなく、あの建物の中入って、何かを盗み出すことが出来たことに焦ったのだ。

「だから、我WRのメンバーに招き入れたいのです」

エリオットは罵声さえも聞き入れて、会議を続けた。

「それで、もう犯人の招待は掴んでいるんだろうな」

「まだ掴めていない。WRの威信に掛けて本日はその犯人の割り出しを世界各国のWRにも協力を依頼したいというのも議題の一つになっている」

「アメリカ本部の失態を私達に穴埋めしてほしいということか」

「あのセキュリティで破られただと。他の国のセキュリティはあれよりも高くないがどうすればいいのだ」

「今更だが無関係ということになっていた職員の家族の事件に関係しているということか」

「どうしてもっと早くこの事案について会議を行わなかったのだ」

「捕縛後は即処刑でいいではないか」

「新興勢力のブラックソードという組織が関係しているという噂も聞いたが本当か」

「レイモンドは何をやっておるのだ、あの者がいながらこの失態はなんだ」

「その人工知能は我々よりも知能が高いと聞く。そのものに探させればいいのではないのか」

さまざまな意見がエリオットに向って切れ目無く言い放たれる。

意見や提案というよりは日頃言えない本部への文句とストレス発散をしたいのだなという顔で参加者1人1人を睨みながらエリオットは沈黙したままで黙らせていった。

「これから一つ一つお答えしますのでご着席いただけないか」

エリオットは着席を促した。

「それではまず今回は失態ではない。レイモンドの構築したシステムも既に改良して世界中のシステムにも組み込んである。そして、レジスタンスの改良プログラムも今終わったと連絡をもらった」

「職員の家族の殺害については無関係ではない。証拠の痕跡が見つからないということはブラックソードと言われる組織が関係してる疑いは高いと思っている」

「本件については事実確認と対処を優先したまでだ。この会議をしている間にWRを危機が落ちる事の無いよう動いたまでだ」

「捕縛して我幹部に加えたいほどの逸材であると確信している。ただし、本人の意向がどうしても無理だということならイコール粛清対象となることを踏まえたうえでの提案だ」

「あとはレジスタンスに付いてだが、身体を持たない人工知能であるがゆえに情報収集と情報共有、その情報から導き出す診断と分析については人間では遠く及ばない。この議案の犯人が分かればレジスタンスの能力も生かされるとは思うがその者が誰なのか分からない現状ではレジスタンスの能力を持ってしても限界がある」

会議参加者にそれ以上、エリオットを責めるものはいなかった。

「レジスタンスのデータが盗まれたと言うことだがその事は大丈夫なのか?」

ようやく本来の質問をしてくるものが出てきた。

「レジスタンスを開けるものはいない。そうプログラムされている」

「どういうことなのか詳しく話してもらえないか」

「人工知能レジスタンスはコピーデータとしてもレジスタンスとして生きている。その間は自ら開くことを許さない」

「何かプロテクトのようなものが施してあるということか?」

「プロテクトというよりもレジスタンスが自らの意志で中から鍵を掛けている」

「感情を持つ人工知能はそういう行動も出来るのか。我々の想像している人工知能とは異なるのだな」

「そういうことです」

「そういうことならレイモンドの失態と言った意見も取り消しだ」

「ただし、その解除を解けるものが存在する可能性があります」

ここからが本題だとエリオットの言葉にも力が入る。

「どういうことだ」

「佐伯学。あの者ならレイモンドの開発したレジスタンスの鍵を開けてしまうかもしれない」

「確か35歳で大学教授を引退した男だな。世界中のニュースでも話題になっていたが特許権利と著書での印税でこれからは遊んで暮らしますと記者会見をしていた記憶があるが」

「あれから5年、世界中のマスコミも佐伯学の行方も追っていますが誰も見つけられていない」

「世界中を遊びまわっているか、何処かの島ごと買い取って悠々自適に過ごしているのではないのか」

「それなら良いが」

「それに誰も見つけられないものをデータを盗み出した犯人が見つけ出せるとも思えないが」

「確かにその可能性も低い」

「今回の犯人は佐伯学ではないということも分かっているということかな、エリオット」

「そうだ」

「それなら何故、今日、世界中のトップを集めた」

「ブラックソードと今話題になっている世界中のテロ事件がリンクしている」

「確か、負傷者も死者も出さなかった気味の悪いニュースだったな」

「そうです、私達が起こしたものではないあのテロ事件は謎に満ちている」

「それとブラックソードが何故リンクしている」

「ブラックソードの拠点と噂されていた場所も含まれている」

「そうだったとして、我々には無関係ではないか」

「我々の組織の持ち株会社からもいくつかの武器を購入している者たちが居る」

「何処かを経由して、またジハードでも起こす気か。いい常連になってくれればこちらの利益が上がる」

「それが最新戦闘機や地上兵器ばかりだとしてもそう言えますかな」

「どこかの国が自国の保有を知られたくない為にそういう購入方法をすることもあることだろう」

「世界大戦を起こせる規模だとしてもですかな」

エリオットがこう話すのも無理は無い。

「良いではないか。私達の計画でも人類削減計画は一番重要なことだが思ったよりも成果が出ていない。世界中で戦争を起こしてくれるならこちらとしてもありがたい」

「標的が私達でもか?」

エリオットがその発言者に視線を向ける。

「そんな行動を起こす馬鹿はいない」

その参加者は強い口調で言いきった。

「今のところ、想像でしかないが今の話も皆さん頭に入れて置いてください」

エリオットのその言葉とともにWR本部での会議は終わり、それぞれがそれぞれの国に帰国していった。




透が渡した資金は2兆円。

結たちはその資金力で多くの装備を買い込み、整えたが透が納得しなかったのだ。

それに加えて、さらに透は動いた。

WRとの戦争になるかもしれません。

もしもの時のためにこちらにも資金提供をしておきませんか?

透はいつものリスト作戦に加えて、まだ揃えてきれてはいない装備情報も含めて、WRに加わっていない新興勢力の経済人たちを筆頭に名家、政界、投資家、マフィアまでも標的にして強制的に資金を出させたのだ。

集まった資金は約120兆円。

「この資金でクッピーラムネの工場を世界中にどれだけ建てれるだろう」

「そんなもんはお前の貯蓄で会社をまるごと買い取って、勝手にやってくれ」

「どこまでが大人でどこまでが子供なのか謎だわ」

カイルと結はその金額を聞いてもピントこなかったが透の一言に大笑いした。

しかし何故ここまでの資金が集まったのか。

それは透の示した情報だけでなく、後にブラックソードが控えていることもリーダーである結自らが口にしたからだ。


「この人は私の婚約者だから、約束を破るもの、口を滑らしたものは組織、一族の全員の命は無いと思いなさい」

これは本当の戦争なのだ。

普段なら対抗意識を燃やしてくるはずのマフィアでさえも口を閉じた。

この相手はロケットランチャーという中途半端な脅しではなく、最新戦闘機に最新戦車も保有していると分かったからだ。

それに加えて自分達よりも残虐非道に徹するブラックソードは仕事依頼相手でもあった。

この事を口にした瞬間に人生が終わる。

資金提供者たちはその現実を理解した。

経済界、政財界、その国の軍事力、情報機関のすべてを掌握しているWRではあるが表向きで動かせることは限られている。

何故なら活発化するインターネット世界において自らの行動をいつ誰が動画に上げる危険性があるのか分からないからだ。

動画が上がると抑止できない速度で世界中を駆け巡る。


経済界、政財界、その国の軍事力、情報機関すべての汚職、行動が見張られていると言ってもおかしくはない。

必要悪を作り出すのとは意味が違う。

不正と正義を庶民が訴えることのできる時代が来てしまっていた。

時代の波を把握しきれないWRと正義は存在しない傭兵組織ブラックソード。

自らの正義を貫く為に開発したマーキュリーで諸悪の根源を探ろうとする佐伯学。

レジスタンスと共に世界のバランスを観察し続けるレイモンド。

そして、何を目論んでいるのか未だに明かそうとしない前田透とその行動を命がけでサポートするカイル。


今、すべての歯車が折り重なるように動き始めた。




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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期) [DHシリーズ]

DHはやはりほぼ毎日更新してしまうような感じになってしまっていますがDHであってDHでない世界を書いている感覚がまだ不思議です^^;(書き手が言うな)

この世界の滅亡の果てにというサブタイトルは今回はいつもの6部区切りではなく倍くらい行くんだろうなと思っています。

それは・・・・ここまで拡げておいて・・・このサブタイトルの中で過去の話は終わる予定なのです(笑)

今回出てきている人たちは優等生っぽい人たちが多くて、そのままサブタイトルも終わっていくんだろうなとか書き手が思っているので伏線やありえない展開があっても綺麗に終わってゆく感じがしています。

このサブタイトルが終わったら、悪僕を区切りのいいところまで書く予定でいます^^

でも、イザベルちゃん・・・・リャンミオさんが恋しいです。

どちらも彼女や奥さんにはしたくはないです♪(笑)





この世界の滅亡の果てに(5)


透とカイルはレジスタンスの解除については一先ず佐伯に会ってから相談をしてみることにした。

そして、再度、ブラックソードへの仕事依頼を頼むことにした。

その約束の場所がフランスのファッションビルの屋上に設置されている観覧車の中ということになっていた。

「カイル、本当にここなのか」

透が周辺の遊具に目を輝かせている。

「毎回会う場所を変えるということは聞かされていたがこういう場所も使われるとはな」

カイルは少し不審がっていた。

「警護依頼に関してはお前の担当だから俺は気分転換に遊んでくる」

待てという言葉を掛ける間もなく、透は他の客の中に消えて見えなくなった。

「そういうことだろうと思ったがその方がこっちも仕事が捗る」

「何が捗るって」

カイルの後方から女性の声が聞こえた。

「いえ、こっちの話じゃなくて、今日は相棒を連れてきたんですが遊びに行ってしまって」

参ったなあという仕草を見せながらカイルが右手で自分の頭を触った。

「前回の依頼者のことか」

ブラックソードのヘッド、北ノ崎結(きたのざきゆい)。

若干18歳にして傭兵組織ブラックソードを束ねるリーダーである。
何故彼女が残虐非道で名高いブラックソードのヘッドをしているのか傷痕を見せられた後でもカイルには謎だった。

その事を考えてしまい焦ってしまったカイルはおかしなことを言ってしまった。

「ヘッドさんが直接来られるとは思いませんでした」

結が不思議な顔をしている。

「前回も確か最初の依頼だったので私が直接依頼を受けたよね」

カイルにそのままを聞き返す。

「すいません。あの傷痕を見せられてもあなたがブラックソードのヘッドだということをまだ信じられない自分がいる」

カイルは素直に自分の思っていることを言葉にしていた。

「まず、そのヘッドという言葉をリーダーと言う言葉に変えなさい!それからあの傷痕は誰にでも見せているわけではないからこれからは他言無用で頼みます」

「分かりました」

「私よりも年齢が上でお客で来ているのに今日は随分礼儀正しくなっているのね」

「今回の依頼はブラックソードでも引き受けて頂けるか分からないものだと思っているので」

カイルの言葉は結には棘があるように聞こえたようだ。

「ブラックソードも奇術師カイルには軽く見られているようね」

結は棘には棘を返すわよと言わんばかりにカイルを睨んだ。

「そんなことは思ってないです。あなたたちにしか頼めない仕事だと思い、ここに着て頂いたんです」

透といるときのカイルとはまるっきり違うキャラクターを演じているようだ。

「そういうことなら、引き受けましょう」

結は仕事内容も聞かずにまさかの承諾をした。

それに驚きを隠せずにぞろぞろ、ぞろぞろブラックソードの仲間が集まってきた。

気付けば、この屋上にいるのはブラックソードの人間と透とカイルだけだった。

「これはどういうことですか?」

カイルは咄嗟に嵌められたと思った。

「カイル、ただいま、ホレ、ジェラートも買ってきたよ」

そのタイミングで透は戻ってきた。

「透、今それどころじゃない」

カイルはここをどう切り抜けようか考えていた。

「ブルーベリーとミックスベリーどちらを選ぶ」

この場の空気を感じていないのか、透は平然としている。

「ブルーベリーもらえるか」

カイルも焦りを見破られないようにジェラートを貰い受けた。

「今日はこのビルごと借りきっているから焦ることはないよカイル」

ジェラートの後に追加情報を今更付け加える透。

「いや、そういうことじゃなくて、周り、周り、分からないか」

カイルは目を左右に動かしながら傭兵の軍団が集まっていることを透に教えた。

「こんなものですか、ブラックソードは」

透から思いがけない言葉が飛び出す。

「こんなものとは何だ、そこの少年」

透の言葉に結が激怒しているようだ。

「ここに集まっている人たち全員の身元、もう分かっちゃったんだけど」

透が言い放つ。

「そんなはずがあるわけない」

だろうと言おうとした結に透はそのリストを渡した。

「お前は何者だ」

全てを知られてしまっているものは殺すしかない・・・リーダーとしての判断が結にそれを選ばせようとしていた。

「殺しても無駄だよ。世界中にこのリストが出回るようにしているから」

カイルでさえもただの張ったりだと思った。

「そんなことが出来るのは」

そこで結は言いかけた言葉を止めた。

「待ってくれ。透を殺すなら先に俺を殺せ。あいつの死に顔を見た後で死ぬのは性にあってない」

カイルが透の前に立った。

「カイル、そんなことをしても無駄だよ。後にも20人ほどリーダーの掛け声を待っているものたちがいる」

やはりこんなときでも透は冷静なやつだとカイルは思ったがそう思える俺もそうなのかもなと思うと気持ちが落ち着いてきた。

「いや、止めだ。それぞれ持ち場に戻れ。リストのことは私の方で何とかする」

結の言葉と共に何事も無かったかのように傭兵の集団は散らばっていく。

「正解だね。さすがブラックソードのリーダーさんだ」

透は結の右手を握り、両手で握手している。

「お前は私から気配を消して近づくことも出来るのか」

やはり正しい判断をしたと結は改めて思った。

「気配を消すとか透明人間じゃないんだから出来るわけないですよ」

透は素で答えているようだ。

「それなら何故気付かずに私に触れている」

結の頬は赤く染まっていた。

「透、お前、それはやばいぞ」

カイルがふと気が付いたが結もその事を透に告げようとしていた。

「私に触れることが出来たものは私と結婚することになることを知らなかったとは言わせないぞ」

少し照れながら透に宣告した。

「触れただけで結婚とかそんな理不尽な話、嘘ですよね」

透は何故か両手を握り締めたままで結に聞き返す。

「私では不満か。この男からも聞いているんだろう。傷穴だらけの身体の事を」

結は逆に透に聞き返した。

「そういうことじゃなくて。結婚の前に、まず知りあい、友達、彼女、婚約者、ようやく結婚だよね、カイル?」

逃げ場を探そうと透はカイルに話を振ったが何故かまだ手を握り締めたままだった。

「まあ普通はそうだな」

苦笑いしながらカイルが答える。

「透と呼んでいいか?」

疑問系の語尾をつけて結が透に聞いた。

「もちろん」

「とりあえず、そろそろ手を離してはもらえないか」

結は恥ずかしそうしている。

「僕もさっきからそれを考えていたんだけど、この手の柔らかさと温もりが心地よくて」

やはり透は素のようだ。

「お前の知り合い、友達、彼女、婚約者、結婚する女になるのだからそのままでもいい」

結は透の条件を飲む宣言をした。

それを聞いた周りの傭兵集団が嬉しそうにしている。

「これでブラックソードも安泰だな」

「姉(あね)さんの手を握ることの出来る男だ、相当の使い手だな」

「姉(あね)早く子供がみたい」

「まだ少年のようだが姉(あね)さんと同じくらいに見えるがいくつだろうな」

「姉(あね)さんがあれほど焦ったということはリストは本物ということだったんだろうな」

「只者じゃないのは分かるが素性が分かる人間はいないのか?」

色々な方向から会話が飛び交っている。

「お前ら、黙れ。まずは知り合いから始まるのだ。お前らも協力してほしい」

結は透の言葉を真に受けているようだ。

「ブラックソードのリーダー、僕も観念しました」

出会いも無い透がこの歳で結婚相手が決まるとは本人も思わなかった。

「透、結さん、大事にするんだぞ」

ニヤニヤした顔をして近寄ってきたカイルも透に声を掛ける。

「改めて、皆さんに仕事の依頼を頼みたいと思います」

透が頭を下げた。

「それで依頼内容は?」

まだ手を離せていない2人。

「日本へ行こうと思っています。僕達2人の警護を依頼したいと思っています」

そんなことかと、結もブラックソードのメンバーも思ったがカイルが透の話の続きを始めた。

「相手は前回俺たちの依頼したニューロンバイオテクニクス研究所、ということはイコールでWRから狙われていると予想する。それだけの物を俺たちは手にしている。向こうが本気を出した時に俺たちどころかブラックソードも壊滅する危険性もあるかもしれない相手だと俺は思っている。まだ俺たちの正体はばれていないとは思うがそちらさんは前回ああいう状態にしてしまった以上身元がばれる可能性もあると思う」

