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小説  DH 暗闇の手 序章の巻 [DHシリーズ]

(1)  完成と、未完成の対立(続き8)





「イザベルちょっと離れて話を聞いてもらえるか」

「このままでいいです」

藤原の右腕にイザベルの両腕はベッタリとくっついたままだ。

「真剣な話なんだが」

藤原の声のトーンが変わった。

「分かりました」

イザベルはそれを感じるとスッと腕を解き、藤原の対面になるような位置に椅子を移動させ、ゆっくりと腰を掛けた。

「お兄様それでお話とは何でしょう?」

「DHのことなのだが、ここから先の動作が出来ないんだが、どのプログラムを修正すればいいのか、分からないか?」

「少しお待ちください」

自分の座っていた椅子から移動し、DH開発用の椅子に腰掛け、DHのプログラムを汲まなく見始めた。

「お兄様、これはどういうことなのでしょうか?」

イザベルが怪訝そうな顔つきをした。

「やっぱり、お前でもそうなんだな」

「このプログラム上の間違いはないかと思われますので動作しない理由が分かりません」

「お前でも同じ結論になるか」

藤原は少しの間を入れ、結論を出した。

「となると基盤の方の原因か」

「核(コア)の交換が必要かもしれません」

「しかしなあ、このDH専用に実験の段階から核としてのエネルギー容量の一番大きなもの使って、組み込まれていて動作しないとは」

藤原は両腕を組んで考え込んでいる。

正しくはそういう素振りをしている。




(ここからはムーシンパシィでの会話になる)

(やはりお兄様の望むDHシステムはブラックオニキスでは動作しないようですね)

(一応の完成はしたのだが、結果がこの通り動作不可、原因不明だ)

(まだお使いになられていない水晶はございます)

(天然鉱石全般はすべて試されているはずだが。無論この組織も抜かりなく、日本中の古墳から出土した勾玉などのアクセサリーから武器にいたるものまで元の形を残さず、専用基盤の核の形に形成しなおし、作り変えてしまうからなあ。まさか本物として展示されているものが本物と同質のレプリカだと気付く人間もいないが)

(手段は選びませんからね。WRという組織は)

(そうだな)

(お兄様はライトニングクリスタルを知っておられますか?)

(ライトニングクリスタル?そういう名称の水晶は聞いたことのないな)

(水晶は水晶なのですが、自然界の稲妻の膨大な電気エネルギー衝撃を受けてなお水晶の原型を留める雷水晶といわれるものです)

(そんなものが存在するのか。高エネルギーだけでなく高電圧でもある稲妻に耐え抜いた水晶か。試してみる価値が大いにあるな)

(私からお父様に頼んでおきますね)

(助かる)

(そろそろ怪しまれる前に)

(そうだな)



藤原が腕組みを解き、イザベルに話しかける。

「しかしだな、イザベル。天然鉱石から歴史的遺跡物、隕石に至るまで試せるものは試したはずだが」

「いえ、お兄様。まだまだ知られていない鉱石や発見さえされていない種類のものも世界にはあります。私が生まれる前の実験のようでしたので、使われていなかったものをお調べしてみます」

「確かにそうだった。ここのスタッフは優秀ではあるが、お前ほどではないからなあ」

「そういうわけではないですが核としての可能性として見落としているものがあるかもしれませんので」

「まあその可能性もないとも言えないな」

話も一段落ついたところで紅茶の残りを口に含もうとしたところで渡部からの直通連絡がこの部屋のスピーカーを通して聞こえた。

「藤原、WR,大体の話は分かった。もう一度核の素材の洗い出しをしなければいけないな。しかし、世界を席巻すると言われるプログラムだけあり、ブラックオニキスでも動作しないとは本当に恐ろしく素晴らしいシステムになりだな。だが心配するな。それと同時に私が設計した無限核基盤の完成も急いでいる」

「無限核基盤の設計は出来たのですか?」

「ほぼ完成した。あとはWRに手直しをしてもらうのみだ」

「分かりました」

無限核基盤とは

無限という名はついているが無限に核を搭載できる基盤ではない。8個の核を搭載できるため8核基盤とも言われるが、その8という数から無限を連想させるためについた名称ではある。しかし、この後に完成した無限基盤自体の動作の不安定さは拭いきることが出来なかったことになっている。この基盤の失敗の原因は基盤自体の性能を大きくしたことと、8核の質量とエネルギー量の両方を全く同じものに合わせ、同調させなかったことであった。一核のみ搭載の優秀な基盤でさえも、動作しないという現実が起きてしまっているが渡部はその現実を履き替えてしまったのである。一核から飛び越えての8核搭載型基盤の開発はその他にも色々な問題点が指摘され、当初の予定通り、改めて2核基盤の開発に移ることになった。その失敗により、渡部の組織からの信頼は薄らいだかのように思えたが、その後の2核基盤をわずか一月という期間で安定した動作に至るまで成功させた為に渡部の信頼回復も早かった。

しかし、イギリスでは時を同じくして4核基盤の稼動に成功していた。

イザベルが帰国後に藤原に話していたあの子が動き始めたのである。

イザベルに続く天才と言われる新人類の作り上げた4核基盤は世界中の組織の話題をさらい、DHシステムの完成を待つことなく、ついにアースシステムの稼動を促される事態に陥ってしまうことになった。




次回に続く



小説家になろう(まとめて読んでみたいという方は下記に掲載してます)


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(著作権はdaylightにあります)




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コメント 4

hatumi30331

新人類が・・・・
時代が変化して行くんですね。


今日は陰で風があると涼しい日でした。
夜もこのまま・・・・と願いたいです。^^
by hatumi30331 (2015-08-14 16:04) 

kurobosi00

よろしくお願いします!
by kurobosi00 (2015-08-14 17:01) 

daylight

>hatumi30331 さん

現実の世界でも冷凍保存された優秀な遺伝子の精子を用い、高額なお金を積み、出産し、生まれてきた子がこの世界にどれくらいの人数いるのかとか考えてしまうことがあります。

試験管培養といかなくても、過去の天才たちの遺伝子の子供が現在の時代を変化させていく、もしくはすでに^^;
by daylight (2015-08-15 02:55) 

daylight

>kurobosi00 さま

ご訪問ありがとうございます^^
こちらこそ、よろしくお願いします♪
by daylight (2015-08-15 02:56) 

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