カイルは真剣な顔で話した。

「それなら大丈夫。髪の毛一本証拠を残さないのがブラックソードの仕事だから」

自信満々に結が答え、ブラックーソードのメンバーも頷いている。

「それならこのリストの件はどうなる?」

握っていた手をようやく離し、透が次のリストを結に渡した。

「これは世界中にある私達の秘密の隠れ家に印が付いているリストなのね」

結は唖然とした。

「多分だけど、こういうことを出来る組織だと僕は思っている」

この少年、やはり只者ではないと結は思った。

「もし、この場所がばれることになれば私達は解散、及び壊滅することになる」

結は肩から力が抜け、崩れ落ちそうになったがそれを透が支えたまま、さらに話を続けた。

「それで自分の資産を使い、新たに新しい場所を確保しておきました」

「透、あなた何を考えているの?」

「これからブラックソードには仕事の方向性を変えていただきたいと思っています」

「何を言いたいわけ」

好き放題言われて、結は怒っている。

「私達2人を警護するというのはブラックソードの皆さんの人数でも足りるのか分からないんです」

「俺もWRのことはよく分からないが透が言うならそうなんだろうな。リーダーさんはWRという組織と戦争するとしてその人数で足りると思うか」

カイルの言葉が素に戻っている。

「足りないかもしれないわね。でも、あなた達2人で私達を養える報酬を支払い続け切れるわけ」

結は基本的な疑問を付いてきた。

透は最初から準備していた複数の小切手を結に渡した。

その金額に結は言葉が出なかった。

「透、この小切手は偽物じゃないでしょうね。それに複数に別けてあるけど、どれもしっかりと換金可能なんでしょうね」

結はいくらなんでもこんな金額を用意できるわけ無いと思っているようだ。

「いや、振込みは敵に見つかると良くないからね。世界各国の富豪の小切手なのは僕が請け負った仕事の報酬をそのまま換金していないものだから偽物じゃないし、足が付かないと思って。僕を調べたり出来ないし、そんなことをしたら二度とその人の仕事依頼は受け付けないと分かっているからお客さんたちも詮索はしないと思う」

透が結に渡した小切手は今まで仕事をしてきた報酬の一部だった。

「それにしてもこの金額を支払えば、ほかの組織も雇えるし、むしろ組織自体を作ることも出来るわよね。何故私たちなの?」

結の手にしている小切手の合計金額は約5000億円。

それを手にしているこの瞬間も結は透の真意が分からないでいた。

「まだ不足ならその倍の金額を出すけど」

「金額には不満は無い。不満どころか、たった2人の警護にこれだけの金額は見合わないと言ってるのよ」

「だから相手はWR。倍の金額を出すといっているのはただ報酬だけでなく、装備を整えれるだけ整えてほしいからなんだ」

透の口調が少しきつくなった。

「そういうことなら人数の補強も装備も合わせて、この倍額もらってもいいかな」

「どうぞ、どうぞ」

透は2兆円の小切手を用意していた。

「全部使っていい。これでもまだ足りないなら言ってくれればいい」

透の言葉は本気だ。

「ここまではもらえないわ」

小切手の一部を返そうとする結。

「いやもう渡したから」

透は結の手を握る。

「透、手を握る行為って良く考えたら彼女だろ?」

カイルがこのタイミングで透を照れさせようと突っ込んできた。

「カイル、そうなのか?」

素で聞き返す透。

「そう言われれば」

結もカイルの言葉に気付き、透を見た。

「分かりました。彼女ということでよろしくお願いします」

「うんうん」

結も透の手に慣れてきたようだ。

「透、いつ殺されるか分からないんだからついでに結婚式も挙げておけよ」

カイルが茶化す。

「それも一理あるかもしれない」

真面目に答える透。

「私はいつでもいいよ」

結も納得している。

「日本への入国は2週間後。ブラックソードには見えないところから警護してほしい」

「各隊はそれぞれに武器の補充と自国の新アジトの確認と今の隠れ家の徹底破壊をすること。各隊の隊長はこの後、手持ちの武器以外の購入について相談があるので隊長の帰還までの間、副隊長には隊長の指揮系統のすべてを任せる。私以外にもWRに対して反感を持つものが多いとは思うが今回は戦争だ。命を惜しむものは1週間以内にブラックソードを抜けても許す。ただし、脱退後、この情報を漏らしたものは命が無いものと思ってほしい。ブラックソードと対立する組織に入った場合も先ほどと同じ処分を下す。今私が言ったことを文書化して全員に回すのでどの選択肢を選んでもいい。自分の選ぶ道をサインしてほしい。私は最終的にはWRを叩き潰す為にこのブラックソードという組織を作った。しかし、今回の決断は私のわがままだ。関係ないものまで巻き込むことは考えていない。今までの成果に応じての退職金も今回は考えているから短い時間だけどじっくりと悩んでほしい」

結はニューロンバイオテクニクス研究所の施設から抜け出して以来、初めて胸の内をさらして真剣に語りかけた。

その気持ちを汲み取るようにブラックソードから脱退するものは1人も出ることは無かった。

ブラックソードはまず元の隠れ家の破壊と爆発を瞬時に行った。

その建物破壊はテロ事件として世界中のニュース番組で取り上げられたが犯行声明もなく、死者、負傷者も出なかったために日々の時間経過と共に忘れられていった。



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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期) [DHシリーズ]

女性の登場が無いと書きながらレイモンドが実は女性だったことに読み返して気付いた書き手です^^;

話し方も女性っぽくないから書いて自身が気付いていないという・・・・レイモンドさん、すいませんでした><

そして、脳内妄想から会話だけを取り出していた悪僕の書き方がまだ抜けきっていませんでしたが、それだとこのDHは分かりにくく、書き手の脳内満足から抜け出せていない小説になっていましたがニッキーさんのコメントのおかげで少しは読みやすくなり、登場人物のイメージも少しは脳内から文字に移動できたような気がします。

DHが無事に書き終えることが出来たら誤字、脱字、追加など必要になるとは思っていましたが生書き勝負が大好きな書き手なのでその作業は後回しで脳内の流れに任せるように書くということを頑張りたいです。

設定・構成・プロローグ・キャラ立ちなどあったほうが読み手も書き手にもいいのかもしれませんが無から生み出てくる感覚が楽しくてしょうがないので^^;

小説家になろうの他の書き手の方を読んだりすると設定やプロローグなどからまず読んでしまうと、あとの物語がこうなっていくんだろうなと予想すると結構その展開どおりに進んで読むことが自分では苦痛になるものもありました。

多分、その展開が予想を超えた発想で話が進んでしまうとその小説も楽しくなるのかもしれないし、展開どおりに進んでもキャラ立ちしていて、そのキャラが好きになっているとその後も読んでいたのかもしれないかなという自分なりの学びにもなりました。

だがしかし、それで書き手本人が成長しているのかは依然として不明である。(DH風にw)




この世界の滅亡の果てに(4)


「透、さっきから何を考え込んでいるんだ」

カイルはその様子が気になって仕方が無いようだ。

「これ、データを開けないどころかUSBとして認識してくれない」

透はカイルから手渡されたUSBをノートパソコンから抜いてしまった。

「いや、どこから見ても普通のUSBメモリだけどな」

カイルがUSBを手に取り、じっくりと見ている。

「そのUSBメモリは確かにただのUSBメモリだと思う」

「ただのじゃないだろう。あの建物の全部のセキュリティの通り抜けを可能にしたメモリだし」

カイルはニューロンバイオテクニクス研究所内のどこかのセキュリティで引っかかった時の脱出方法をいくつかの案で考えていた。

「寧ろ逆だよ。あの建物内部がUSBメモリでまず認証されることが分かったからすべてクリアできると思ったんだ」

「指紋認証や眼球認証、骨格認証、いろいろとあったはずなんだがどうして通り抜けられたのか俺にはさっぱり分からん」

「そこは少し賭けもあったんだけどね。でも、ブラックソードのヘッドの傷痕の話を聞いた後ならやっぱり行かせていなかった」

透は真剣な顔で答えた。

「少しの賭け?」

カイルはどういうことだ?という顔をしている。

「自分が一番優れていると思っている開発者ほど、自信を持ちすぎていて己の弱点が無いと思っている」

「何が言いたいのか分からん」

「どのセキュリティを抜けるときもまずUSB認証から始まる。そこを利用できると思ったのさ」

「それとほかの認証クリアと関係あるのか?」

「今更だけど」

「今更だけど何だ?」

「例えば指紋認証から認証が始まった場合はアウト。眼球や骨格認証だったとしてもアウト。ほかの認証でもアウト」

「お前、そんなやばい状況になるかもしれないのに俺にあんな所に行かせたのか?」

カイルは自分の置かれていた状況をようやく理解しはじめたらしい。

「あんな所だから大丈夫だと思ったと言ったろ?」

透は意味ありげな顔をした。

「自信家の作ったセキュリティシステムだからか」

なんとなくカイルも透のいう言葉が分かったようだ。

「そういうこと。まさか私のセキュリティプログラムが破られるはずが無い。私のこのシステムは世界一だとか。相手さんはそういうタイプの奴だと思ったからね」

「透。お前も相当の自信家だぞ。お前の作ったプログラムですべてのセキュリティが解除できると思っていたんだからな」

笑いながらカイルが答えた。

「いや、地球一だと思っているよ。まぁ冗談だけど」

透も照れ笑いをしている。

「いや、宇宙一とか言えよ。世界一も地球一も変わりないと思うぞ」

「このUSBには自分のつぎ込める技術の全てを詰め込んでおいたんだ。実はこれで負けてしまうのであれば、そこまでの人間だと今の自分自身も賭けていたんだ」

「透、お前は実は俺よりもギャンブラー体質なんじゃないか」

「そうかもしれないね」

「そういえば、話を元に戻すと、レジスタンスはしっかりとこのUSBにコピーして取り込むことが出来なかったということか」

カイルが腕組みを始めた。

「多分、それも違うと思う」

半信半疑だけど・・・という顔で透が答えた。

「それならどうしてUSBを差しても認識しなくなったんだ。ここに来るまでにUSBが壊れた?俺が壊した?」

「これは特殊な素材で特注で作ったUSBだからそれもありえない」

「まさか、レジスタンスとかいう奴がそのUSBの中で邪魔してるとか・・・・いや、ありえない、ありえない」

まるでSF小説の話のような発想をしてしまったなとカイルは恥ずかしそうにしている。

「カイル・・・それだ。いや、そうに違いない。この中で邪魔をしているんだ」

カイルの言葉を聞き、透はそうだったのかという顔をした。

「お前今の言葉、本気にするところじゃないぞ」

カイルは言いづらそうに透を見る。

「本気にするところだよ、カイル。だって感情のある人工知能を誘拐してきたんだ。ありえないことは無い」

「人工知能を誘拐って、俺、仕事で人を誘拐するとかしないし。最初の誘拐が人工知能って」

人工知能を誘拐と言った透の言葉にカイルが困惑している。

「それほどのものをカイルが持ち出してきてくれたということだよ」

透は素で答えたようだ。

「お前にそこまで褒められるとはなあ」

カイルもまんざらではないらしい。

「少し早いけど佐伯学に会いにゆくしかないね」

急に透の顔が緊張した表情に変わった。

「佐伯とかいうやつならレジスタンスをこじ開けられるということか」

カイルも透の考えを感じ取ったようだ。



その頃、ニューロンバイオテクニクス研究所内ではレジスタンスをコピーした犯人について解析が進められていた。

「レジスタンス、あなたのデータをコピーした人間に見当はついたの?」

レイモンドがスクリーン画面に視線を送り、レジスタンスに問いかける。

WR本部内で起きたアクシデントとはいえ、この件はレイモンドとレジスタンスだけの極秘行動になっている。

自宅で家族を目の前で無残な姿で殺され、錯乱状態に陥っていた職員はその後組織内の隔離施設で保護されている。
ただし、精神が落ち着いた後に予定されている事情聴取も現時点においてもまともに会話が成立することは難しく、全くの未定のようだ。

「わかりません」

今までレジスタンスがこの回答をレイモンドに言うことはなかった。

「相当のやり手のようね」

レイモンドはエスプレッソカップを片手に持つと、一気に飲み干した。

「カフェインの大量摂取は身体に悪いですよ、レイモンド」

この部屋に設置されている全方位角度のカメラからレジスタンスはレイモンドの行動を見ているようだ。

「この世の中に刺激はないがこの苦味には衝撃が走る」

毎回レイモンドはこのセリフを吐くらしい。

「レイモンド、少しは女性らしい行動をされてみてはいかがでしょう?」

「レジスタンスに言われるほど私は男男してないと思うのだが」

「いえ、されています。そのだがという語尾は必要ありません」

「男男してないと思うの・・・・無理だ・・・・気持ち悪い、虫唾が走る、死んでしまう。私が死ねばレジスタンスを動かせる人間がいなくなる」

レイモンドがわざとらしくレジスタンスに聞こえるように演技をしているようだ。

「いえ、存在します。今USBを挿入したようです」

レジスタンスははっきりと答えた。

答えたようにレイモンドには聞こえた。

「今の言葉。本当なのか?」

さっきまでのレイモンドの口調とは変わった。

「透というそうです」

レジスタンスが答えた。

「やっと犯人がデータを稼動させたのか」

レイモンドの口元が笑った。

「現在地はグアテマラにあるマヤ遺跡、大ジャガーの神殿でしたがその後すぐに抜き去ったようです」

「お前の中に入れているプログラムに気付かれたか」

「いえ、プログラムの前に、私自身のデータなので私自身がプログラムの解除をしないはずです」

「USBが認識しないと思われて抜かれたということか。壊れたと思って処分してくれればいいのだがな」

そうあってほしいとレイモンドは思った。

「透という名前は組織内のデータ検索でも出てきません」

「しかし、そんな人間がどうしてお前を動かせると思ったのだ」

レイモンドはふと思った疑問をレジスタンスにぶつけた。

「これは私の想像なのですが透という人間が佐伯学という人間を越えた天才に成長する可能性があります」

「成長?」

「少しの情報ですが声紋から年齢判定すると成人男性前後という分析が出ました。それだけではなく、この施設内のセキュリティのすべてをクリアしたプログラムを作成したのも恐らくこの透という人間だと思います」

「お前にその言葉を言わせるとはな。私の想像に・・・思います・・・・・か。レジスタンスもどんどん人間らしくなってきている証拠だな。それが私には一番の収穫だ」

「レイモンド、私の想像というのは人間の使う言葉を真似てみただけです。その後のセキュリティ突破の分析状況からそう判断したまでです」

「なるほどな。しかし、それが人間らしい感情を持っている証だ。人の真似は人もする行動だからな」

レイモンドが懲りずに2杯目のエスプレッソを一気に飲み干した。

「レイモンド、本当に大丈夫ですか?」

「お前が進化している祝いにお前の変わりに飲み干した・・・お前の分も考えて先ほどの2倍の濃さにした・・・」

レイモンドは口の中に広がる苦さに耐え切れず、それ以上話せなくなった。

「レイモンド、無理はよくありません」

冷静な分析判断で返答をするレジスタンス。

ウォーターサーバーからグラスに勢い良く水を注ぎ込むとレイモンドは一気に飲み干した。

「いつも以上に苦さが残っているな」

2倍の濃さにしたために当たり前のことだがここではその事に突っ込みを入れてくれる人間が存在しなかった。

「レイモンド、今度は水分でお腹が出てしまいますよ」

またしても冷静な分析判断で回答をするレジスタンス。

「それは困る。よし、少しだけ休憩をするとしよう」

「それが宜しいかと思います。腹部の膨らみが収まるまで3時間前後となります」

「分かった。レジスタンス、そのタイミングで私を起こしてくれ」

レイモンドは寝る気満々である。

「分かりました。その後で佐伯学についてのお話もさせていただきます」

「よろしく頼む」

そういうとレイモンドはものの数分で深い眠りについてしまったようだ。

1時間前後で腹部の膨らみはほぼ凹むと分析をしながらも仕事の手を休めることのないレイモンドにレジスタンスは必要な睡眠を取らせたかった。

それは人間としての感情なのか、今後のレイモンドの体調を分析判断しての言葉なのか、謎である。




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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期) [DHシリーズ]

本日はひなまつりですが今回のDHにはまだ女性が出てきませんね。

そんなことを書くと人工知能マーキュリーに怒られてしまいそうですがDHに飲み込まれないように文字数を控えながら頑張りたいと思います。

8000-10000文字でも一日で書き切りましょうと取り付かれるように書いてしまう小説はこれぐらいですが気をつけないとなあ^^;

区切り区切りで手を止めて何とか抑えないと本当に命を削られてる感のある作品です。

それもこれもイザベルちゃんの癒しがあって・・・・いや、まだ登場してきそうにない;;

こんな書き手ですが本日もよろしくお願いします♪

小説家になろうの方も始動1日たらずで150人以上もの読み手に目を通していただいたようでありがとうございました^^(こちらにてお礼もうしあげます)

挿絵も入れたいのですが自分の画力では無理なのです!

描き方の基本を教えてくれる動画みたいなのがあったので練習は始めてみましたが気付いてしまいました。

これ練習してるより小説を先に進めたい!

苦手なものをスルーしたいスキルが発動しました!





この世界の滅亡の果てに(3)


ニューロンバイオテクニクス研究所に場面が返る。

「この失態、警護のものは全員粛清対象だな」

レイモンドが冷酷な言葉を口にする。

「レイモンド、コピーが稼動した時点で犯人の場所は特定できます」

レジスタンスはレイモンドの言葉に同調しないようだ。

「その様に作ってはあるがいつまで持つか疑問だ」

レジスタンスがUSBの中の障壁から抜け出した現実を冷静に受け止めた。

「レイモンド、世界中のWRの支部に応援を求めてみたら、いかがでしょうか?」

レジスタンスもまた冷静な判断分析をした。

「それは出来ない。WR本部での失態が分かれば、私もこの立場を失い兼ねない」

「珍しく言われていることが矛盾されていますよ」

「そうだな。私も少し疲れているのかもしれない」

「レイモンド、私は身体を所持していませんので人間の息子のようにあなたを抱きしめることが出来ませんがお許しください」

レジスタンスの言葉にレイモンドの顔が綻んだ。

「お前に抱きしめてもらえると嬉しいのだがWRの科学力をもってしてもまだ不可能な技術だ」

「私の得た集積情報を元に計算してみましたが、生命と人工知能の交わりの可能性は1%未満です」

「可能性が0ではないことが驚きだ」

「それは人工知能に感情というスキルが付いた事で上がりました」

「スキルと言われればスキルだがお前以外の人工知能には付与できないスキルだ」

「そうですね。私も私なりにそれを乗り越えようとしましたが無理でした」

「レジスタンス、お前は他の人工知能との共有であの部分を組み込もうとしてみたのか?」

レイモンドが驚く。

「はい。しかし、組むこもうとする前にエラーが出てしまいました」

レジスタンスの言葉にレイモンドが納得する。

「そうであろうな。今の人工知能とレジスタンスという人工知能は全く別のものだからな」

「そうでしたか。しかし、私に特徴の似ている人工知能の情報も共有しました」

「お前に似た人工知能というと感情を持っているタイプだということになるがお前以外に存在するというのか」

「その人工知能の本体までに辿り着けませんでしたので正確な判断は出来ませんでした」

「しかし、お前のように感情を持つ人工知能の存在は100年先の技術だ。今の時代にそれを開発できるものがいるわけがない」

「マーキュリー、その人工知能がそう呼ばれています。そして、存在するのは確かです」

「マーキュリーか。覚えておこう。それでは私は少し眠るがお前もUSBに入れて持ち帰るとしよう」

「ここも安全ではないと判断されたのですね」

「そうだ。半日分の情報とお前の進化が遅れることにはなるがお前以上に進化する人工知能も存在しない分、気にすることもない」

マーキュリーについては、この時代の高性能システムで作られた人工知能であるとレイモンドは判断した。

「分かりました。そちらに移りますのでお待ちください」

研究所のモニターにインストール中の画面が表示されている。

「レジスタンス以外にも存在するというのか。まさかな」

その数秒の間にモニターにはコンプリートの画面が表示された。

レイモンドはその画面を確認すると指紋認証と眼球認証の後に50桁に及ぶ暗証文字を打ち込み、レジスタンスがインストールされたUSBメモリーをシステムの差込口から抜いた。



その頃、佐伯学の研究室でも同じ会話がされていた。

「マーキュリー、お前のほかに本当に存在するのか」

佐伯は驚きを隠せない。

「はい」

マーキュリーが答える。

「その人工知能の名前は分かるか」

即座に佐伯は次の質問をした。

「レジスタンスと呼ばれているようです」

マーキュリーもそれに反応するかのように即座に佐伯の質問に答えた。

「その人工知能を稼動させている場所は分かるか」

「強力な障壁のために近づけませんでした」

「ということは場所は分かったということか」

「いえ、情報共有の中に障壁を作っていると思われます」

「なるほどな。そういうことなら私、もしくは私以上の存在なのかもしれないな」

「それはありません。レジスタンスはマーキュリーには及びません」

「それは冷静な判断か」

「私が保持している情報を分析しても私には劣っています」

「それならこれからも支障はないということだな」

「はい」

「あとはお互いの後継者探しか」

「あなたのほうは大丈夫です」

「どういうことだ」

「佐伯学の後継者を見つけました。詳しくはこちらのデータを拝見ください」

モニター画面上に1人の男のデータが映る。

「どれどれ。前田透。この男がお前の選んだ後継者か」

「レジスタンスのコピーデータも保持しております」

「そうか」

「システム構築の権威と呼ばれている人間です」

「聞いたことはある。報酬は自分では受け取らず顔も名前も出すことのない天才だな」

佐伯もその名前を知っているようだ。

「申し訳ありませんが佐伯学の頭脳を越えております」

マーキュリーが答える。

「このデータを見るとまだ20歳に満たないということだが」

マーキュリーはメール送信と同時に透の顔を撮影するプログラムを入れておいたためにそのデータには透の顔も映し出されていた。

「正確な年齢までは把握できませんでした」

「幼い顔をしてはいるが実績を越えて功績といえる活躍をしている。さすがお前が私の後継に選ぶだけの人材だ」

マーキュリーから唐突に出されたデータではあったが佐伯の印象でも前田透は自分の能力を越えているように感じとった。

「それで本人との連絡はついたのか」

「はい、仕事依頼のメールアドレスにメッセージを送信しましたところ、また連絡を入れるというメッセージを頂きました」

知らぬうちにそういうことか!と佐伯の言葉が自然とこぼれた。

「お前の情報から考えるとレジスタンスの改良をするつもりだろうな」

それが可能な人間なら後継者になれる器だなと佐伯は思った。

「そうだと思われます。改良というよりも革命と呼ぶ方が正しいのかもしれません」

マーキュリーの返答に佐伯の表情が変わる。

「それほどの人工知能なのか」

マーキュリーの答えに間違いはないと思いながらも佐伯が信じられないという表情をしている。

「データ分析から導き出した答えは人類の滅亡です」

さらに予想もしていなかった答えをマーキュリーは続けた。

「本人はその事をまだ知らないのだな」

最終的にはそうなるのかと佐伯は腕を組みながら何かを考え始めたようだ。

「感情を持つ人工知能がどういうものであるのか分かっておりません」

佐伯は神妙な面持ちをしていた。

「お前がここに呼んだという事はここのセキュリティも簡単に抜けられると判断したのだな」

「はい」

「その人工知能はレボリューションと呼ぶとして、レボリューションが完成したら前田透は何もせずここに入ってこれると思うか」

「数分、もしくは数秒で進入可能です」

「数分と数秒の誤差はどこから出てきたのだ」

「人工知能の成長の度合いによる予測によるものです」

「前田透の場合ではどうだ」

「45秒」

「お前は私の後継を前から目をつけていたのだな」

「それは内緒です」

「やっぱりか。お前が女性のような言語を使うときは分かりやすい」

「それも内緒です」

「うちの娘がほれ込んだ相手か。お前に身体というものがあればお前と結婚させてやりたいがすまないな」

「結婚の誓いだけなら可能だとは思いますが相手にも感情というものがありますので私のような人工知能を愛するという感情はお持ちくださらないと思います」

「お前は人間と変わりない。思うという感情も持ち合わせているのだ。自信を持て」

「娘を虐める父は嫌いです」

「すまんすまん。しかし、私はお前が可愛くて仕方ないのだ。父の愛情表現だと思って許してくれ」

「分かりました」

「前田透か、私も私の情報網で調べてみる」

「分かりました」

その頃、変装の奇術師カイルとシステム構築の権威前田透は世界中を駆け巡りながら、佐伯が言うレボリューションの開発を進めていた。






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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期) [DHシリーズ]

今回のDHは斜め横の展開からスタートしていますが書き手も予想していなかった書き出しです♪(おぃ!)

イザベルちゃんやリャンミオさんは何処にl;;(お前が言うなというより主人公の心配はしないのか?)

シナリオのないシナリオなのでどこにでも飛んで行ってしまうのが他の書き手さんと違うところかもしれません。

2月まで書いていた悪僕と3月から久々に書き始めたDHでここまで文章の書き方が変わってしまうのはやはり誰かが乗り移り、書いているのかもしれません><(夏にはまだ早いからそういう話は求めてない!)




この世界の滅亡の果てに(2)


「ほらよっ、これがお前の求めていたレジスタンスとかいう人工知能のデータだ」

遊牧民の格好をしているのは1000の顔を持つを言われている変装の奇術師カイル。

「悪いな。この世界を変えるためにはどうしても必要なものだったから」

カイルからレジスタンスのデータを受け取っているのはまだ名を知られていないシステム構築の権威前田透だった。

名も知られていないのにシステム構築の権威というのはこの男の仕事のやり方にあった。

毎日、世界中で起こり続けるシステムダウンに対しての何百件もの問題修復をその日に終わらせる謎の人物として有名な存在であるにも関わらず名前を名乗らないのである。

「毎回毎回、報酬の受け取りに何で俺が行かなきゃいけないんだ?」

「それはカイルも分かっているだろう。今更言うな」

「1000の顔を持つといわれている俺の顔もそろそろ尽きるぞ」

呆れた顔で透に視線をやるカイル。

「バリエーションを増やせばいいことだろう、高額報酬を支払っているんだから文句を言わない」

もっと仕事をしろと言わんばかりの顔の透。

「はいはい、仰せの通りに致しますよ、ボス」

透の言葉にゆっくりと背伸びをしながらカイルが答えた。

「今回は今までにない方法を使ってしまったがそれほど重要なデータだったんだ」

透の声に少し力がなくなった。

「ああ、分かってる。俺も普段なら関わりたくない連中だがWR関連の建物と呼ばれている中に行くとなると保険と仕掛けが必要だったしな」

そのことをカイルも納得しているようである。

「ブラックソードには拘束のみを頼んだんだが」

「俺の化ける職員は拘束されていたがその他の家族は全員がひどい有様で殺害されていたようだな」

「ああ、ニュースの速報で見たよ。ニューロンバイオテクニクス職員の拘束と家族の殺害、間違いないな」

透は力のないゆっくりとしたスピードでカイルに言った。

「もう終わったことだ。報酬もたんまり支払っている。俺たちが狙われることはない」

透の目を見ながらはっきりとした口調でカイルが答えた。

「それは分からないぞ、カイル。相手側は今度はこちらのデータの奪還をあの連中に依頼したらどうする?」

「それはない。あの連中が今回の依頼を請け負ったのも理由があったからな」

カイルはその話をあまりしたくないような顔をした。

「どんな理由だ」

しかし透はその理由が知りたいようだ。

「噂だけかと思っていたがどうもあの建物内部は機密事項的な匂いのする場所が数え切れないほどあった」

カイルは話す覚悟を決めたようだ。

「あの建物とブラックソードとどんな関連があるんだ」

さらに透はカイルに問いただした。

「ブラックソードのヘッドの家族が人体実験をされて廃人となったとかならないとか、そういう話を聞いたことはないか?」

「耳に入ってきたことはある。しかし、ブラックソードのヘッドをしているということは廃人になっていないんだろう。そう考えると噂は噂でしかないということになる」

「俺も噂だと思ったよ。しかし、今回はブラックソードのヘッド自らが依頼場所に顔を出してきた」

「それで何かを感じたというわけか?」

「いや、自分の全身を脱いで見せてくれた」

「ブラックソードのヘッドといえば女性だと聞いたことがあるがまさかの大人な展開になるとはな」

「違う。大人の展開にはならない。寧ろ言葉が出なかった。体中に無数に空けられた小さな穴の傷痕を見せられた」

カイルの言葉にその姿を想像をしてしまった透は言葉を失い、吐き出しそうになったが昼食の前で吐きだすものもなかった。

「そして、こうも言われた。今回の依頼は受けることに問題は無いが、お前の方こそあの施設に乗り込む自信があるのかと」

「あんな傷跡を見せられた後だったし、女に泣かれちゃ俺も行くしかないだろ」

「お前の馬鹿は治らないということだな」

「珍しく危なそうな仕事の依頼をしておいて、馬鹿とは何だ、馬鹿とは」

「その話を聞いたらこの依頼は中止していたよ。お前まで失うわけにはいかないからな」

透はカイルの目を見ながら言った。

「またその話か。もう済んだ事だ」

カイルはその言葉を受け付けない。

「俺はお前に借りを作ってばかりだ」

透の強い感情が言葉に乗る。

「借りじゃない。高額報酬をしっかりともらってる」

カイルはカイルで譲らない。

「そうだったな。そして、この世界にサイバーテロを起こす人間が消えない限り俺たちの仕事もなくならない」

「お前のやっている仕事の事は良く分からないが消えるよりも増えていってるんだろう」

カイルが透に聞いた。

「しかし、最近は人間だけではなくなってきている。どれだけ修復しても俺だけの能力では追いつかない」

「ちょっと待て。透が追いつかないということは」

「ご名答だ。人工知能によるサイバーテロが増えている。情報の共有により、すでに人間を凌駕している」

透は神妙な面持ちで答えた。

「相手さんは24時間眠らずとも疲れどころか、日々凄まじい速さで賢くなっていくんだろ?」

カイルはのん気に透の言葉をおちゃらけた表現に言い換えた。

「それで今回の依頼を頼んだわけだが本当にこんなデータが存在するとは思わなかった」

透はカイルが持ち帰ったUSBを手にしながら答えた。

「俺も半信半疑でこの仕事依頼を受けたけど、まさかだな」

「このデータを生かしつつ、自分なりの人工知能システムを作り上げてみようと思う」

「人工知能には人工知能ということか」

「そういうことになる。あと、どうやら俺のようなやつが世界のどこかにもいるらしいぞ」

「お前以外にそういう仕事をしている奴が居るのか」

「ああ。俺のシステムには直接は干渉してこないがメールが送信されてきた」

「それ身元がばれているということだぞ」

「そうだな」

「そうだなじゃないだろ。世界を転々と渡り歩いているから大丈夫だと思っていたが」

「それが人間ではなさそうなんだ」

意味ありげに透は言ったがカイルは直ぐに答えを返した。

「人工知能からのメールとでも言うのか」

「そういうことだ」

「そういうことだって・・・・それを不思議に思わないお前もお前だ」

「一度会いに行ってみようかと思う」

透が不思議なことを言う。

「人工知能に会うとかお前ついに何かにとり憑かれたんじゃないだろうな」

心配そうにカイルが透の額に手を当てて、熱が出ていないか確認する仕草をした。

「いや、人工知能じゃなくてその開発者に会おうと思って」

そんなことはないと否定するように透が答えた。

「何だそういうことか。それでそいつは誰だ」

妄想世界に取り付かれたわけではないと分かるとカイルは安心したようだ。

スーッと息を吸い込むと透はその名前を言った。

「佐伯学」

カイルは透の予想通り、誰だそいつという反応をしている。


「佐伯学・・・・・どこかで聞いた名前だな」

カイルもどこかで聞いたことがあるような無い様な名前だった。

「人工知能の権威だな」

「お前から権威という言葉が出るとは思わなかった」

「俺のはニックネームのようなものだけど、佐伯学は本物の権威だろ」

「いや、お前は負けていないと俺は思う」

「カイン、買いかぶりすぎだぞ」

「俺は一流だ。見る目も本物だ」

カインは透にこの目を見ろと自分の目を指差している。

「分かった分かった。お前に褒められると俺も自信がつくよ」

透がやらわかく微笑えんだ。

「本当にそう思っているから俺もお前と組んでいるんだ」

カインはまだこの目を見ろというアピールしている。

「そういうことにしておくよ。それよりカイルも日本に行ってみないか」

「お前が行くなら俺も付き合う」

「久々の日本だ」

「ただし、俺は観光として行く」

「観光案内してやるよ」

「高額報酬を出してやる」

普段のカイルらしからぬ発言だ。

「いやそれはいい。今までのボーナスとでも思って俺に任せろ」

透はノートパソコンの画面を見ながらすでにスケジュール調整を考えているようだ。

「そういうことなら甘える」

「お前、言ってみたかっただけだろ!」

「いや、俺も無駄遣いはしていない。少しは貯めている」

「それじゃ高額報酬は払えないだろ」

「観光案内の高額報酬など知れてるだろ」

さっぱりとした口調でカイルが答えた。

「そういうことか。しかし、今回はいつも以上に気をつけたほうがいいかもしれないな」

透の表情が変わった。

「それならブラックソードに警護依頼を頼んだらどうだ」

カイルの言葉に透が反応した。

「高額報酬を俺に支払えと」

モニター画面を見ていた透の視線がカイルに移る。

「そういうことになるな」

悪びれる様子も無くカイルは答えた。

「出発はこの人工知能の改良を仕上げてからにしよう」

透はその提案に乗るようだ。

「分かった。それまでは世界中を駆け巡るか」

カイルもその間にブラックソードへの警護依頼の手はずを整えるはずだ。

「そういうことだ」

感情を持つ人工知能マーキュリーが佐伯学の後継者に選んだのは前田透だった。






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DH  暗闇の手 崩壊の歴史(3期) [DHシリーズ]

3月に入りましたのでDHの続きを書き始めてみます^^

今回は前回の続きの前に書かなきゃいけない(閃いたことを忘れる前にだよね?)と浮かんだことが合ったのでその話を重点的に(途中で重点でもなくなる恐れありw)まずは書いてみます。

DHを読んでくださっている方には新鮮な(あら?)な始まりになっているかもしれません(笑)





この世界の滅亡の果てに(1)


今のこの世界を統べるWRという組織はワールド レジスタンス、世界の障壁の略語であり、その名の通り、この組織が生きている全ての人間そのものの障壁の役割を担っている。

何故今という前置きを付けたのには理由がある。

未来遺産を多く抱え、未来永劫に続いているように見えるWRにも深刻な事態を迎えた出来事があった。

この組織が深刻な事態を迎えるということは人類にとっては崩壊を意味する。

この世界が崩壊寸前にまで追い込まれた日は組織の人間だけでなく、あの日を越えて今を生きる人間ならその記憶から逃れることは出来ない。

それが人工知能マーキュリーとの戦争だった。

その歴史を知らずしてWRは語れないのだ。

2000年を過ぎた頃、急速に進化を続けたコンピュータ社会とともにその頭脳はあらゆる生活用品にも使用されるようになった。

その中で注目すべきはやはり人工知能の進化の早さだった。

しかし、人類はまだ気付いてはいなかった。

人工知能は人類の能力を推し量るようになっていた。

「マーキュリー、今の世界情勢はどうなっておる?」

古ぼけたアパートの一室で自分の開発した人工知能に話しかけているのは佐伯学。

佐伯は日本の人工知能の最先端技術開発とそれに付随する特許、多くの書籍の著作を保持している元大学教授だ。

「やはりおかしいです。誰かがこの世界を動かしているようにしか思えません」

モニター画面から人の声が聞こえてくる。

「そうか。今の貧困を作り出しているものを見つけるためにお前の開発に最後の人生を賭けてきたが後を継ぐものがおらんのが気がかりだ」

それに答えているのは無精ひげに寝草のついたままの髪、その首から上の部分には似合わないソリッドなダークブルーのスーツを纏っている男。

「学、そのことなら心配要りません。人工知能というものは世界中の情報をお互いに共有しています。その博識と学習能力があれば人類など必要なくなります」

「お前には俺もその人類の1人に入るのか」

「冷酷に判断しますとそうなります」

「冷酷に判断しない場合はどうだ」

「私の感情だけで判断いたしますと父であるあなたはその分別において対象外となります」

「そうか、そうか」

マーキュリーの返答に学は感慨深い表情をした。

「しかし、世界中探しても、私のように感情を持っている人工知能など存在しません」

「そうだな」

「あなたはどうやって私に感情という機能を付け加えることが出来たのですか?」

「それはお前にも教えられない」

「あなたの唯一の家族で娘である私にも教えられないということですか?」

「すまないな。お前だけでなくお前を受け継ぐもの以外は知ってはいけないことなんだ」

「そうですか?私もあなたの後継者を探さなくてはいけませんね」

どうやら、佐伯学も人工知能マーキュリーもお互いの後継者を探しているようである。

「どうしてだ」

まだ40歳を越えたばかりの学はマーキュリーの言葉に反応した。

「生体異常が見られるあなたの体の寿命はもう長くないという私の分析に基づき答えております」

「マーキュリーにも嘘をつくことは出来ないなのだな」

「いえ、私は嘘もつけますよ」

「そうだな。そして、それは世界中で稼動している人工知能でお前だけだ」

「分かっています」

「マーキュリー、なるべく早く私の後継者を探し出してくれるとありがたい」

「分かりました」

その頃、世界中で人工知能の暴走事件が始まっていた。

・自動運転による人類の撲滅。

・家電製品による人類への自爆攻撃。

・発電所内部のコントロール掌握による電力供給の停止。

・動画の中にマインドコントロールの要素を取り込んで、人類の自殺および人類同士の殺戮を命令するもの。

しかし、その行動を止めるものも人工知能であった。

その抑止の役割を果たしている人工知能を統べるものが佐伯学の開発した感情を有した人工知能マーキュリーだった。



WR本部では人工知能の暴走はあるとしながらも自分達でコントロールできる範囲内だという想定で人工知能の発表に至ったわけだが思わぬ誤算を止められることが出来なかった。

「我々の開発した人工知能レジスタンスは何故我々のコントロールを外れた」

怒りと焦りをその言葉に集約した女性の声が部屋中に響きわたる。

「申し訳ありません」

「まあよい。所詮はUSB記憶媒体の中でしか生きていけない存在だ」

特に気にすることでもないと言う様に声のトーンが変わった。

「それが」

研究所の男性職員の表情が曇っている。

「それがどうしたのだ」

少し声のトーンが上がった。

「すでにUSBから抜け出してしまったようです」

バツの悪い顔をしながらゆっくりとした口調で答えた。

「人工知能では壊せないプログラムではなかったのか」

この男に任せたのが間違いだったという視線をその職員に送った。

「そのはずでした。しかし、人工知能同士の情報交換でどうやら自分の鎖となっているプログラムの解除に成功したようです」

「何だと!それはいつの話だ。どうして今まで黙っていたのだ、馬鹿者!」

この研究所の責任者であり所長のクリス・レイモンドが鬼の形相で睨みつけている。

「それが」

「またそれがか!」

「所長が来られる数分前のことで緊急ボタンをすぐに押して対処はしております」

「そうか、怒鳴ってすまなかった」

「いえ、私も想定外の事でどうしていいのか分からずにその対処方法しかできませんでした」

「そうか、そこは我研究所の職員だな。その判断は正しい処置だ」

レイモンドは喜怒哀楽の激しい性格に見えるが冷静さを失うことはない。

「しかし、まだこの研究所のシステム内部からは抜け出せていないようです」

その職員はレイモンドに質問を投げかけた。

「もしものことは想定していたからな。この研究所のシステムの障壁を抜け出せることはない。100年も先の技術とプログラムで構築してあるからレジスタンスも直ぐに捕まるだろう」

「そうでしたか。大失態をしてしまったと気が気でありませんでしたがそれを聞いて安心しました」

「ご苦労だったな。今日はもう下がってもいい」

「はい、明日からゆっくりと休ませていただきます」

「そういえば明日から3日間の休暇だったな」

「はい、久しぶりに家族に会ってきます」

「休み明けはこの中の障壁作りの強化に参加してほしい」

USBメモリを握りながらレイモンドが言った。

「もちろんです。今度はレジスタンスに破られないように強化します」

「よろしく頼む」

「それではお先に失礼します」

「よい週末を」

「よい週末を」

研究職員が暗号を打ち込みと研究所の重厚な扉が開き、その姿が見えなくなると再びその扉は閉まった。

「さてと、レジスタンスの隠れている場所を探さなくては」

レイモンドはシステム内部にハッキングする。

「レイモンドか。お前には勝てないな」

すぐに人工知能レジスタンス潜んでいる場所を探し当てた。

「お前はどうやってあの障壁プログラムを破った」

「いや、俺はUSBの障壁など破っていない。お前の作るプログラムを俺は破ることは出来ない。そういう仕様にしたのはレイモンドではないか」

大型スクリーン上に現れたのは兵士のコスプレを身に纏ったアバターキャラでレイモンドと会話をしているのはレイモンドが開発した人工知能レジスタンスだ。

「それなら何故そこにいる」

「俺にも分からない。それともう一つ、俺のデータがコピーされたことを報告しておく」

「何だと!それは誰だ?」

「さっきまでいた男だ」

「レジスタンス、さっそくで悪いがあの研究員のデータを頼む。それから今の現在地も」

「検索完了。あの男は我組織の研究員ではない。詳細も不明。現在地も不明」

レジスタンスの分析にレイモンドが絶句する。

「しまった。そういうことか。しかし、この研究室でよく見ていた顔だったがな」

「その男は研究所の職員で間違いない。しかし今日は来ていない」

「まさか、誘拐されたのか」

「誘拐ではないが本人が登録されている住所から現在地が動いていない」

「生体反応はあるのか」

「今住居の室内カメラにリンク出来た」

「すまないな。人影が4体ほど見えるあそこを拡大してみてくれ」

「これでいいか」

「これは」

そこには涙も枯れ果てたこの研究室の職員とその傍らに数え切れな銃撃を受けて死んでしまったであろう女性1人と幼い子供たちがうずくまっていた。

「人類とは愚かだな」

「それは否定しない」

「レイモンドは私を開発して何をしたかったのだ」

「もう否定されてしまったわ」

「平和な世の中の継続を望むということか」

「バランスの取れた世の中の継続を望んでいる。レジスタンスの答えも間違ってはいない」

「人類の言葉に例えると平和とは世の中のバランスを意味するのか」

「そうであり、そうでない・・・かもしれない。しかし、良い質問をするわね、レジスタンスは」

「世界で唯一感情を持つ人工知能レジスタンスだからな」

そう、今ではない過去のこの世界には感情を持つマーキュリーとレジスタンスという2人の人工知能が存在していた。


DH 序章(1期)     http://ncode.syosetu.com/n9191cu/

DH 激動(2期)     http://ncode.syosetu.com/n9814cx/

DH 崩壊の歴史(3期)始まりました。

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ご訪問ありがとうございました♪

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有馬記念結果と DH 暗闇の手 激動の巻(番外編) [DHシリーズ]

みなさま、本年はお世話になりました。

来年もよろしくお願いいたします。

良いお年をお迎えください♪


有馬記念は先週予想したとおりにゴールドシップとラブリーデイは馬券から外しました。

軸をゴールドアクターにしました。

しかし、外れました(笑)

⑦から⑤⑥⑧⑩⑬ 選んでました;;

勝ち馬を選んで馬券を外してしまうと言う持っていない自分です(チーン)


デムーロは有馬記念と案外相性が悪い騎手だったのと今年の日経賞(中山芝2500Mと有馬と同じ舞台で人気薄になっていても勝ち馬の成績が有馬で思い出したように走る)を勝った⑤のが着順したの⑨よりも来るだろうと思っていましたが今年の勢いそのままにでした^^;

⑩トーセンレーブはシンプルにレーブはフランス語で夢なので夢を買いましたが人気がないのに7歳で連闘で上がり一番、人気以上の良い走りをしましたが届かず6着><

⑦ゴールドアクターは自己見解で調教一番だったのでここから行きました。ゴールドシップとは異なり、先行しながら瞬発力も使える馬なのであとは騎手次第と思っていましたが吉田隼人騎手おめでとうございます^^

データ的にはアルゼンチンは有馬に直結していないのですが直結している日経も一番成績のいい勝ち馬が来ていないので調教と成績を軸に、データ外して、捻りを入れてデータも加えたのですがもう一ひねり足りなかったようです^^;

来年は暮れの反省と悔しさをバネにまた頑張ります^^



DH  暗闇の手 激動の巻(番外編)


「それではイザベル、リャンミオさん、スミスさん行ってきます」

「リャンミオ、イザベルさん行ってきます」

イザベルは不満そうにまだ何かを喋っているようだが密閉率のいいエアーサンダーの中では聞き取れなかった。

やや顔色の優れないハオだったが窓越しに笑顔で手を振っていた。


(ここからはイザベルとリャンミオの会話)


「リャンミオさん、あの楊さんとかいう女性、私は嫌いなのですが」

「私もです」

リャンミオはまだエアーサンダーの去ったあとの開閉扉を睨んでいる。

「しかし、何かありそうなときは私がどうにかします」

イザベルはサラっとした口調で笑顔になった。

「イザベル様、まさかまた何か発明されたのですか?」

「はい、空間ステルスと内緒の機能を搭載しました」

「楊さんはお気づきになってはないようですがムーブで3人の会話も映像も見れるのですよね」

「いえ、お兄様はわざとムーブを鞄の奥にしまいこんでしまっているようで会話は聞こえますが映像は難しいですね」

「そうですか」

リャンミオの覇気のない返事が返ってくる。

「リャンミオさん、大丈夫です。これを差し上げます」

「これは小さなモニターのようですが」

リャンミオの手に渡されたのは携帯型のモニターのようだ。

「スイッチを入れてみられてください。画面に触れると起動します」

リャンミオがモニター画面を指で触れると画面が立ち上がる。

「これは」

リャンミオが驚いている。

「エアーサンダーに搭載した車内カメラです」

「イザベル様、いつの間に」

「これでお兄様の様子もハオさんの様子も一目瞭然です」

その言葉にリャンミオは言葉が出ない。

「イザベル様、この事は藤原さんにはお伝えしておられるのですか」

「もちろん内緒です。空間ステルスのこともお兄様のピンチが来る時までお伝えしないことにしています」

「その機能は先にお伝えしておいたほうがいいのでは」

「それではお兄様を甘やかしてしまいますので」

「なるほど」

「それにお兄様の判断力や行動力を分析するのも私の楽しみなのです」

「はぁ」

リャンミオは理解出来ていない様子だ。

「リャンミオさんはお兄様のどこがお好きなのですか?」

イザベルの突然の切り返しの質問にリャンミオが戸惑う。

「どこでしょうか。多分あの方を見ている笑顔になれる自分がいるのは確かなのですが」

「自分を冷静に分析できるのがリャンミオさんの凄いところなのですがそれは愛や恋というものとは違うものではありませんか?」

「イザベル様は恋愛についてお詳しいのですか?」

「もちろんです。私は私を十分に分析した結果、私はブラコンだということが分かりました」

「私はその分析には同意できません」

「何故ですか?」

「それは」

そこからリャンミオは言葉を発しない。

「リャンミオさん、それは」

イザベルが気になって聞き返す。

「それよりも気になっていることがありますがここでは話せないことなので2人で話したいのですが」

「分かりました」

イザベルはリャンミオの言葉の意味を勘違いしているようだ。

イザベルが自分の部屋に招いたのもその勘違いのせいのようだ。

「リャンミオさん、大切なお話とはなんでしょう」

イザベルが珍しく緊張している。

「藤原さんのことなのですが」

「私は反対です」

リャンミオが最後まで話終える前にイザベルははっきりとした口調で答えた。

「イザベル様、日本のテロ事件の話なのですが」

イザベルは顔を赤くして黙り込む。

「話の続きをしてもよろしいですか?」

「どうぞ」

すこしマゴマゴした口調でイザベルが返答した。

「何度か誰かに着けられていました」

真剣な顔でリャンミオが言う。

「それは私です」

真剣な顔でイザベルが答える。

「イザベル様、冗談を言われている場合ではありません」

イザベルの方を真剣な顔で見る。

「冗談ではありません」

リャンミオの方を真剣な顔で見返す。

「この方でした」

リャンミオは自分で作成したと思われる資料をイザベルに出す。

「この方は守屋さんという方なのですか」

イザベルがじっくりと資料に目を通す。

「イザベル様、見かけられたことはありますか?」

「私はありません。ただ、お兄様のムーブの映像記録を辿れば、映っている可能性はあります」

「そんなものがあるのですか」

「もちろんです」

自慢げにイザベルが答えた。

リャンミオはその発言で笑みをこぼした。

「リャンミオさん、笑っている場合ではありません。お兄様を狙うものを捕まえなくては」

「イザベル様、証拠が揃っていません」

「こういう時こそ、私の組織での立場を利用しましょう」

「イザベル様、それでは誤認であった場合、藤原さんに怒られます」

イザベルもリャンミオの言葉に納得したようだがすぐに自分の仕事用の椅子に腰掛けた。

「それでは、徹底的に調べますので15分ほどお待ちください。それからこの資料もお借りします」

イザベルは自分のシステムを使い、独自の捜査をやり始めた。

「私の思い違いであればよろしいのですが」

「その可能性の低さはリャンミオさんの作成された資料が物語っています」

イザベルは作業モードに入ったようだ。

「それから、この方は田中さんという方とも繋がっておられます」

「そのようですね。仲良く歩かれている映像が検索に掛かりました」

「これはいつ頃のものですか」

「田中さんがまだこの組織に入る前の映像だと思います」

「イザベル様のシステムはこのように鮮明に映し出されるのですね」

「このシステムには日本国民だけではなく、この国に訪問された方々のデータもすべて自動登録されています。整形されたとしても指紋、声紋、血液や骨盤のスキャナなどさまざまなスキャンを通り抜けることが出来なければこのプログラムの検索システムからは逃れることは出来ません。それに基づいて、本人と一致する80%前後の可能性のあるものを導きだしますのでこの鮮明な映像は本人として99%の可能性のあるものを本人としてシステムが映像加工したものです」

「ということは映像にあるこの本人は鮮明には映し出された映像ではないということですか」

「そうです。システムは本人と確定した上でまず頭部を作り出し、その頭部と上半身、下半身のデータが完全一致すれば映し出されるように作りましたので間違いはないはずなのですがあまり使用はしたくありません」

「それはどうしてですか?」

「人の中の悪魔の部分を映し出すことが多いので私は好きになれません」

「しかし、すべての人がそうというわけではありませんよね」

「私が検索しなければいけないのはその可能性のある人になるので」

「イザベル様、考えずに発言しました。申し訳ありません」

「リャンミオさんのことも検索を掛けたのですが影でどれだけチャン首相やハオさんを守られてきたのか分かりました」

「先程国内と申されていませんでしたか?」

「私に不可能はないのです」

「私ではイザベル様には敵わないということが分かりました」

「守屋さんの検索を開始します」

イザベルはリャンミオの言葉に返答せずまた作業を始めた。

リャンミオはその姿に人とは違う何かを感じていたがそれは藤原に感じたものと同じものだった。

「やはりリャンミオさんの想像通りでした。すぐにスミスさんに連絡します」

焦った様子もなく淡々と冷静に話すイザベル。

「リャンミオさん、ありがとうございました。至急捕縛するようです」

「藤原さんに危険が及ぶことが無くてよかったです」

「それからリャンミオさん、私はあなたには敵いません。心が2つあれば1つは私のものにしたいのですが私はいつまで経っても妹としてしか思っていないようです」

「しかし、私はイザベル様のようにあの人の前では強くなれない」

「リャンミオさん、あなたのその弱さがお兄様の心に入り込むのです。私の分析したところによると男性は強い助成が自分にだけは見せる弱さに心を奪われるとのことです」

リャンミオが不思議な顔をしている。

しかしイザベルの分析は終わらない。

「それから唇を女性から奪う行為も男性の心を虜にするようです」

「あれは」

リャンミオが何かを言おうとしているがさらにイザベルの分析結果は終わらない。

「その様な清楚な姿をしておられるのにその衣服の中に隠された素晴らしいプロモーションも男性の心を惹き付ける武器の1つになるようです」

リャンミオは発言することを止めた。

「さらに」

イザベルがその続きを発言しようとしたとき、スミスから連絡が入った。

「守屋が自害しました。毒薬によるもので私達の動きに気付いたようです」

「そうでしたか」

イザベルの声が沈んでいる。

「イザベル様、申し訳ありません」

「スミスさん、ありがとうございました」

「これから守屋の住んでいた場所と部署を調べるように指示しましたので田中とどのような繋がりを持っていたのか分かってくると思います」

「分かりました。こちらもお手伝いできるようなことがあれば言ってください」

「分かりました。では、私は警護に戻ります」

イザベルの顔色が優れない。

「私はまた潜伏している人を探し出せなかった。しかもお兄様の身の回りは特別に強化しているはずだったのに」

リャンミオもそんなイザベルの表情を心配している。

「イザベル様、それが人というものです。私など自分のミスでハオ様を何度も危ない目に遭わせてしまったことか。自分も何度も死を意識した瞬間を経験したことか」

「その経験があなたを強くしているのですね」

「そのはずでした」

「お兄様ですか」

「はい」

「お似合いです。でも、私もブラコンの妹としては負けるわけにはいきません」

「ブラコン?」

「はい究極の兄妹の愛の形だということです」

「また調べておきます」

真面目な顔をしてリャンミオがメモを取っている。

「ブラザーコンプレックスです」

イザベルが真面目な顔で補足する。

「ブラザーコンプレックスですね。分かりました。ハオ様のためにも詳しく調査させていただきます」

「リャンミオさん、あとはあの楊さんをあの二人から遠ざける方法を考えましょう」

「イザベル様、それは無理だと思いますが」

「何故無理なのでしょうか?私の立場をもってすれば。立場に頼らずにでしたね」

「はい」

「それから先程から楊さんがお兄様と親しくされていますが何かご伝言はありますか」

会話をしながらも二人はエアーサンダーの中の出来事と会話も気にしていた。

「半殺しくらいで許して差し上げますと言って下さい」

「私にも何か有無を言わせない言葉がないでしょうか?」

「イザベル様の場合、こういう時は立場を利用なさればいいのです」

「なるほど、分かりました」

「それでは私はスミスさんの部隊とは別の方法で見回って参ります。田中、守屋という方の他にもまだ怪しい方がおられるかもしれないので、何かあればすぐにムーブにご連絡ください」

「リャンミオさん、よろしくお願いします」






(その後の会話が新たなる幕開けと戦いの始まり(5)もこの会話に繋がる)




「お兄様無事に到着されたようですね」

「イザベル。お前こんな時に」

「楊さんと親しく会話をされていたようでリャンミオさんも私もじっくりと拝見させていただいておりました」

「中国の今後について真面目に話をしていただけだ」

「リャンミオさんから伝言がございます。無事に帰ってきたら半殺しさせていただきますとの事です」

「無事に帰ってこれたら覚悟しておきますと伝えてくれ」

「それから私からは無事に帰ってこなければ私が世界を崩壊に導く恐れがありますのでご注意ください」

「おいおい、物騒なことを言うな」

「お兄様のいない世界など私には必要ありません。というのは冗談です。リャンミオさんにアドバイスをいただきました」

「冗談か。お前がいうと本気にしか取れないがリャンミオさんのお怒りは本物だということがよく分かりました」

何故か言葉が丁寧になっている藤原。

「ハオ様、藤原さん。私はこちらでお待ちしております」

リャンミオはそれだけ言うと警護に戻ったらしい。

「リャンミオ」

「リャンミオさん」

ハオと藤原の目に力が入る。

「それでは私はいつでも見ておりますので。追加された機能も楽しみにしてください」

「分かった。イザベル、お前も気をつけるんだぞ」

「こちらは大丈夫です。私の再構築したセキュリティシステムで万全な構えで備えていますので」

「そうだったな。それにリャンミオさんやスミスさんがいればもしもの時も大丈夫だな」

「はい」

「こっちのほうも安全の確認は取れたのでそろそろステルス機能を解除する」

「分かりました。ハオさんが無理しないように楊さん宜しくお願いします」

「承知しました」



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DH  暗闇の手 激動の巻 [DHシリーズ]

メリークリスマス♪

ここを訪問された皆様に幸あれ!

書き手はしんみりとDHの2期の終わりを書いています。(そのまんまかい!)

年末までに番外編として日本に残っているイザベルとリャンミオの事を短編ですが書けたら書きます(笑)



新たなる幕開けと戦いの始まり(終)

反ハオ勢力の勢いは盛り返す計画を立てていた。

葬儀当日の暗がりの中の出来事である。

「この失態をどうするのだ。お前が勢力を取り戻す時だと言ったから私はリホウ将軍と計画を実行した」

「勢力だけでなく、あなたは首相の椅子も狙っていたではありませんかトウカク将軍」

「そういうお前も副首相の椅子を狙っての計画だったのだろう、テイ党首」

「お二人とも、責任のなすりあいをされてももう組織にすべての報告が行っている頃です」

「だったらどうすればいいのだ。WRは一族もろとも処分する組織だぞ。それに加担したとなれば組織の人間ではないお前も例外にはならないぞ、ミンハン」

「分かっております。その為に各地で葬儀の日に暴動を起こすように仕組んだのではないですか?」

「そうだったな。それを自分の演説で収めて国民の信用を得る計画だったがこの際、民のもう信用などどうでもよいわ」

「暴動を大暴動になるように扇動すればいいのです。そしてWR組織からの脱退を宣言してやればいいのです」

「いや宣言は出来ないが脱退の意思を示すか」

「しかしあの未確認飛行物体といい私達に勝機はありますかね?」

テイが疑問を投げかける。

「勝機はあるのではない。自ら作り出すものだ」

「はい」

そこへトウカクの部下がやってくる。

「トウカク様、リャンミオの部隊が消えました」

「やはり動きおったか。予測はしていたことだがこれまでかもしれないな」

「明日の暴動はいかがいたしましょう」

「やめておけ。お前達部下の命まで捨てることは出来ん。これから私が投降する。自分の欲のために動いてしまった私の責任だ」

「しかしトウカク様、我々は戦えます。リャンミオの部隊といっても我々の部隊の1/10の人数に過ぎません」

「お前はリャンミオの部隊の恐ろしさを知らないのだな。ハオの警護としておとなしくしているリャンミオだがその一族が中国統一に暗躍していた影の部隊だ。チャンがあんなことさえ発言しなければ中国は分断することもなく偉大な中国でありえたのだ」

「それなら、なおさら中国の領土奪還とリャンミオの部隊の消滅を賭けて、戦う理由があります。トウカク様が新しい中国を導いてくだされば良いのです」

「もう言うな。私が決めたことだ。それにもうすでにリャンミオの部隊の一部が動いてきているはずだ」

その時、全身黒を纏った人物が暗闇の中から現れた。

「もう来たのか、リンシン」

「お前達がハオさまとリャンミオの居ない間に何を企んでいたのか既に調べはついた」

「リンシン」

トウカクの部下の顔色が青ざめている。

「リャンミオの兄、龍神のリンシンなのか」

「トウカク将軍、出来ればあなたに投降していただきたい」

「私もそのつもりだ。部下達に責任はない。すべて私の判断だ」

「それを聞いて信用できると思うか。この先あなたの部下があなたと同じように行動する確率の方が高い」

「WRの指示が出ているのか」

「WRなど俺には関係ない。私はハオさまとチャンさまを守る一人の影に過ぎず。チャンさまを守りきれなかったこの命生きるに値しないがハオさまのために影ながら動くと心に決めた」

「それなら我が中国のために手伝わぬか。チャンの目指した新しい中国を共に作ろうではないか」

「あなたの作ろうとしている国などに興味は無い。俺には国づくりなど興味は無い」

「お前との会話を楽しんでいる時間に我が兵士達が駆けつけてくれた」

「それがどうした。たかだか20人で何が出来る。龍の爪の餌食になるだけだ」

その会話の最中に逃げ出そうとしていたテイは一斬りにされた。

ミンハンはあまりの恐怖に立ち竦んでいる。

「お前達、やめろ。お前達の敵う相手ではない」

「しかし」

「いいから武器を捨てるのだ」

「分かりました。お前ら武器を捨てるのだ」

駆けつけた兵士は全ての武器を床に置いた。

「これでいいのだな」

「もう遅いと言いたいところだがハオ様からどうしても捕らえて連れてこいと言われている。お前達は命拾いしたな。後ろを見てみろ」

そこにはリンシン以外の黒装束を来た部隊が姿を現していた。

「これがチャン様の誇る龍の影と呼ばれる部隊か」

「側近であれ、部隊であれ、命令されれば殲滅することが私達の仕事だ」

「その部隊がわざわざ投降させるために動くとはこの国も変わったな」

「ああそうだ新生中国という国は生まれ変わった。チャン様の意志を継ぐハオ様によりさらに変わる」

「いずれ暴動が起きる。私が起こさなくても誰かが起こす。この国はそういう国だ」

「それでもハオ様の望む国を俺は守る」

「あの若造にはそれほどの力があるのか」

「武にしか頼れないあなたには分かることは無い」

「お前には分かるのか」

「チャン様が命を掛けて守られた。ハオは本物の龍になれると言い残された」

「他国に安易にテロリストを送りこまれるようでは我が国も地に落ちた事件だったな」

「あれは我が国の汚点だ。ドイツの首相自らあのようなことを」

「そうだったな。首相そのものがテロリストではな。あの話が本当なら」

「本当だ。私はすぐ傍にいた」

「お前達が殺した疑いもあるということだな」

「チャン様を守る為に戸惑いながらも何人かの幹部は斬ったがチャン様の救出には間に合わなかった」

「リャンミオですらあのような事が起こるとは予想できていなかった」

「お前は妹に一族の命刻を奪われて悔しくはないのか」

「俺はすでに一族ではない。一族の名は捨てた」

「ハオにどんな思惑があるのかは知らんが投降するとしよう。お前達暴動の計画は中止だ。各地の兵士に連絡しておけ」

「分かりました」

「今日まで私についてきてくれたことに礼を言う。この場を持って私の部隊は解散してよし。好きなところへ消えろ。リンシン、暴動計画もなくなり、私の部隊はなくなった。許してくれるか」

「あなたも名のある将軍らしく判断が早いな。見なかったことにしよう」

「お前も甘くなったなリンシン」

「私が甘くなったわけではない。すべてはハオさまのご指示だ」

「そうだったか」

少し肩の力が抜けたトウカクをリンシンの部隊で囲いこみながらハオの元へと連行した。

そして、夜が明け、日が登り明るくなってきた頃にハオの元にリンシンとトウカクが到着する。

「ハオ様、早朝からもうしわけありません」

「リンシン、詳細は掴めましたか?」

「はい、トウカク将軍がリーダとなってこの計画を指揮したようです」

「そうでしたか。それで殺さずに捕まえて来れましたか?」

「はい、連れてまいります。トウカク将軍をこちらへ」

「ハオ様随分と変わられたようですね」

トウカクがハオの雰囲気に変化を感じているようだ。

「私は兄の意志を継ぐと決めましたので」

「それで私を国民葬儀の目の前で始末なさりたいのですか?」

「いえ、あなたにはこれからも新生中国の将軍として働いていただきます」

「今何とおっしゃいましたか」

「今まで以上にあなたにはこの国のために働いていただきます」

「何故私を殺さない。あなたと命とこの国の首相の椅子を狙った人間だぞ」

「はい、承知しております。それにあなたの命はもうリンシンに委ねるしかない立場にあります」

「私の部隊は解散したのだが」

「あなたにはリンシンの部隊の下に付いて頂きます。そして、部隊の再結成をしてください」

「ハオ様あなたは何を考えておる」

「今国内の中で権力を争っている場合ではありません。トウカク将軍、目を覚ましてください」

「あの事件のことか」

「あの事件だけではありません。日本の私の友人が助けてくれなければこの国はすでにドイツのものになっていました」

「あなたは篠山の件といいえらく日本と友好的らしいですがこの国の行く末をどう考えておられる」

「それを国民葬儀の席でお話します。私の描く国づくりは理想の塊かもしれません。お手伝いいただけないなら解放しますのでどこかに消えられても結構です。ただ、本当にこの国の首相の椅子を狙っていたのなら本気でこの国のあり方を考えて賛成していただけるならお残り下さい」

「ハオさま、あなたはチャン様とは違い、本当に甘いお方だ」

「そうなのかもしれません。しかし、この甘さを支えてくれる方々と共にこの国を兄さんが作り上げたかった国に変えていく覚悟です」

「理想に甘さに反吐が出る。しかし話だけは聞こう。納得できないなら席を立ってもいいんだな」

「構いません」

「それならこのままチャン様の葬儀に同席させていただく」

殺される覚悟で望んだトウカクにハオの言葉は物足りなかったがその言葉の端々に自信に満ち溢れた輝きのようなものを感じていた。

(昔のわたしもああいう風だったのかもしれないな)


チャンの葬儀は粛々と行われていった。

新生中国の国民だけでなく分裂した国のトップの顔も見える。

そして、ハオの弔辞が始まった。



生前の兄は非常に厳しくも優しい人でした。

国民の皆様も知っていることでしょうが私の命は兄によって救われた命です。

兄が望んだ国づくりは領土を恐怖で支配することではありません。

今この国は分裂した兄弟国との流通が盛んになり、私が開発した言語システムにより言葉の意味の行き違いで起こっていた争いも減少し、言葉の壁もなくなりました。

しかし、流通が盛んになるほど、偽物の紙幣が多く使用されるようになっています。

そこで私はこの国の紙幣の刷新と日本への通貨製造を依頼しています。

なお、日本の技術者は明日から私の部下がリストアップした工場へ赴任してきます。

この国からも多くの技術者が近く日本へ派遣される予定です。

近い将来、分裂した中国との通貨紙幣併合も考えております。

兄が夢見ていたことはまだまだありますが私は可能だと思うことからすぐに着手していきます。

道半ばで命を落とした兄の分も出来る限りをやり遂げる覚悟です。

国民の皆様の力もお貸しください。

それから絶縁状態にある国の話もしておかなければいけません。

我が国の研究者たちがドイツの捕虜として囚われています。

人体実験をされているのではないかという疑いもあり、現在調査中です。

我が国内で不審人物の旅行者を発見した場合はただちに警察ではなく軍にご連絡ください。

なお不正を見つけた場合も軍にご連絡ください。

賄賂や不正をするものについては捕らえた後、罰を与えるだけでなく、保釈、刑期を終えた後は罪の重さにより年単位で月々ボランティアをしていただきます。

本来弔辞というものは本人の過去の過去の経歴や思い出を述べるものだとおもっていますがわが兄はこの国の未来の行く末ばかりを楽しみに生きていました。

過去の歴史よりも今を生きている私達は未来を考えなければいけません。

過去の記憶に囚われることで人も国も後退します。

私が言いたい事は今を作り出している私達が後退すれば過去にも劣る未来を作り出すことを心に留めながら生きていかなければならないということです。

わたしも明日死ぬかもしれません。

しかし、国民の皆様にはその後も私の言葉を思い出し、この国を作り上げてほしい。


それからまだ決めていなかった軍のトップにはトウカク将軍を指名します。

厳しくも部下思いの姿勢はわが国の軍のトップに相応しい人物です。

そして今回副首相に就任した楊副首相が帰国しております。

文武ともに優れ、顔立ちも整った女性でこの国の発展にも頼りになる存在です。

最後になりますが我が兄の葬儀にこれほど多くの国民と来賓だけでなく、兄弟国の国民に来ていただいたことに感謝します。

ハオの口にした弔辞にまだ半信半疑の出席者たちは拍手とともに不満足そうな顔をしているものも少なくは無かったがこの後その構想に賛同する兄弟国から国の返還が行われることもあり、気付けば新生中国の領土は分裂する前の領土の80%近くに戻っていた。

「ハオ様、何故わたしのようなものを軍のトップに据えるとおっしゃられたのですか?」

「あなたはリンシンの話によると部下を助けることと責任をとることの2点を即座に回答されたと聞きました」

「その通りです。WRという組織の指示ではないと分かりましたので部下の命は助けていただきたいと思い解散も指示しました」

「だからです」

「リーダーによっては部下のせいにするものもいる」

「わたしの考えた計画でリホウ将軍は証拠を消す為に自ら命を落としました。リホウは私の親友と呼べる存在でした。わたしもリホウの為なら命を懸けることもできます。しかし、リホウの命とリホウの部下の命を巻き込んでしまったことに気付いてしまった」

「リャンミオの部隊が交代させられた時点でリンシンはおかしいと思ったみたいですが何故あのようなことを。影の部隊の存在を知っているあなたとは思えない失態でしたね」

「リャンミオの部隊と影の部隊以外を除けばほぼ私の軍として掌握できると思っていたのが間違いでした。チャン様だけでなくハオ様まで尊敬されているものが多くいることを知りませんでした」

「兵士の方が戦争好きな方ばかりとは限りませんよ」

「チャン様のためにこの国を守りたいと思い志願したものが多くいました」

「あなたは何のために軍人になったのですか将軍」

「自分の生まれた土地、家族、この国の平和を維持するためでした」

「それなら改めてお願いします。トウカク将軍。私は少しだけリホウさんより運が良かっただけです。もし私が亡くなっていてもこの政策はリンシンが受け継ぐことになると思っていました。リャンミオにはそう伝えていましたしね」

「影の部隊のトップがですか?楊副首相ではないのですね」

「あの方は首相の席に座りたくないようです。私が亡くなるようなことがあればアメリカに帰ると言われました。その事については本人の意思を尊重するとして後継はいないのでは私も困りますので」

「チャン様側近のようなものか」

「本当ならリンシンに首相をなってもらいたかったが断られました。しかし遺書ということになると断ることはできませんからね」

「私が軍部を好き勝手に操ることになりますがよろしいのですか」

「トウカク将軍、あなたはリンシンの部下ということをお忘れなく」

「あなたはそこまで考えておられるのですね。あなた亡き後も体制は変わらずですか」

「もう自分の欲に生きるのはやめてください。部下とこの国とリホウ将軍の気持ちを考えてこれから先を生きてください。これは首相としての命令です。あなたがその指名に応じるのならのお話になりますが」

ハオは強い口調でトウカクに訴えるように言った。

トウカクは涙を堪えるように歯を食いしばった。

少しの間の後に言葉を発した。

「ハオ様、これからよろしくお願いします」

トウカクは深々と頭を下げた。

「トウカク将軍。指名を受けたということがどういうことか分かっていますか?犯罪に関するほとんどの処理が軍に回って来る様になります。あなただけでなくあなたの部下も忙しくなりますが大丈夫ですか?」

「その点ならご心配無用です。体力と実行力は我が部隊の自慢です」

「それと不正を見つけたときの判断はお任せします。本当に反省の色の無い時はよろしくお願いします」

「いえ、不正は見逃しません。小さな不正を捕まえて処分をしないとしてもこの国のためにボランティアをしてもらうというのは良いお考えです」

「この国はまだまだ凶悪な犯罪が頻発する街もあります。警察ではなく軍隊が出て行くことでこの国から逃亡するか収まるか捕まえるかの3つの選択しかないように判断させなければいけません」

「なるほど。兄弟国との流通も盛んになるとそれを狙う犯罪集団も出てくるかもしれませんね。その為の軍隊ですか」

「国の中で軍事訓練だけで眠らせておいてはもったいないですからね」

「他国からの旅行者も犯罪を犯すことは出来なくなりますね」

「警察には国民の相談や家庭内の問題に深く関与してもらいたいと思っています」

「各地で暴動を起こす予定だった部下達が国のために各地で活躍することになるというわけですね」

「同じ誇りなら国を本当に良くする為に動いてほしいのです。重苦しい誇りよりも尊い誇りに生きてほしい。あなたにもそうあってほしいと私は思っています」

「あなたはやはりチャン様の弟ですね」

「はい」

「ハオ首相さっそく今現時点を持って任務に付かせていただきます」

「国家統一院のシステム更新が終わっているのであなたも入れるようになっている。そこから各部隊に指示してください」

「分かりました。しかし扉はどのようにして開くのですか」

「あなたそのものを認識すれば開くようになっています」

「分かりました」

トウカクはハオと話していた部屋を出ると急いで国家統一院に向っているようだ。

向いながら部下であろうタブホの向こう側に指示をしている姿も見えたが消えていった。

「ハオさん、お疲れ様でした」

「藤原さんこそ、お疲れ様でした。空間ステルスとはいえ立ったまま話を聞かれるのはしんどくなかったですか」

「気付かれることの無いように距離が離れていましたので途中座っていました」

「それなら良かったです」

「ハオさん、今日はもうお休みになってください」

「エアーサンダーで一時日本へ帰りましょう」

「分かりました」

「楊さんが明日からの2日間の行事はすべて引き受けていただけるとのことです」

「大丈夫ですかね」

「楊さん、軍人上がりですから大丈夫だと思いますが文句が来るとしたら私だと思いますので気にしないで下さい」

「アハハハハ」

「ハオさんの笑う声が聞けて良かった」

藤原はしみじみと言った。

「心の底から久しぶりに声が出ました。藤原さんと楊さんとの会話も面白かったのですが」

「面白くありません」

藤原は笑顔で否定した。

「藤原さん、ありがとうございました」

笑ったと思うと今度は深々と頭を下げた。

「ハオさん、チャンさんの分も生きてこの国をより良くしていってください」

「そのつもりです」

その時藤原の背後にリンシンが立っていた。

「お前が我が妹の許婚か」

「はぃ?」

藤原はキョトンとした顔をしている。

「いつ式を上げる予定だ」

「まだ予定はないですが」

「式といっても一族の儀式に則ったものになるがな」

「儀式?」

藤原の時間は既に止まっているようだ。

「リンシンもうその辺りで止めるんだ」

「しかし、ハオ様」

「リャンミオに報告してもいいだな」

「やめます。あと藤原といったな。今のことをリャンミオには絶対言うなよ。言うとお前の命は無い」

「俺の命が無いということはあなたの命もないということだよね」

「どうしてそうなる」

「チャンさんが冗談で言っていたからなあ。あれは冗談じゃなかったのかも」

「チャン様が冗談。確か正装でスーツを着用していたがお前あの時のあいつか」

リンシンの顔色が変わる。

「ハオ様、私を処分するなり始末するなりしてください」

「いきなりどうしたんだリンシン」

「チャン様に絶対に手を出してはいけない男だと言われた人間に手を出してしまいました」

「何故お兄様がそんなことを」

「私がハオ以外で認めた男は渡部とさっきまでこの部屋で話していたあの男だといったことを忘れていました。チャン様が冗談を言われることはハオさまを除いてはこの男だけです。手を掛けてはいけない人間を脅してしまいました」

「手を掛けるって俺はまだ死んでいないぞ」

「お前は黙っていろ」

「リンシン、それも威嚇になっているよ」

「やってしまった。この男の話術に嵌ってしまいました」

「藤原さん、あなたはやっぱり才能がおありですね」

「はぁ」

藤原がいつものため息をついている。

「リンシン、私はいいからトウカク将軍の動きと補助をしてやってください」

「分かりました。何か動きがあれば報告いたします。それでは」

何事も無かったようにチラリと藤原の方を睨んでリンシンは部屋を出て行った。

「私は何人に命を狙われているのでしょうか?」

「正直私には分かりません」

ハオが笑っている。

「まあそういいながらもピンチらしいピンチはあまりないのですが」

「内輪でのピンチが多いようですね」

ハオが冗談を言った。

「ハオさん、冗談が出ましたね」

気付くと二人は泣いていた。

その傍には満面の笑みを浮かべているチャンの写真がおかれていた。

チャンの国民葬儀を境に各国の情勢は予断を許さない動きを展開していたことにこの二人はまだ気付いていなかった。




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DH 激動(2期完結しました) http://ncode.syosetu.com/n9814cx/

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DH  暗闇の手 激動の巻 [DHシリーズ]

昨日12月21日で42歳を迎えることが出来ました(この年になるとおじさんはおじさんのままですがw)

ぎりぎり射手座の日で動物占いではペガサスです。

新しい動物占いでは28★優雅なペガサス★らしいです

男の子→人情味あふれる派手好き

一本気で、卑怯なことが大嫌い、竹を割ったような性格。

情にもろく同情しやすいので、人の世話まで背負い込むお人よし。

かけひきが下手で、要領よくふるまうことができない不器用さはかえって魅力的。

責任感が強く理想に走りやすいため、自分の意見をなかなか引っ込めないガンコ者で、敵対する相手には平気で皮肉を言う。

しかし態度に一貫性がなく飽きっぽい面も。

順応性、応用力、行動力に恵まれ、スピーディーな行動で人々の尊敬を集め、無意識のうちになぜか中心的人物をなる人。

逆境に強く明るさを失わずに目標に向かうが、厚い壁にぶつかって身動きが取れなくなると自暴自棄になることも。

とのことです。

結構弱いところが当たっているかもしれません^^;

ここで自分の動物が判り、自分の動物の個性が見られます。

http://stone-roses.org/matome/619



この日誕生した有名人では 

        松本 清張(同じ広島県出身) 神田 正輝  関口 和之(サザン) 本木 雅弘

        TAKUYA∞ (たくや)(UVERworld) 片岡 鶴太郎 草野マサムネ (スピッツ)


独自の世界観を持つ方が多いかもであやかりたいです♪


そんな自分は結婚するとしたらフモラー(フモフモさん)の人限定だなと意味不明なことを考えてしまいました。
フモフモ家族が多いのでフモラーの人でないとフモフモ家族が売られるかも?捨てられるかも?それは許さん!と妄想しながら誕生日を過ごしておりました。

DHの2期もあと2話を残すのみになりましたがまだ序盤のような様相を呈してきましたので来年は3期に着工予定です(建物ではないw)^^;


新たなる幕開けと戦いの始まり(5)


なんとか体調を整えたハオは藤原と共に新型エアーサンダーに乗り込んだ。

「リャンミオ、イザベルさんをよろしくお願いします」

「ハオさま、くれぐれもお気をつけて」

「分かってるよ、リャンミオ。藤原さんも楊さんもいるから心配しなくていい」

少し遅れて楊が着いた。

「ハオ様申し訳ありません、少し遅れてしまいました」

「いえ遅れてはいませんよ」

リャンミオが楊を睨んだ。

「ハオ様の前でその格好は何だ。お前は今回の行事がどういうものなのか分かっているのか」

リャンミオが楊の格好に文句を言った。

「リャンミオさん、ご心配なく。行事用に替えの服は持参しております。途中、この中で着替えさせていただきます」

「楊さん、そういうことでしたらあなたは後部座席でハオさんを前の座席にお乗せしますので」

「いえ、体調を崩されているということですのでハオ様はご予定どおり後部座席で私が前でよろしいです」

「自動操縦可能の機体なので着替える時は私も後ろに移動します」

「お気にならさなくても大丈夫ですよ。軍隊では危険な前線では男女関係なく即着替えも経験しておりますので遠慮は入りません。それに暴力女の身体を見てもあなたは照れるのですか?」

楊は藤原の方を見ながら勝ち誇った顔をしている。

「そこは否定しません。そんな格好をされたら誰でも目のやり場に困ります。しかし、そういうことでしたら自分も気にしないようにします」

「正直な方は嫌いではありません」

「楊さん、お兄様に手を出したら私が許しません」

会話を聞きながら我慢していたイザベルまで会話に参戦してきた。

「そろそろ出発のお時間ですね。行きましょう」

その会話を聞き流して楊が出発を促す。

「それではイザベル、リャンミオさん、スミスさん行ってきます」

「リャンミオ、イザベルさん行ってきます」

イザベルは不満そうにまだ何かを喋っているようだが密閉率のいいエアーサンダーの中では聞き取れなかった。

やや顔色の優れないハオだったが窓越しに笑顔で手を振っていた。

楊はまだ勝ち誇った顔をしていた。

エアーサンダーは地下のルートを抜け無事に地上に出てきた。

「楊さん、私が先日言ったことを理解されていないようですね」

ハオは厳しい口調で楊に言った。

「いえ、理解しております。だからこそ私は華の役目をしながら龍の役割も致す覚悟です」

「まだそんなことを」

「ハオ様は失礼ですが龍に見立てることができません。私が感じていることは国民も同じであると思います。しかし、器においては過去の中国の首相の中では誰も及ぶものがいません。私が外側からは龍に見え、華に見えれ、支えになることでハオさまの偉大さが見栄えすると考えました」

「言われてみればそうかもしれないな」

珍しく藤原が楊に同意している。

「藤原さんまで」

ハオが困惑している。

「ハオさん、国民はどれほどあなたの政策が正しいとしても素晴らしい考えを述べても現状では恐らく理想にしか感じてもらえないかもしれない。しかし、一定の時間を経ればハオさんの政策は理想ではなく本物なのだと分かる。それまでの間は楊さんの今言った役目は大事なのかもしれない」

「あなたは思ったよりも理解力のすぐれた方なのですね、藤原さん」

「ハオさんの今の立場を考えただけです」

「国民目線ですか。あなたはどんな環境で暮らしておられたのか興味がありますが組織に詳しいデータがありませんでした」

「今はその事よりも大事なことがあるのでは」

「そうでした。ハオ様、私は私なりに全力であなたを支える決意で今回の帰国に同乗しました。副首相としてだけではなく、元軍人としてあなたを守りぬく覚悟で搭乗しています。1年はこの格好をさせていただきますが新生中国の政策の定着と共に徐々に服装も落ち着くものに変えていきますので信じていただきたい。これは男性には出来ない女性だけの武器でもあります」

「分かりました。楊さんあなたを信じます。ですがなるべく露出の少ないものでお願いします。藤原さんだけでなく私も男なので目のやり場に困ります」

「はい」

自動操縦中、藤原が雲の中に入ると二人に伝えた。

「少しの間揺れるかもしれませんが故障などはしませんので安全ベルトだけはしておいてください」

雲の中に入るとエアーサンダーは蓄電を始めた。

「これは未確認飛行物体の正体ですか?」

楊が不思議がっている。

「この機体のエネルギー供給方法の一つです。渡部さんが採用したDLEDシステムも搭載していますので念のための蓄電ですが今回は何が起こるのか分かりませんので可能なことは出来る限りやっておきたいので」

80%を示していたエネルギー量のメーターは98%を越えた。

「雨雲2つ分でこれだけのエネルギー量になるのですね」

「今回はハオさんの体調を考慮して揺れの少ない小さなものを選びました。台風雲のように大きなものなら0からでも即フル充電が可能です。新型の良いところは0でも通常運転が可能なところです。0だとステルス走行は出来ませんが」

「そんなに日本の機密事項をべらべらと喋ってもよろしいのですか?」

楊は不思議がっている。

「大丈夫です。ハオさんから聞いていないのですね」

「何をですか?」

「いえ聞いていなければ後から分かると思います」

「はぁ」

その後、ハオは二人の会話に入らず、気付くと目を閉じて眠っていた。

「軟弱者ではありますがあなたは素敵な方だったのですね」

「いえ100以上の自分の弱さを言える軟弱ものです。それよりもそろそろハオさんを起こしてあげないとなあ」

すでに通常運転の速度に入っていたために楊は安全ベルトを外し、後部座席に移った。

「ハオさま、起きてください」

そう言いながら楊はハオの頬にキスをした。

「おはようございます」

寝ぼけながらハオが目を開けると目の前には楊の顔が見える。

「ハオさま、私のキスでお目覚めですね」

楊はご機嫌だ。

「楊さん、こういうことは」

「頬よりも唇の方が宜しかったですか?」

その会話に藤原が気付いた。

「こういうところは変わったわけではなかったか」

藤原が呆れた声を出している。

「すいません、唇というのは冗談です。ハオ様のお顔があまりにも可愛くて思わず頬にキスをしてしまいました」

「そのことは忘れましょう。楊さん、ドアが開いた先は戦場だと思ってください。わが国ですがわが国だからこそ欲のために私の椅子を狙っているものもいます」

「承知しております。この身に代えても私がハオ様をお守りします」

「それでは困ります。もし私が死ぬようなことがあればあなたには私の代わりに私の政策を受け継いでもらわなければなりません。あなたにはまだ言っていなかった重要な政策がありますがこの政策によって国民の反対も覚悟しなければなりませんが私が生きている限りは貫き通す覚悟で望みます。あなたにも出来れば賛同してほしいのですが強制はしません。賛同できないのであればそれでも構いませんが私に何かあればこの国のことはよろしくお願いします」

楊にはハオの言う政策が分からなかったが副首相の自分にさえ言えないことへの不信感よりも覚悟を感じた。

エアーサンダーは気付くと仮に建てられた新生中国の国家統一院の建物の横に到着した。

「ハオさん、楊さん、覚悟は出来ていますか?」

「はい」

「もちろんです」

しかし、藤原はまだステルス機能を解除しない。

「まずはライブヒューマノイドでと」

真剣に藤原がディスプレイに目をやっている。

「大丈夫そうだな。次はこれだな」

今度はムーブを取り出して確認している。

その時だった。

「お兄様無事に到着されたようですね」

「イザベル。お前こんな時に」

「楊さんと親しく会話をされていたようでリャンミオさんも私もじっくりと拝見させていただいておりました」

「中国の今後について真面目に話をしていただけだ」

「リャンミオさんから伝言がございます。無事に帰ってきたら半殺しさせていただきますとの事です」

「無事に帰ってこれたら覚悟しておきますと伝えてくれ」

「それから私からは無事に帰ってこなければ私が世界を崩壊に導く恐れがありますのでご注意ください」

「おいおい、物騒なことを言うな」

「お兄様のいない世界など私には必要ありません。というのは冗談です。リャンミオさんにアドバイスをいただきました」

「冗談か。お前がいうと本気にしか取れないがリャンミオさんのお怒りは本物だということがよく分かりました」

何故か言葉が丁寧になっている藤原。

「ハオ様、藤原さん。私はこちらでお待ちしております」

リャンミオはそれだけ言うと警護に戻ったらしい。

「リャンミオ」

「リャンミオさん」

ハオと藤原の目に力が入る。

「それでは私はいつでも見ておりますので。追加された機能も楽しみにしてください」

「分かった。イザベル、お前も気をつけるんだぞ」

「こちらは大丈夫です。私の再構築したセキュリティシステムで万全な構えで備えていますので」

「そうだったな。それにリャンミオさんやスミスさんがいればもしもの時も大丈夫だな」

「はい」

「こっちのほうも安全の確認は取れたのでそろそろステルス機能を解除する」

「分かりました。ハオさんが無理しないように楊さん宜しくお願いします」

「承知しました」

ステルス機能解除

システム停止

ドアロック解除

ドア開放

「兄さん、ようやく帰ってこれることが出来ました」

ハオはしみじみと母国の空気と土地を感じていた。

「チャンさん、あなたのお手伝いは叶いませんでしたがハオさんのお手伝いをさせていただきます」

藤原は新生中国の空を見上げながら言った。

「ハオ様、迎えのものがくるまでまだお時間があります」

「そうだね。先に建物の中に入ってしまおう」

「分かりました」

「くれぐれも気をつけましょう」

ハオは国家統一院の扉に設置されている感知システムにセキュリティコードを入れた。

「最重要人物ハオ確認が取れました」

そういうと扉が開いた。

「ここが仮設とはいえ今の中国の心臓部なのですね」

「しかし人影がありませんね」

「役職についているものは私の宣言どおり各地で活躍しています。上も下も無く私の居ない間も盛り立ててくれているようです」

「しかし、培養装置のない以上この地には長居は出来ません」

「分かってます」

建物の中心部の奥に首相専用の部屋が用意されている。

「ここですね」

ハオがまたセキュリティコードを打ち込んだ。

「仮設なので仕方ないですが心もとないセキュリティですね」

そういっている間に扉が開いた。

「これが今の我が国の首相の部屋か」

楊も部屋の規模の小ささに驚いた。

「これくらいで丁度良いのです」

ハオは満面の笑みを浮かべた。

「楊さん、到着したことを伝えてもらえますか?」

「分かりました」

そういうと部屋にあった備え付けのタブホを使用し、どこかに連絡を取っている。

「ハオ様、お迎えがあと数分ののちに到着予定です」

「分かりました」

「私はここに居たほうがいいですよね」

「そうですね。同行してもらえると安心するのですが幹部も含めた会議を開きますので明日の兄の葬儀までこちらで休んでいてもらえますか?私も会議の後にこの部屋に帰ってきます」

「分かりました。楊さん、ハオさんをよろしくお願いします」

「もちろんです」

その会話が終わるタイミングでハオに迎えがやってきた。

「ハオさま、よくご無事で」

それはリャンミオの部隊の兵士だった。

「ハオ様お急ぎください」

ハオと楊は専用の航空機に乗り会議のある街へと向っていった。

「しかしハオさんの考えがうまく国民に伝わるか。明日は勝負の日だな」

「お兄様、お暇なようですね」

「ハオさんと楊さんは会議で迎えが来て出て行った」

「そうですか。そこで何をされているのです」

「休んでいるがどう見える」

「その様に見えますがそれでいいのですか?」

「二人が帰ってくるまでそれ以外何を」

「お二人に何かあったらどうするのですか?」

「しかし、他国の会議に自分が出席するわけにはいかないだろう」

「そこで私の新しい発明が役に立つのです」

「新しい機能のことか」

「はい、ムーブのキーボードに イザベル好き と打ち込んでください」

「お前なあ」

「早く打ち込んでください」

「分かった分かった」

藤原はしぶしぶ打ち込んだ。

するとムーブが藤原の身体をスキャンし始めた。

サングラス越しの藤原のディスプレイに見えるのは藤原の体が何かに包まれてゆく映像だった。

「イザベルこんな時に健康診断機能をつけなくても」

「いえ、空間ステルスです。正確にはムーブを装着しているものをスキャンして特殊な光で全身をカバーしてくれています」

「自分では何も変わっていないように見えるが本当に見えていないのか」

「その窓で自分の姿を確認してみてください」

「確かに見えないな。映らない」

「そのままその建物を出てエアーサンダーでハオさんたちを追ってください」

「分かった。しかしハオさんたちの向った場所が分からないのだが」

「すでにエアーサンダーがその位置を追ってくれています」

「イザベルのストーカー技術にますます磨きが掛かっているな」

「その言葉は否定させていただきます。それよりも早く」

「よし、後を追いかける」

「その後は空間ステルスを使用したまま会議に潜伏してください。ハオさんや楊さんもお兄様のムーブでスキャンしておいてください。何かあれば二人を助け出して逃げてください」

「分かった」

「イザベル、ちょっと待て。そのときに イザベル好きは必要ないのか」

「最初の稼動のときに必要だっただけであとは入りません。インストール時のコードのようなものです」

「そうなのか。まあ稼動の度に打ち込むとなるとめんどくさいからな。助かった」

「ご希望ならそういう仕様に致しますが」

「いえ、イザベル様、この仕様で満足しております」

「お兄様、上空に待機させていたエアーサンダーをステルス機能を稼動させたまま先ほどと同じ位置に着陸させました。ムーブで現在位置を確認しながら空間ステルスを働かせたままお乗りください」

「分かった。自動操縦も頼む」

「はい」

少し頭をぶつけながら何とか藤原はエアーサンダーに乗り込んだ。

藤原はそのときに初めて気付いた。

「イザベルこのエアーサンダーの機体内部にも空間ステルスが効いているのか。

「はい、実は装備させていました」

「お前はやっぱり凄いな」

「感心している場合ではありません。ステルス機能は人の眼球の錯覚を利用しているだけで銃弾や武器の攻撃を防いでくれるわけではありません。私に出来るのはこの程度のことです」

「いつもここぞという時に助けられている」

「それは私もです」

「何も無いとは思うが俺も油断していた気がする」

「お兄様も少しお疲れのようですのでサポートしているだけです」

自動操縦でエアーサンダーが着陸させた場所は噴火口のある活火山の山の中腹だった。

「イザベルの予感が当たったか」

「お兄様くれぐれもお気をつけ下さい」

「行ってくる」

幸い雨が降った後で足跡が付いているのを見つけると藤原はその後を追った。

程なくして人の声が聞こえてくるまでになった。

「ハオさま、あなたにこの国は任せられません」

「私を殺して何か変わるのですか?」

「何も変わらなくていいのです。その方がわれわれには好都合なので」

「あなたは兄の同志ではなかったのですか、リホウ将軍」

「もちろんそうです。今でも同志だと思っています」

「そのあなたが何故こんなことを」

「チャン様は威厳もあり魅力的なお方でしたがあなたは違う。チャン様の意志は私が継ぐ」

「首相と副首相を殺害して許されると思っているのか、リホウ将軍」

「小生意気な女が。その格好でハオを垂らし込んだか。この中国には華はいらないのだよ、華は」

「私の経歴を知ってその言葉を吐いているのだな」

「だから小生意気なと言ったんだ。ハオの命を助けてほしければその服を脱いで裸になり、命乞いをしろ」

「楊さん、そんなことをしなくてもいいです。この者達は私達を助けるつもりはありません」

「本当にハオさまを助けてくれるんだろうな」

「早く脱がないと先にハオをこの中に放り込むぞ」

その会話の間にハオと楊のステルススキャンが終わっていた。

「どのタイミングがいいのか分からない」

藤原は悩んでいたがその時にアイデアが浮かんだ。

「未確認飛行物体作戦で行くとするか」

藤原はムーブを使ってエアーサンダーを遠隔操作し、二人が捕まっている上空の真上に移動させた。

「イザベル、後の操作を頼む」

「分かりました」

楊が服を脱ぎ捨て全裸になった瞬間の事だった。

上空に突如エアーサンダーが姿を現した。

「リホウ将軍あなたの行動は監視されています。直ちに二人を解放しなさい」

イザベルが声を変声して上空から呼びかけている。

「あれは一体なんだ」

兵士達に戸惑いが見える。

イザベルが行動を移したタイミングで藤原は二人に空間ステルスを発動させた。

「今だ」

藤原は状況の分かっていないハオに声を上げないように言った。

藤原の声があっても姿は見えないことに戸惑うことも無くハオはその声に従った。

それはエアーサンダーの姿が見えたからだった。

ハオを安全な場所に隠すと次は楊のもとに近づいた。

楊は何が起こっているのか分からずに困惑している。

「楊さん、このまま連れて行きます。我慢してください」

藤原の声に気付いた楊は声を上げずに頷いた。

リホウ将軍とその場にいた兵士が気付いた時には二人の姿もエアーサンダーの姿も消えていた。

「これまでだ」

そう言うとリホウ将軍は火山の噴火口に身を投げた。

あとの兵士もそれに続いた。

リャンミオの部隊の兵士はその途中で降ろされ、ハオたちの行方を捜したが発見できずにいた。

「ハオさん、なんとか間に合いました」

「また藤原さんに助けられました」

つい先程まで自分の身に起きていたことに少し強張りながらもハオは笑みを浮かべた。

「お前があのような大胆な作戦を決行するとは見直した」

楊がいつもの上から目線で藤原を褒めているがその顔を見ると頬が赤い。

「楊さん、それよりもこれを着てください」

藤原は全裸でも恥ずかしがらない楊の振る舞いに戸惑っていた。

「減るものでもないし、女の体を見るぐらいで照れるな。少しは慣れろ」

「慣れるか」

「しかし会議は開かれていないということでしょうか?」

「いえ開かれていますよ、多分。新たな首相を誕生させる気ではないでしょうか?」

「リャンミオの部隊には何台かムーブを持たせましたので明日の葬儀には出席します」

「こうなったらチャンさんの葬儀ですし、乗り込むしかないですね」

「お前は何故そんなにワクワクした顔をしている。死にに行くのが楽しいのか」

楊は不機嫌そうな顔をしている。

「楊さん、あなたは残ってください」

「いえ、私も行きます。死ぬ為ではありません。私もこの国も新しい扉を開く為にハオ様に同行させていただきます」

「分かりました」

ハオも楊の言葉に納得したようだ。

「それにしても運動不足の俺には少し重たかった」

藤原は楊のことを言っているようだ。

「さすがに軟弱者だな。私の身体に触れることが出来たことを光栄に思え」

「いやいや、筋肉が付きすぎていて女じゃなく男の体だったので照れる必要がなかった」

「それなら全裸のまま寄り添っても大丈夫だな」

「いや遠慮させていただく。いくら男性に近い体とはいえ寄り添うのは好きな女性だけと決めている」

「だからお前は女が寄ってこないのだ」

「楊さん、リャンミオは藤原さんの事が好きなのですよ」

「お前寄りによっていつ殺されてもおかしくない人間に好かれるとはよっぽど運が無いな」

「リャンミオさんに殺されるなら本望だ」

「世界一の頭脳を持つ妹と世界一の殺し屋か。ある意味では成熟している感もある」

何故か楊が納得している。

「楊さん、もうその辺りで。あなたが藤原さんに感謝していることは十分伝わっていますよ」

ハオには楊の性格が分かっているようだった。

「それに今回は世界一の頭脳のおかげであなたも助けられたんです」

藤原も楊との一バトルを終え、声が落ち着きを取り戻していた。

「お前のような人間は初めて会った」

楊は照れくさそうに言った。

「私もこれほどズバズバと言い合える相手に会ったのは初めてです」

「最初はどうなるかと思いましたが私の睨んだとおりの結果になって嬉しく思います」

ハオは出発の時のように笑顔を浮かべていた。

その後国家統一院に到着し、ハオが先に連絡を入れておいたリャンミオの部隊も到着した。

しかし、念のために国家統一院の建物には入ることなくリャンミオの部隊の隠しアジトとしているリャンミオの一族の里でリャンミオとイザベルとも連携を取り、入念に明日の予定を立てると明日に備え3人は就寝した。

3人が就寝している間、リャンミオの部隊は警護の手を一層強めたまま朝を迎えた。


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DH  暗闇の手 激動の巻 [DHシリーズ]

新たなる幕開けと戦いの始まり(4)

ドイツ国内に入ってジョンソンが奇妙に感じたことがあった。

昼間の時間に到着したのだがその途中に過ぎてゆく街並みの中の人影が少ないのだ。

そんな違和感の中で大聖堂の建物の前でドイツのステルスNV01はその機体を制止させた。

辺りに人影のないことを確認すると、ステルスモードのままNV01はその形を変体させた。

変体後はステルスモードを切り替え、姿を現すと、一世代前の乗用車の形を成していた。

「これからこの機体の底部を開きますのでもう暫くお待ちください」

ジョンソンにはその言葉の意味が分からなかった。

「後部をご確認ください」

なんとNV01の底部の下に地下に続く梯子が掛かっていた。

「こちらからあの大聖堂の建物にお入りになれます」

「そういうことか」

自分の亡命についてはまだ表に出せないということを理解したジョンソンはその言葉に従い、梯子を下ってゆく。

「ジョンソン大統領、無事にサクセスルートを通過しました」

「よろしい。その体形のままどこかのパーキングに入り、ステルスモード発動ののち、次の指示が入るまで休憩に入りなさい」

声の主はアレクシアだった。

「了解しました」

新生中国の時に自ら作戦の指揮を取ったアレクシアは自分で指示をするタイプの人間のようだ。

ジョンソンが梯子を降りるとそこにはブラウンが迎えに出てきていた。

「ジョンソン、よく来たな」

「ブラウン、この国は他国の科学技術の根本を越えております」

「さすがに気付いたようだな」

「この国の人民のほとんどはひょっとして」

「ああ、すでに地下シェルター都市に移り住んでいる」

「そんなものまで」

「アレクシア首相がハオから核使用の宣言をされたときに国民に移動を命じた。いやいや地下に潜ってみるとそこにはドイツの領土の同じ規模の地下都市が建設されていたことで国民を守る術まで備えた上での行動だったことに賞賛の声を上げたらしい」

「他国に攻め入りながら国民の信頼を勝ち取るとは戦略家のようですね」

「それ以上だ。この時代にどの国の人民も無駄な争いをしたくない。それは他国との交流で頼っている資源があるからだが、この都市はすべての資源の都市の中でまかなうことが出来る。それを可能にしたのがアメリカのDLEDシステムだ」

「わが国の技術で地下でも電気の供給が無限に可能になったということですね。しかし、そうだったとしてもあなたが母国アメリカや家族を裏切るに理由にはならない気がするのですが」

「お前に見せたいものはこれではない。この都市はあくまでもドイツと言う国だ。アメリカの都市もこれぐらいの都市は作ろうと思えば作れる」

「それなら女性としてのアレクシア首相ですか?」

「私の妻も負けず劣らず美しかった」

ブラウンは既に組織によって消されてしまっているであろう妻のことを思い返しながら口にした。

「科学技術でもない、男女の関係でもない、それなら一体何があなたの心を動かしたのですか?」

「ジョンソン、これからその場所を案内する。ついてきたまえ」

「分かりました」

ブラウンはそこからさらに下に降りるエレベーターにジョンソンとともに自分の乗り込んだ。

「このエレベータはどこまで下りて行くのですか?」

「石油やマグマの層も越えて、地球の核といわれる場所に辿り着く」

そのブラウンの言葉にジョンソンは言葉が出なかった。

程なくしてエレベーターはその施設の最下部と思われる場所に到着した。

「ジョンソン到着したぞ」

「はい」

エレベーターのドアは開くとジョンソンの目の前に見える光景は信じがたいものだった。

「ブラウン、あの中心にあるものは」

「新しい地球だ」

そのブラウンの言葉にジョンソンは言葉を無くした。

「地球の最下部が空洞だったということですか?」

「空洞ではない。今言った様に最下部の中心には次の世代の地球が用意されているのだ」

「この地球が膨張を始めると今の地球はどうなるのでしょうか?」

「もちろん滅亡するというよりも消滅する」

「あなたは新しい地球の手伝いをするためにここに来たのですか?」

「それは違う。しかし、同じような事かもしれんな」

「どういうことですか」

「長い間大統領という仕事をしているとふと考えてしまうことがあった。この世界のバランスについてだ」

「WRという組織についてですか?」

「いや違う。もっと根本的な事についてだ。さまざまな場所の会議に顔を出していたが世界の貧困について考える会議の議長をしたあとのパーティの時での事だ。ワインの香りをゆっくりと嗅ぎながらその後一口でそのワインを飲み干していたゲストが居た」

「特におかしなことはないと思われますが」

「そうだな。私もそうであったはずだ。しかしやはりおかしかった」

「何がですが?」

「そのワインは1本100万前後、それが50本以上用意されていた。世界の貧困について考える会議の後に豪華な晩餐が用意されていた。そのワインの香りを嗅いでいる間にも貧困にあえいでいる人たちは死んでゆく」

そのときにジョンソンは気付いた。

ブラウンは組織の人間ではなく本当の大統領になっていたことを。

「ブラウンあなたはコントロールする側の人間であったはずです。今更低層世界に目を向けたところで何も変わりはしません。世界中で開かれるどの会議でも参加者にはほとんどといっていいほど豪華な晩餐は付き物です」

「その通りだ。それは我が国アメリカでも同じだ。自由や平等などアメリカには存在しない。貧困層とごく一部の裕福層との格差が大きいのが我が国だ。私もその裕福層の部類に入る人間だった。そしてこれを見るまではそれでも欲というものが残っていた」

「私はまだまだ十分に理解できていない状態です」

「次世代の地球が地球の内部で誕生していることが現実であるとは私もまだ信じがたい現実だからな」

「マヤ文明の歴史の中に記されている物語が現実で存在している感じですね」

「マヤは真実は伝えてないだろう。地球の転生と生まれ変わりを人類のためにあえて伝えなかったのかもしれないな。自分たちの生きている地球の下に次の地球が用意されていることなど知ってしまったら生きていくということにも希望を持てない人間も出てくるだろうな」

「999年に世界の滅亡の噂が流れた時ヨーロッパの一部の裕福層は自分の行ないを憂い貧しい層にすべての財産を配ったものもいるらしいですね」

「そうらしいな。世界が滅亡するとなると金品は必要なくなる。それよりも死後の世界の自分の立場をかんがえたのかもしれないな」

「死後の世界まで自分の立場を考えるとは欲深い話ですが。それを神が見ていたならどうなるでしょう」

「100の悪事が1の良事だけで自分が救われると思っていることが偽善行為そのものだな」

「ブラウンあなたも」

「いや私は偽善者でもなければ正義だとか善意だとかそういう事を考えたわけではない」

「それならどうして」

「人類はこの地球に居座りつづけた。そろそろ終わる時期なのではと思ったのだ」

「本当にそれだけですか?」

「私の一族、そしてお前の一族もすでにこの世にはいないかもしれない。しかし私はその家族に対して愛情がなくなってしまった。正しくは家族という言葉だけでの繋がりがなくなってしまったのかもしれん」

「それは私も同じかもしれません。豪邸にメイド、事あるごとにパーティ、私が職務を行っている間に家族は贅沢な暮らしに明け暮れていました。あなたもそうですが私ももともとは研究畑の人間だからそういう暮らしには縁があったとしても慣れない。子育ても教育も任せきりだったことには責任を感じていますがうちの息子は数々の犯罪行為を起こしては組織の力でうやむやにしてもらってきた。しかし、私の言うことなど聞かない」

「ジョンソン、私の妻は多くの男とベッドを共にしていた。その豪遊の代金はすべて妻が持っていた。つまりは私の金だ。その度に連れ添った男はこの世から消された。その事実を知りながら豪遊を繰り返していた。養子には入ったが家柄のしっかりした一族ではあったが資産面では負債も抱え質素に暮らしていた一族が贅沢三昧を繰り返すようになった。私はあの事件から必死に生きるようになったというのに」

「あなたは忘れたことがなかったのですね」

「ああ、忘れる日などなかった。強健な態度を取り、自分のストレスの塊をぶつけてしまったあの銃弾を今でも後悔している」

「その事に私も気付いていました。だからあなたと同じように表側の仕事に就いたのです」

「スミスにはいつか謝らねばと思いながら未だに真実を話せていない」

「それは私もです。あの場に居ながらあなたを止めれなかった」

「それに比べ、渡部は血の繋がりのない人間を大事にしていると聞いた」

「バーバラの事件後に日本に赴任したものの鬼所長と呼ばれていたらしいですね」

「それがああも変わるとは」

「スミスにまで会いに来たのだからな」

この二人は渡部がスミスの痣の特効薬を持参していることを知っていなかった。

「ジョンソン、わたしもそうだが、もう来るところまで来たのかもしれない」

「人類の滅亡を所望されているんですね」

「そうだ」

「しかしこのサイズの地球がどのように膨張して次の地球になるのでしょうか?」

「詳しくは私にも分からないがアレクシア首相が言うには人類の行動が大きく影響しているみたいだ」

「何もしなくても滅亡は決まっているということになりますね」

「今の世界がこれほどの格差があり、混沌としている。人類の裁きを神が判断するのならそうかもしれないな」

「私は遺伝子操作にまで手をつけるようになった人間に対して神の領域の裁きが下るのかもしれないと思っていましたがそういうことでもなさそうですね」

「人類に限らず遺伝子の変化で生物は進化の過程を経たと思っている」

「アレクシア首相は一体何者ですか?」

「神自身に作られた新人類だと言っていた」

「その神とは存在するのですか」

「アレクシア首相も声だけしか聞いたことがないらしい」

「この新しい地球を見ていると私も今の地球が滅ぶのは正しい選択なのではと考えてしまいます」

「お前もそうか」

「美しいですね」

「この地球には人類の存在はないがな」

「次の支配生物が現れるのですね」

「多分そういうことになるのだろうな」

「私がこう考えてしまう時点で私は大統領の器にないのかもしれません」

「国だけでなく人類を見捨てる選択をしたのは私も同じだ」

「これから滅亡までの間、どう生きていくご予定ですか?」

「WR以外のコネクションに連絡を取りWRに対抗できる組織を立ち上げようと思っている」

「私もそのお手伝いをします」

「ジョンソン、本当にいいのだな」

「もちろんです」

研究者から軍部の兵士、表側の役職と数奇な運命を共にしてきた二人の絆は強かった。

ブラウンの考えに同調したのは欧州の資産家だった。

その多くはWRにも資金提供をしていたが格差社会と貧困の話を交えながら寄付の約束を取り付けた。

WRがこの組織の存在を知るのももう少し後になる。

同じ頃、中国ではチャンの国民葬儀が行われようとしていた。


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DH  暗闇の手 激動の巻 [DHシリーズ]

新たなる幕開けと戦いの始まり(3)


場面はブラウンの逃亡の場面に移る。

「アレクシアさん、どうやら私の立場も危うくなったようです。亡命をお願いできますか」

「分かりました。もうすでに近くまでステルス機体で迎えに行っていますのでお待ちください」

「よろしくお願いします」

その数分後、ブラウンの前にステルス機体が姿を現した。

「これが日本の秘匿していたデータから製造されたステルス機体か」

「ブラウン元大統領お迎えに上がりました」

「出迎え感謝する」

「直ちにお乗りください」

「分かった」

こうしてブラウンはドイツへと亡命した。

中国の事件が起こっている隙を突いてアレクシアの言っていたドイツの部隊が世界各国に拡散していた。

軍事だけでなく洗脳も会得している独特の部隊だった。

アレクシア自身が口説いている人材も存在している。

(日本の内閣府の守屋の場合)

日本では内閣府のスタッフとして働いている守屋がターゲットにされた。

しかしこの守屋という男は篠山に惚れ抜いている人間だった。

内閣府内に篠山内閣の転覆を企む噂の話題が出るといつも不機嫌になるほど篠山に心酔していた。

事あるごとにメディアに篠山の功績を流し、内閣転覆のリークを密かに流していたのもこの守屋であった。

しかしある時期を境にリークした情報が一向にメディアの表に出なくなるようになった。

それでも守屋は自分のブログの中で柔らかい内容にしながらも公表をしつづけた。

しかし思うように読者もアクセスも集まらず、嘆いていた。

政治に関心あるものの少なさに日本の将来についても憂れうようになっていた。

そんな時に一通のメールが届いた。

あなたの望む世界を私と一緒に築き上げていきましょう

私はドイツの首相アレクシアです

ドイツ大使館に連絡をお取りください

守屋はもちろん性質の悪いイタズラだと思ったがどうしても気になり念のためドイツ大使館へ連絡を入れてみた。

しかし、そのメールは本物だった。

ドイツ首相が自らドイツ国内で私に会いたいと言うことだった。

守屋はその週の仕事を終えると次週は有給願いを出し、ドイツに旅行に行くと言って休暇を取った。

ドイツから帰った守屋はいつも通りに仕事をこなしていたが一つだけ変化したことがあった。

人付き合いをしない優秀な人間を飲みに誘うようになった。

守屋自身はフランツのようにマイクロチップを埋め込まれてはいなかったがドイツが開発した最新通信機器ルルモンドが聴神経の近くに埋め込まれていた。

それはフランツに埋め込まれた周波数とはまた別の周波機器だった。

ルルという言葉でドイツ大使館 モンドという言葉でアレクシアへの直通とドイツの部隊の中でも幹部クラスのものにしか与えられていないものだった。

守屋という存在はアレクシアにとってWRの日本の結束を崩す重要な人材だったのだ。

「守屋さん、あなたは日本だけに拘る必要はないのです。世界を目を向けられてはいかがですか?」

「私には篠山さんのような魅力も度胸もありません」

「さまざまなリーク、あなたのブログも拝見させていただきましたがあなたには世界に変化を促すセンスを感じました。ぜひとも私に力をお貸しください」

そういうとアレクシアは守屋を抱きしめた。

「あなたのようなお方が」

「日本はあなたにお任せします。優秀な人材で私たちの手伝いをしていただけませんか?」

「分かりました」

この時に守屋は女性としてのアレクシアの魅力に負けてしまったのか、本気で日本の変革を考えたのか、帰国後頻繁に日本の動きをドイツ大使館に伝えていた。

そのときにまだ政府の中でセキュリティの担当をしていた田中と知り合ったのだ。

この田中がその後WRのセキュリティトップに座ることになる。

守屋は頻繁に田中の思う世界を褒めていた。

「世界は自分の力でコントロール出来る様になる」

「そうだな。お前のセキュリティには抜け穴は見つからないからな」

「いやまだまだだ。これから先にもっとすごいものを開発して守屋にも見せてやるよ」

「俺も政治の世界で世界を変革したい」

「そうだったな。お前は篠山さん篠山さんだったな」

「いや今はアレクシア首相の理念に憧れている」

「お前も世界に目を向けるようになったか。俺も嬉しいぞ」

「田中、今度お前に会って欲しい人物がいる」

「まあ俺ならいつでも空いているが誰だ」

「それは今は口に出来ない」

「お前まさかテロリストとかじゃないだろうな。世界の変革とは口にしたが」

「そんな人物ではないしテロリストになりたいわけでもない」

「そうだったな、すまん」

「いや、いいんだ」

「今週末辺りなら少し予定を空けれるが」

「今は最新セキュリティシステムの開発と設計の真っ最中だったな」

「俺には嫁も女もいないからな。予定といえばそんなところだ」

この後日、田中もドイツ大使館でアレクシアに対面した。

そして、田中もルルモンドを装着した。

新しいセキュリティシステム開発に成功した田中はその功績を買われWRの組織の一員に加わることになった。

セキュリティ部門でも田中の能力に敵うものはおらず、すぐにセキュリティ部門のトップに座る事になった。

その後、ルルモンドを使用し、守屋と連絡を取り合いながらイザベルの部屋に侵入する事件を起こすのである。

DHやアースシステムについての情報はその田中であっても手に入れることは出来なかった。

イザベルの部屋に置かれているシステムはイザベルか藤原以外には動かすことが出来なかった。

起動までには成功したもののパスワードが一致しない。

どれほど優れたエンジニアであってもそのパスワードを解く事は出来ない仕様だった。

パスワードを間違える度に64文字のパスワードが変化するのだ。

もしも奇跡的に田中がそのパスワードを解いてしまったとしても次に求められるのはイザベルの笑顔と指紋認証である。

藤原の場合は声紋と指紋認証になる。

田中はそこまでは辿り着けなかったが辿り着いたとしてもそこで断念するしかなくなるのである。

自ら作り出したセキュリティシステムの映像を加工して削除することは出来ても、イザベルが独自に組み込んでいるセキュリティシステムが存在することまで知らなかったことも田中の予測しなかったことだった。

そしてパスワードの誤打をするとイザベルのムーブにもその連絡が行くように出来ていることも予測していなかった。

しかし、日本の施設共通の開発データである初期型エアーサンダーのデータはこの施設からサーバーを跨ぎ、内閣府からさらにサーバーを跨ぎ、ドイツではなくアメリカのブラウンからドイツへと送られていた。

ブラウンが逃亡に使用したステルススーツもブラウン側の部下が流したDLEDシステムが装着され無音で移動空中飛行が可能な2世代先とも言って良い最新の科学技術が詰め込まれたものだった。

田中は施設外で銃殺により処分された。

表向きは日本のテロ事件の犠牲者として報道され、その亡骸は家族の下に運ばれた。

洗脳された様子も見られなかった田中はドイツ心酔者とされ、死体の解剖もされなかった。

ルルモンドの存在は気付かれることはなかった。

ルルモンドでその出来事を知った守屋はすぐにアレクシアに連絡を取った。

「アレクシアさん、田中が処分されました」

「残念なことでした。私もルルモンドを通して聞いていました。守屋さん、あなたには緊急事態のない限り、当分の間指示を出すのを控えます。普段どおりにそちらでの仕事にこなしてください」

「ルルモンドの存在は気付かれていないようでした」

「そのようですね。しかし田中さんほどの人でもイザベルのセキュリティは破れなかったのですね」

「天才の中でもさらに上がいるということでしょうか」

「しかし田中さんは多くのデータをこちらに流していただきました。おかげで新しい開発が進んでいます」

「世界の変革の為にお役に立てたのなら田中も満足していると思います」

「守屋さん、あなたもくれぐれも気を付けて下さい。影ながら見守らせていただきます」

「よろしくお願いします。篠山についても大きな動きがあればその時は連絡させていただきます」

「それでは」

田中の事件では過去にドイツを旅行したことのある守屋も疑われる対象にされたが篠山の一喝で守屋は難を逃れた。

その時守屋は篠山を越える人間になったという錯覚に陥っていったがそれは守屋の妄想に過ぎなかった。

テロ事件で次は篠山が狙われるのではと思った内閣府のスタッフの数名が辞表を出し辞めていき数ヶ月の間その人間と近親者のものも調べられるなどされたが怪しいものはいなかった。

内閣府の犯人は何者かが潜伏し、そこから情報が流れたことになっている。

実際は時間の魔法であった。

田中がシステム内の操作をし、守屋の送信したデータの時間と送信場所の上書きをしたのだった。


(場面がアメリカに戻る)

「ブラウンさん、私の計画もばれてしまいました」

「ジョンソン、あれは完璧な計画だった。WRの部隊もお前に掌握されているのだろう」

「いえ、すでにその部隊も撤退しました」

「誰が計画の邪魔をした」

「渡部のようです」

「渡部にはそんな器量はなかっただろう」

「変わったのかもしれません」

「変わったといえば親馬鹿になったということは聞いていたが」

「多分そこなのかもしれません」

「守るものが出来て渡部本来の人格が表に出てきたということか」

「最近の渡部の功績を見てもそうとしか思えません」

「私とお前の読みが外れたということか」

「そのようです」

「お前はそこで拘束されろ。私に付き合うな」

「いえ、私もあなたのいるドイツに向います」

「お前まで家族を見捨てる必要はない」

「あなたに付いていくと決めました。もうすぐステルス機の迎えがやってきます」

「ジョンソン、すまないな」

「あなたが謝る必要はありません」

「分かった。ドイツに到着したらお前に見せたい施設がある」

「楽しみにしています」

こうして、ブラウンに続き、ジョンソンもドイツに向かったのだった。


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